細谷トーチカ
愛知県豊橋市
愛知県東三河地区は、太平洋戦争末期に米軍の上陸作戦があると予想された地域です。
遠州灘沿岸に設けられたトーチカが今も幾つか残っています。

トーチカのある山を上から見ると、こんな感じで見えます。
逆に、トーチカのある山頂付近から海岸線を見ると、こんな感じです。

海岸線近くまで山の斜面が迫っていまして、その山頂部にトーチカが造られました。

海岸方向からの接近は困難です。内陸部からトーチカに近づいていきます。

山中に入り、写真に見える道を海岸方向に(北方から南方に向かって)進んでゆくと、右手側(西側)ni
トーチカの背面が見えてきます。

トーチカ背面を少し離れた所から見ています。
次に近づいて見ていきます。

他のトーチカと同じように、背面の四角い穴が見えています。
ここは、穴の左横に背の高い部分があるのが特徴です。
 
四角い穴から覗くと、西方に開いた砲口部が見えます。
 
砲口部です。西側から流入した土砂でほぼ完全に埋められています。


進入してきた開口部を撮影しています。
写真では少し分かりにくいですが、開口部の左側の壁には、細長い穴が開いています。
また、開口部の右側の天井には、四角い穴が開いています。
  
左側の壁には、天井付近に通気孔と思われる孔と、隣に設けられた小部屋に通じる孔が開けられています。
どちらも外側から流入してきた土砂でほとんど埋め尽くされています。

 
開口部の右側天井部分には、小さな四角い穴が開けられています。
写真では分かりにくいですが、陰になっている所です。
天井の四角い穴から上を覗いてみます。
 
次に、この穴を上に登っていきます。壁には足掛かりになるものはありませんので、梯子が必要です。

登っていくと、小部屋が見えてきます。
 
こんな感じの小部屋です。
人一人が西に向かって座ることが出来るようになっています。
  
西側の壁は弧形に窪んだ部分があり、観測用の窓が設けられています。

小部屋から、登ってきた穴を見ています。

 
小部屋の西側に開いた観測窓を、内と外から見てみます。
  
観測窓は、外から見ると地表面の高さギリギリのところに開いています。
コンクリートの一部が少し孤形に膨らんでいます。

写真で、先に見た東側の開口部のあるトーチカ本体部と、その二階相当部に造られた観測所の位置関係が分かるでしょうか。
次に、西方に開けられたトーチカ砲口部を外側から見ていきます。
 
なんだか、ただの露出した岩盤の地層のように見えなくもないですが。
最も低部の地表面ギリギリのところが、わずかに内部と通じています。
  
外部の形状は階段状になっています。外の露出面は、だいたい人の背丈ほどの高さがあります。
トーチカ本体から少し離れた場所に、独立した観測所があります。
 
独立した観測所の外観は、このような細長い六面体をしています。
写真左側が、海岸線(南側)に面しています。

北側の面には、出入口が開いています。
 
出入口から中をみると、海岸に面した南側には観測窓のスリットが設けられています。
  
外から見ると、スリット部分は埋没していて全く見えません。


このトーチカの砲口面は、海岸線ではなくて、谷間を通って内陸部に入り込む所を射撃するような感じに造られています。
独立している観測所で海岸線方面を見張り、いよいよ敵が谷間に入ってきた所をトーチカ二階の観測所を使って射撃する予定だったのでしょう。