『』書の方から出た「弘法、筆を選ばず」というありがた
い言葉がある。「きれいなバラにはトゲがある」という諺の
ように一般的に用いられている。
「きたないバラにもトゲがある」と記して、もうひとつの
真実を突きつけた北杜夫(ドクトル・マンボウ)氏を、私は
尊敬してやまない。
絵を教えていて、よく筆や紙や絵の具等の道具について質
問を受ける。丁寧に説明ても、よく分からないと言われる。
これとこれを何本、それにあれもこれもというように決めて
貰らわないと満足しない。自分で判断をしない人の多いのに
はあきれてしまう。
出来るだけ分かりやすくて正確にと説明をした後、「道具
は目的のために使うのです、道具に使われないように!」な
どと言おうものなら、「何にも分からないんですもの…」と
いう言葉が返ってきたりする。
絵画等の芸術は、創作を通して自由な精神を身に付けるこ
とを学び、鑑賞者は作品からそのエキスを栄養剤として貰う
ものだ。
自由な精神、道具にもとらわれない心を持てということを
弘法様は説いていると、解釈しているのですが・・・。
もちろん、技術的な面から考えれば、「弘法様だから、筆
を選ばず」だったので、この事実も見のがしてはいけない。
我マンボウ先生も、必ずやこの点は突っ込んだはずです。
道具は何でも良いのではなく、目的に合った物を、しっか
りと選ぶ事が大事です。
まず、自分の目的を持つ事、持てるようになる事が、大変
だけれども大切なのです。道具選びも人に頼ってるようでは
駄目です。
自分の表現したいもののために、道具に使われる事無く、
必要な物を吟味し、工夫して使いこなしてこそ、個性的な作
品が生まれてくるのです。
ところで、レオナルド・藤田の「地塗り」や「線」の秘密
についての話、詳しく知ってたら、誰か教えて下さい!
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