20072月の トンテンカン劇場

2007/2/26(月)人間ドックはオトナの通信簿?』

人間ドックはいくつか注意点を指摘されて「これからも油断せず気をつけて下さいね」と言われるだけで、無事通過しました。
でもまだ「人間ドック」の話を続けて人を嫌がらせるのは、ほら、むかし「え〜んがちょっ」ってほかの子にさわって、「切った〜」という遊びがあったでしょ?あれです。
検査と不安のストレスはけっこう重くて、敬虔な神道イストの私としては、「ヶ」(「ハレ」と「ヶ」。の穢れ、ですね)に触れてしまった…という気分で、「ヶ」を周り中にバラまくことでお払いをしたい。
つまり、不幸の手紙。あなたに渡したい(^^;)。

検査の一番イヤなところは、検査が終わって待合室の長椅子に座って待っていると、看護婦さんが封筒を手に持って診療室に入っていく。あれは私のレントゲン写真だ、呼び出されるまでの時間がやけに長い、きっと胃ガンが見つかったんだ、今頃看護婦さんとお医者さんはどうやって患者に告げようかって相談してるに違いない…って頭の中で不安がどんどん大きくなって、「異常なし」って聞くまでは気分はしっかり重病人です。

検査結果は当日先生からだいたい教えてもらえますが、数日後に詳しい検査結果が郵便で送られてきて、人間ドックの検査票というのはコレステロール値とかC型肝炎の反応とかの検査項目がズラッと並んでいて、よこに検査結果が書いてあって、異常はないか、プラス値はないか、と目はかすみ、手は震えながら、数字をドキドキ確かめる。
まるで子供の頃、通知票を受けとった時みたいです。

人間ドックというのは、聞いたことはあるけど受けたことは無いという人はけっこう多いと思います。
私もこれまで胃カメラや脳波検査やCTやMRIやマンモグラフィなどいろいろな検査をしてきて、受けていないのはPETくらいですが(体が弱いわけではなく、なにか異常があるとすぐ検査する性格)、人間ドックは初めてなので、そこら中に電話をかけて、経験者を捜して、情報を聞きました。

人間ドックは病気の「治療」ではなく「健康診断」なので、町の大きな公立病院などではしていないところが多い。
でもインターネットの検索ですぐに探せるし、近所のかかりつけのお医者さんに聞くと教えていただける。
さらには「健康診断」なので保険がきかず、値段が高い。
一般的に日帰りが4万円、一泊二日が6万円(消費税別)くらいが相場のようです。
私が受けたのは日帰りドックで、一泊二日ドックは心電図と糖尿病の検査が詳しくなるくらいで、日帰りドックを受ける人のほうが多いそうです。

これから行く人のために、私の<人間ドック>体験を紹介します。
まず探した病院の受け付けに行って、予約します。
そこで便検査と喀痰検査のキットを渡され、診療日前にウ○コをして、ペッペッとプラスチック容器につばを吐いておきます。
そして前日の夜9時からは断食、断水します(人間、食べなくても飲まなくてもけっこう平気です)。これは胃の検査のためですが、血液検査も食事をしないほうがいい結果が得られるそうです。
そして予約した日の時刻に病院に行って、検便と喀痰を渡し、検査を受けます。

当日の検査は………
聴力と眼底・視力検査。
血液検査(注射、いた〜い。でも我慢)。
尿検査(病院へ行くというので、事前に済ませてきたので、出ない。当日は我慢して、病院でトイレに行こう!)。
血圧測定。心電図。
身長・体重測定。これで体脂肪率やBMIが分かる。機械はTANITAでした。
胸部レントゲン。腹部超音波(肝臓や腎臓を見る)。
そしていよいよ検査はクライマックスへ向かいます。
胃レントゲンかカメラ(内視鏡)のどちらかを選択(オプションで大腸内視鏡もある)。
乳腺超音波。マンモグラフィー(うわ〜ん、いた〜い!でも数秒)。
卵巣超音波、子宮がん検診。

もう、検査が終わったあとは疲れ果ててヘトヘトです。

内視鏡はイヤなのでレントゲンにしましたが、検査が終わったあとに下剤をいただいて、それを飲んだにもかかわらず、なかなか出なくて、数日後にやっと出た鋼鉄のう○こは一週間ほど便器の出口につっかえていました。
バリウムを飲んだあとのこういうトラブルはお馴染みですが、これがイヤで胃カメラを選ぶ人も多いそうです。でも私は以前胃カメラでひどい目にあって…っと。これから受けようかという人を怖がらせてはいけないので、聞くところによると世の中には「おいしい」胃カメラもあるそうです。上手なお医者さんはのどに打つ麻酔が上手くて、操作も上手いらしい。どこの病院の胃カメラが美味しいのか、医学グルメ情報番組でもやってくれるとウレシイ…。

初めて骨密度を測ったんですが、体力に自信がなくてどうせボロボロだろう…と心配してたら、「年齢レベルの平均より上、どころか、若い人の骨より上!」という結果が出て、看護士さんに「なにか運動をおやりですか?」と聞かれて、「はい、ウォーキングと太極拳を少々…」(笑)。
カルシウムを取ると同時に、適度な運動をすることで、骨は強化されるそうです。

