絵を描くことは、個性を持ったそれぞれの人が「自分」を
見つめ、「自分」を表現すること、ひいては「人間」につい
て考え、『人間とは何か』を表現することだと言えます。
自分のことを考え、表現することを大切にするということ
は、他の人がすることも同じように認めてあげることなしに
は成立しません。
違う人間がお互いを尊重し合うということは、簡単なよう
でとても難しい・・・。
身近なところで考えても、男と女・親と子・先生と生徒・
先輩と後輩、等々、うまく行かない例はたくさんあります。
宗教・民族・思想が違うことで引き起こされている悲劇も
また同じようなことのようです。
絵を描くことから学べる「個性の尊重」ということは、少
し前から言われている、『共生』という人類の未来に関わる
キーワードの根源をなすものだと考えています。
十人十色の自己主張がぶつかり合うだけでは、何も生まれ
てきません。
『文化』の基本は「競争」よりも「個性・異端の尊重」に
あり、少数意見の尊重という民主主義の大切な本質をになっ
ていると考えているのです。
知力・腕力・金力などの地位の勝ったものが、自分の主張
を押し付けることから不幸が始まり、その繰り返しが今でも
続いている気がします。
もちろん、どうすれば克服出来るかの抵抗の歴史でもあっ
たわけですが、政治と経済が優位、文化がないがしろにされ
たままの現在の世界の有り様はどうだろう・・・!
こんな世の中だから、少数の芸術家や保護者だけでなく、
「芸術」に多くの人が関わり始めたのは自然な欲求で、今も
続くカルチャーセンター熱や社会教育の充実を求める声はそ
の表われでしょう。
そして、将来はもっと幅広い人たちが、より深く関わって
いくだろうことは確かなことです。
趣味で始めた人や楽しみの為に描くという人も、こうした
ことを理解することで、本当に絵を描く喜びを実感し、奥深
い世界を味わえるのではないでしょうか!
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