東京第二陸軍造兵廠曽根製造所
福岡県北九州市小倉南区下吉田・現陸上自衛隊曽根訓練所 

 平成十二年八月六日、「平和のための戦争展 in 北九州2000」の企画で、旧軍施設の見学会が催されました。見学先は、「東京第二陸軍造兵廠曽根製造所」跡地です。それに参加したときの写真です。
 ここは、表向きは普通の爆弾製造工場とされていましたが、実際は、「東京第二陸軍造兵廠忠海製造所(広島県竹原市大久野島)」製の毒ガスを、「小倉陸軍造兵廠(福岡県北九州市小倉北区)」製の砲弾・爆弾に充填する化学兵器製造所でした。日本の製造した毒ガス弾の2割がここで充填されたと言われています。

●入場

 約50名が見学会に参加しました。二台のマイクロバスで現地へ。塀の向こう側が曽根製造所跡地です。

 うっかり通用口を撮影し忘れました。入ってすぐに自衛官によるチェックがあったので、その周辺の撮影を躊躇ってしまいました。中に入ってすぐに、枯れ池がありましたが、当時のものでしょうか?また、建物があった跡のような場所もあちこちにあります。

 敷地の内部に、当時の建物が密集して残っています。右側に二棟、正面に一棟、そして左側に三棟が見えています。
 右側手前から正面奥に向かい、そして左側奥から戻る順路で見学しました。自衛官同伴です。

●A2棟(イペリット・ルイサイト混合物の充填作業場)

 左写真のような形状をしています。
 右写真はA2棟の側面から訓練所敷地を眺めたところです。A2棟の向こう側に見えるのは通称「B2棟」です。
 
 A2棟の内部を撮影しています。大きく二部屋に区切られています。

 A2棟前から他の施設を見ています。左からA1棟、B1棟、冷却室と呼ばれる施設が見えています。また円筒形のものは「排気筒」です。地下に施設があるのでしょう。

●B2棟(ホスゲン・青酸の充填場、充填砲弾の一時留め置き場)

 B2棟の正面です。
 見学通路は写真左側だったので、右側にあると思われる、充填場、留め置き場にされたと思われる大部屋は見れませんでした。

 撮影できたのは、このような幅の狭い通路のような部分だけです。

 背面を撮影しています。


●冷却室(ホスゲン・青酸の冷却、液化を行う施設)

 屋上には特徴のある方形構造物が二つ並んでいます。前面には、排気筒が奇妙に接近して建てられています。

 冷却室内部です。右側に中二階のような場所が見えますが、床はありません。

 左側が冷却室背面です。
 この写真は冷却室背後を通り過ぎた場所から撮影しています。右側手前に見えているのがB1棟、奥がA1棟です。撮影位置の背後に、次のE1棟が有ります。

●E1棟(ジェニル・シアン・アルシンの充填作業場)
 
 この施設は、最奥部にあるためと、比較的背の低い建物であるために、パノラマ写真ではあまり確認できません。

 中は、壁によって細長い部屋と広い部屋に区切られています。上の右側写真で見える二階部分へ通じる階段が見えます。

 隣接して、排気筒が一つ建っています。


●B1棟(仕上げ場)

 B1棟は、このような形状をしています。

 この面から見ると、高い壁が目立って、先の写真とのイメージがかなり異なります。
 見学会に連れて来られた子供が、枯れ草の茎でチャンバラ遊びをしていました。カメラを向けたら固まってしまったのが残念です。

 窓から、階段の大部分が見えているのがなんとなく面白いです。
 左写真で、その階段部分を撮影しているのは林えいだい氏です。中国大陸の731部隊遺構をルポされた氏は、「中国の遺構と比べても、よく残っている」と言われ、盛んに撮影されていました。

 内部は、柱が多いのが目立ちます。中央に天窓のようなものがあります。

 左側の建物がB1棟です。奥に背の低いE1棟の一部が見えます。B1棟の隣りに冷却室、B2棟と並んでいます。

●A1棟(イペリットの充填作業場・ルイサイトとの混合物もここで充填された)
 
 このような外観をしています。これら旧軍施設は、現在物置として使用されているとの説明がありましたが、この建物以外はほとんどカラでした。

 窓のない、通路も数カ所しか開けられていない壁によって、細長い部屋と大きな部屋に区切られています。大きな部屋の天井には天窓のように開いた場所が有ります。

別の面を撮影しています。


●排気筒群

 左側手前に見えているのは冷却室です。それに隣接して二つ一組の排気筒があります。また、かなり離れてもう一組あります。
 冷却室向こう側にB2棟、中央遠くにA2棟、右側には手前からB1棟、A1棟の一部が見えています。
 左側奥には、そろそろ見学会もゴールに近い見学一行が見えています。
 
 排気筒を近くから撮影しました。 壁の階段を登りたかったのですが、流石にそれは出来ません。近くにビデオカメラを持った自衛官が同伴しているのです。右写真は一行をビデオカメラに納める自衛官です。そして彼を写真に納める私も、どこかのカメラに納められていることでしょう。
 炎天下のなか、最後には見学会一行もバテバテで、同伴・監視の自衛官も汗だくでした。