なせ首が長いのか?

首長族のひみつ

 タイ北部、ミャンマーとの国境近くで、「首長族」と呼ばれる人たちが住んでいる。この辺りは山岳地帯で、少数民族の村が点在している。首長族もそんな少数民族であるが、首長族というのは民族の名前でない。カレン族などの一部が、女性の首を長くしていたために、そのように呼ばれるようになったのである。彼女たちの民族衣装を見れば、民族的にはどこに属するのかはすぐ分かる。「首長族」という名称はよくないのではないかと言われたことがあったが、現地でも「Long-Neck People」と呼ばれている(giraffewomenとも呼ばれている)。


全身写真、彼女の衣装はカレン族のもの

 首を長くするためにつけている首輪は、実は1本の真鍮でできたコイル状の輪である。彼女たちは腕や足にもこの輪を巻いている。


このような真鍮の輪を首に巻いていく(矢印)

 なぜ、このような首輪を巻く風習が誕生したのか、その由縁には諸説がある。例えば、虎に食べられないようにするためとか(本当にあの辺に虎がいたのだろうか?)、村の外に逃げていくのを防ぐためとか、ただのお洒落だとか。首輪はかなり重く、3〜4kgくらいある。腕輪足輪もそれぞれ2kgくらいあるので、逃亡防止説がかなり有力である。村はジャングルの中にあるし、川とかもあるし、この錘りを担いで村の外に出るのは大変だろう。しかし、もちろん今は逃亡を防ぐためにこの風習が続いているわけではなく、女性たちは純粋にお洒落として、好んで首輪をしている。ここでは首輪をして、首が長いほど美人なのである。

 首輪は5歳くらいからつけ始め、徐々に長い首輪に変えていく。それで、年老いた女性ほど首が長くなっているのだ。

 
目指せ、首長美人!!

 では、なぜ首輪をつけていると首が長くなっていくのだろうか。彼らの頚椎はどうなっているのだろうか、というのは誰もが抱く疑問である。頚椎が普通より多いのか(そんなわけはない)、頚椎がだんだん引き延ばされていくのか、頚椎と頚椎の間が延びてしまっているのか、彼女たちを眺めていても、謎は深まるばかりである。しかし、この疑問を解決するために、レントゲン写真を撮影した整形外科医がいたのだ。


首長族のレントゲン写真

 普通の人のレントゲン写真と比べてみると、頚椎の長さは全く変わらないことが分かる。しかし、肩は下に落ちている。肋骨も少し窮屈そうだ。

 実は、首輪の重さで、肩が下がっているだけなのだ。肩が下がっているから、首が長く見えるというだけらしい。下の図がそれを説明した図であり、確かに肩が落ちた分だけ首が長くなっている。


左半分が普通の人、右半分が首長族の人

 彼女たちは首輪をとってしまうと死んでしまうという噂もあったが(首を支えられなくなるから?)、当然彼女たちはより長い首輪にするとき、首輪を外す。首輪の付け外しができるのは精霊師だけらしく、首輪を外す姿を部外者が見ることは滅多にないらしい。もし、彼女たちが首輪を外してしばらく普通に生活していると、(もちろん死んでしまうわけはなく)首輪の負担が取れるので、なんと首は普通の長さに戻ってしまうらしい。

 彼女たちは、お洒落のために首輪を付けているが、実は肩こりがひどかったりとかの悩みはあるらしい。

 首長族を見たい方へ

 首長族の住む村はタイ北部の町メー・ホーン・ソーン周辺に点在している。メー・ホーン・ソーンの各旅行会社では彼らを訪ねるツアーを企画している。ツアーといっても、旅行者1人でもコーディネイトしてくれる。ツアーは泊まり掛けのトレッキング形式のものもあるし、日帰りの車で行けるのもある。観光できる首長族の村はいくつかある。また、最近では観光のためにチェンマイ周辺にも首長族の村ができたので、メー・ホーン・ソーンまで足を延ばさなくても見ることができる。チェンマイの旅行会社で日帰りツアーが組まれている。
 また、首長族のイラストが描かれたTシャツは、メー・ホーン・ソーンでは空港の売店で売っている。チェンマイではナイトバザールとかのTシャツ屋で売られている。僕も購入したが、これは日本の町中ではかなり注目度は高い。


Tシャツに描かれた首長族


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