元選手のT氏が岳斗君の現役引退に寄せて『月刊田村君』に寄稿してくれました。



 

 現役引退について                            

 
 
私たち選手が、現役を続行、引退するときにはいろいろな勇気を必要とします。
特にヤマトのように、日本において22才を超えて現役を続けるということは
引退後もスケート界において、働くことを決めるようなものです。

トップ選手においては、年間400万以上もかかる日本のフィギュアスケートに
おいては、本人や親にかかる負担ははかりしれません。
一見華やかに見える、ショーの世界においてもそれほど恵まれているわけでも
ありません。それを分かりつつ、現役を続けるということは、とても勇気がいる。

そんな中、24才という年齢まで現役を続けたヤマトはすばらしいと思う。
同じ選手だった人物として、拍手を送りたい。

年齢と共に成熟してゆくカップル競技とは違い、シングル競技はベテランの
域になると天井が見えてくる。それは、高度になりすぎた技術に原因がある。
4回転やトリプルアクセルというジャンプは、筋力によって飛ぶことよりも、
感覚によって身に付ける部分が大きい。
若い年齢の感覚を身に付けるのに長けている時期や、体重の軽い年齢までに
そのジャンプの大部分の基礎を身に付けられなければ、4回転やトリプルアクセル
のようなジャンプは身に付かない。
これはトッド・エルドリッジらがベテランになってから4回転をチャレンジしても、
なかなか飛べなかったことからもよく分かる。

天井が見える現役生活、新しく育ってくる選手からのプレッシャー、高度なジャンプ
からくるケガとの戦い。そんなプレッシャーの中から何故、現役を続けられたのか?

ヤマトはこう言っている。

 >落ち込んで、スケートをやめようと思ったことも何回もありましたが、
 >そのたびに、本当にたくさんの人たちに支えてもらって、かわいがってもらって、
 >僕は世界一しあわせなスケーターだったと思います 

やはり、選手にとっては記録よりも記憶に残ることが、幸せに感じるのだと思う。
競技会での成績よりも、ファンに覚えていてもらえるような選手であること。
これが彼を今まで現役にさせていた理由ではないだろうか。

私もそうであったが、ファンから自分の演技を評価されることは非常にうれしい。

だからこそ、はーこさんがここにHPを継続させることは、私たち選手を記憶として
残してくれている証であり、私もとてもうれしく思う。

今後、厳しいであろう次世代のスケート界を担うために、私たちは動いていく。
共に成功への道を歩める事を……

 

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