死体マニアの国

  死体博物館(バンコク・タイ)


この渡し船に乗っていく、奥の建物がシリラート病院

 タイは非常に死体マニアの多い国です。テレビや新聞でも堂々と死体が映っていますし、死体の専門雑誌まであるくらいです。死体の専門雑誌は、タイの本屋やコンビニで売っていて、惨殺遺体や事故死した遺体の写真がいっぱい掲載されています。
 死体博物館は、このタイで人気の博物館になっています。バンコク、ワットプラケオなどのある王宮周辺からチャオプラヤー川を渡ったトンブリー地区のシリラート病院の中にあります。王宮広場から歩いてチャオプラヤー川に行くと船着き場プラ・チャン(Phra Chang)に着きますが、そこから渡し船で対岸の船着き場プラノック(Prannok)に行きます。そして、歩いてすぐのところにシリラート病院はあります。大学病院なので、病院の敷地内にもたくさん建物があります。死体博物館は、解剖学など基礎医学の教室が入っている建物の一角にあります。建物内部にはあまり表示がないので、建物内で迷い込んでしまうと、解剖実習室に入ってしまったりしますので注意しましょう。僕も最初間違えて医学生が解剖しているところに入ってしまいましたが、こんなに簡単に部外者が入っていける構造にびっくりしました。部外者が迷い込んでくることはよくあることなのか、僕と顔が合っても、彼らは淡々と解剖を続けていました。
 日本人はみんな死体博物館と呼んでいますが、正確には「法医学博物館(シーウィー博物館)」と言うそうで、他に「解剖学博物館」もあります。内部での写真撮影は禁止になっています。タイ人の家族連れとかも見学していて、すべて入場無料です。医学部の標本の展示室みたいなものなので、内部は博物館というより標本室です。最近は「地球の歩き方」にも紹介されていますので、最新情報はそちらを御覧ください。
 「法医学博物館」は、タイ犯罪の被害者や犯人の死体が展示されています。犯人の死体は死刑の後、黒い樹脂漬けにされて、立った状態でガラスケースに入れられて展示されています。タイ犯罪史上最も有名なのが博物館の別名にもなっている「シーウィー」です。幼児を殺害し、不老長寿のためにその肉を食べていたそうです。これらの標本は、医学の勉強のために展示されているわけではありません。見せしめのようなものだと思います。それで、少しでもこれから犯罪が少なくなるのであれば、彼らも生前は世のためにならなかったけれど、死んでから社会の役に立てるのだから、良いことだと思います。
 「解剖学博物館」は、医学標本が大量に展示されています。日本の各医学部でももちろんこのような標本はありますが、これだけ大量に種類も豊富にあるのは珍しいです。医学生なら、ここは一見の価値があります。特に、シャム双生児という言葉があるくらいだから、双生児の標本は非常に貴重です。この博物館で最も感動したのは、入ってすぐのところにあった骨格標本です。何体もあるのですが、それらはその大学の解剖学の教授とかのものだそうです。日本でも医学者が後世のために解剖実習に献体することはあるのですが、標本になって永遠に留まるというのは驚きました。各標本には生前の写真も貼られていましたが、みんな凛々しかったです。医学部で解剖の中でまず学ぶのが骨学です。バラバラになっている人骨をスケッチしながらその名称や筋肉の付着の仕方とかを学んでいくのですが、そのような骨の標本というのが、日本ではなかなか入手困難な状態になっています。そのため、日本の医学部にある骨の標本のほとんどは海外の人のもので、インドとかからお金で買っているのが現状です。
 この死体博物館のあるシリラート病院の公式サイト(英語版)は「
Faculty of Medicine, Siriraj Hospital」です。また、日本語のサイトで写真入りで紹介されているのが「WELCOME TO KHAOSAN HOMEPAGE」です。