世界3大がっかりスポット

 世界3大がっかりスポットというのは、誰とはなく旅人の間で自然に語られるようになってきた言葉なので、どの3つの名所であるかというのは諸説があります。その中で代表的なのが、シンガポールのマーライオン、コペンハーゲンの人魚像の2つに、ブリュッセルの小便小僧、またはシドニーのオペラハウスのどちらかを加えるという説です。僕が初めて聞いたのはオペラハウスの方の説でしたが、「思ったより小さくて、がっかりした」という共通点があるのは小便小僧の方だと思います。それでは、それぞれのスポットを解説していきましょう。

   シンガポールのマーライオン(シンガポール)


エリザベス・ウォークから見たマーライオン

 「シンガポールといえばマーライオン」ですから、どうしてもシンガポールを初めて訪れる旅人はマーライオンに過度の期待を寄せてしまいます。本家本元のマーライオンは、海岸沿いに突き出たところに立ち、海の方を見つめています。だから、マーライオンに最も近付けるところからは、マーライオンの後ろ姿しか見ることができません。さらに、マーライオンが一番美しく見ることができるという対岸のエリザベス・ウォークから眺めても、確かに横顔になるのでさっきよりはましなのですが、かなり遠くになってしまうので、小さくしか見えません。ここで記念撮影をするのが一般的なのですが、僕たち旅人と比べるとマーライオンは本当に小さくしか写すことができません。マーライオンは8mもあるので本当はけっこう大きいのですが、旅人の記憶の中には「思ったより小さかった」となってしまうのは、恐らくこのエリザベス・ウォークからのイメージが残ってしまっているからでしょう。それから、マーライオンのイメージとしては、やっぱり口から水を勢い良く吹き出している感じがすると思いますが、本家本元のマーライオンが水を吹くことはほとんどありません。このことも期待外れと感じる一因です。


ミニライオン(後ろにいるのが本家マーライオン)

 それでも「シンガポールといえばマーライオン」ですから、シンガポール政府は精一杯頑張っています。まず、マーライオンの後ろに、人間の背丈ほどの小さなマーライオンがいます。僕たちはそれを「ミニライオン」と呼んでいたのですが、ミニライオンは常に水を吹いていますし、360度どの角度からも眺めることができるので、ちょっと小さいけれど、本家本元のマーライオンよりは旅人に人気がありました。それから、セントーサ島にも、人間が中に入っていくことができる巨大なマーライオンが登場したので、マーライオン巡りもけっこう楽しめるようになってきました。みんなマーライオンにはがっかりしたと語りつつも、シンガポールのおみやげは、やっぱりマーライオングッズをたくさん買っていました。


   コペンハーゲンの人魚像(デンマーク)


人魚像は何気ない海岸沿いにある

 こちらも「デンマークといえば人魚像」でしょう。この像は本当に小さく(ほぼ人間の実物大)、がっかりというのにふさわしい像です。人魚像は、海岸沿いに飛び出した岩の上で座っています。人魚像の前には常に人だかりができているので、それをかき分けて像を見たとき、あまりのショボさに驚かずにはいられません。また、正面から写真を撮ると、必ず像の後ろに工場の煙突が入ってしまうのも、情緒がありません。


目の前で撮影した人魚像

 しかしながら、この像をじっくり眺めていると、北欧の大きな白人女性とは対照的な女らしさを感じることができて、それはそれで魅力的な像なんだなあと改めて認識します。


   ブリュッセルの小便小僧(ベルギー)


プレスリーの衣装を着た小便小僧

 「ベルギーといえば小便小僧」というのも正しいでしょう。この像は人魚像よりもさらに小さく、愕然とします。しかも、ブリュッセルの駅から小便小僧のところに行くまでの間にあるみやげもの屋にはたくさんの小便小僧のレプリカが並んでいて、中には本家本元の小便小僧より大きいレプリカまであります。だから、小便小僧の像に辿り着くまでの間にいっぱい小便小僧を見てしまうので、本物を見るときにはすでに感動はなくなっているのです。ただし、本物の小便小僧には、世界中から衣装が送られてきているそうで、日替わりの衣装を楽しむことができます。僕が訪れたときはプレスリーの衣装でした。彼の衣装は王の家市立博物館でたくさん展示されています。この博物館では、いろんな衣装を着た小便小僧がいるので、本当にたくさんの小便小僧に出会うことができます。小便小僧がショボく感じるのは、日本の近所の公園にもありそうだからということもあるのですが、このブリュッセルの小便小僧にはちゃんとした歴史的な意味もあるのです。


こちらは小便小娘

 小便小僧の場所から少し離れたところに、小便小娘の像というのもあります。これは小便小僧のパロディで作られたそうで、歴史的な意味はないそうですが、幸せそうな顔をしてしゃがんでいる姿が、悪趣味ですが面白い像でした。


   シドニーのオペラハウス(オーストラリア)


ハーバーブリッジから見たオペラハウス

 これも「シドニーといえばオペラハウス」ですから、その街を代表する名所という点ではこれまでの名所と共通しています。しかし、オペラハウスは大きいという点でこれまでの名所とは明らかに異なります。オペラハウスはハーバーブリッジからの眺めが美しく、オペラハウスの白と海の青のコントラストは素晴らしいと思います。なぜオペラハウスが3大がっかりスポットに入ってしまったのかというのはよく分かりませんが、僕なりに考えてみました。まず、オペラハウスの近くの行くと、全体像が掴みにくく、そんなに美しい建物とは思えません。それから、オペラハウスの中ではオペラやバレエなどが催されているのですが、鑑賞するには正装が必要で、なかなかバックパッカーには敷居が高く、ここまで来ても実際中に入った旅人は少ないのです。それでこのオペラハウスを語るときは結局外観の話だけになってしまうので、少し評価が下がってしまうのだと思われます。また、実際に中でオペラを鑑賞した人に話を聞いても、普段オペラを楽しむという趣味がないため、全く理解できず、楽しめなかったという人が多く、結局評価が上がらないみたいでした。


近くで見たオペラハウス