これは久しぶりにあった「イイこと」だったので、ほんとうにウレシかった。
なにしろ私はサカナ食いで、とくにイワシ、アジ、サバなどの青魚が好きで、常備食として冷凍したしらす干しをいつも酢の物やチャーハンやまぜご飯に入れているし、牛や豚や鳥はお肉より、彼らが毎日生産する牛乳やチーズや卵のほうが好きで、二日で1リットルは牛乳を消費しているので、それが無駄じゃなかったことが証明された。
さらには冷え性なのでじゃがいも、にんじん、だいこん、かぼちゃ、里芋、れんこん、ごぼうなどの根菜(体を暖める)が好きで、豆腐や納豆も好きで、海苔や海藻や豆も年を取って代謝が悪くなるにつれて好きになって、いつもスープに大豆やインゲンを入れたり、ワカメやゲンバサやアオサなどの海藻類の酢の物を食べていて(能登沖は海藻の宝庫!)、とてもヘルシィな食生活を送っていたようです。

これは私の好みってこともありますが、漫画家は肉体労働でスポーツマンと同じで、一定時間に何ページこなせたか?という結果で体調を計るので、なにを食べたあとに生産性は上がるか?というデータをいつも統計学的に収集していて、それが好き嫌いに影響してるような気がします。つまり「好きな食べ物」は「仕事がはかどる食べ物」(笑)。

しかし体重に比べて体脂肪率とコレステロールがちょっと高いのはたぶん筋肉量が少ないからで、私が電磁波に弱いのはそのせいかもしれない。もっとお肉を食べたほうがいいのかもしれません。締め切り間際には必ず動物性たんぱく、とくに牛肉のステーキを食べます(うなぎもね)。サカナと植物性たんぱくでは「タフさ」を生み出すことができない。毎日ステーキを食べていれば日常でもタフでもっと生産的な生活を送れるのかもしれない。でも好きじゃないんだよね…お肉。

血液に関しての数値はどれも低くて、もう目を覆わんばかりの低血圧で…っていうより、もはや血が薄いといってもいいのかもしれない(暴涙)。体調が悪くて免疫力が落ちているときに検査したので、もっと暖かくて体調がいいときに検査すればもう少しいい数字が出たと思うんですが…。
お肉を食べれば、血ももっと増えるかなあ?

というわけで、「人間ドック」から無罪放免されたことでホッとしながら、次は遅れないぞ!と仕事に向かっています。テーマは「白服追放委員会」。バックも大事ですが、人物が白い服を着てるのがとてもイヤで、今度こそ登場人物全員にトーンの服を着せてやる!と思っているんですが、どうなることやら…(嘆息)。


2007/2/4(日)『みんな、太陽のせいね

我ながら情けないのですが、1月の締め切りが終わったあともずっと体調が悪くて、いまだに寝たり起きたりの毎日です。

去年の秋まではお天気が良くて体調が良かったんですが、11月の中旬くらいから天気が崩れはじめて、いつもの日本海気候になりました。
日本海側に住んだことがない方々のために解説しますと、こちらの冬は寒くて湿気が増えるだけじゃなくて、毎日雪か雨かどんより曇りの日が続いて、数ヶ月お日さまを見ない…ということなんです。
天気が崩れ始めたとたんに体調が悪くなって、体が重くて、枕からアタマが上がらなくなって、起きても暗くて昼か夜か分からなくて、そのあとはもうトンネルの中へまっさかさま。

じつは一昨年から去年にかけての(2005〜2006年)お天気もホントーに悪くて、9月に入った頃から雨が続いてまったく晴れず、12月には大雪が降って、3月中旬まで晴天の日がほとんど無くて、半年近くずっと頭の上に厚い灰色の雲がかかっている状態で、いくら日本で一番降雨量の多さと日照量の少なさを誇る町でも(島根あたりと競っている)これほどヒドい天候は初めてで、「もう、気が狂うかと思った〜!」とその頃を思い出して叫ぶのは私だけじゃないし、ご近所では病気を悪化させて入院したり、耳が聞こえなくなって補聴器をつける老人たちが続出して、縁側で日向ぼっこするのはシュミではなくて、おじいちゃんとおばあちゃんの仕事なんだね…。
軽い冬の風邪なら、天気のいい日に公園で日向ぼっこをすれば治りますものね。
夏風邪は汗をかいてもクーラーを付けてもなにをやっても悪化するけど…。

特別にヒドいお天気だったから、去年はあんなに体調が悪くなったんだろう。
それに05年は私もいろいろ個人的事情で春から外に出なくて、あまり太陽に当たらなかったから、春から秋にかけてのあいだになるべく外へ出て日に当たれば、冬も健康に過ごせるんじゃないか?と、去年はとにかく時間があると外に出て日に当たっていたのは、以前夏にイタリア旅行をして真っ黒けに日焼けして帰って来たら、その冬は風邪を引かずピンピンで過ごした経験があったから。
しかし金沢の日光は弱くて(東京から電車に乗ると、新潟周りは越後湯沢あたりで、名古屋周りは北陸トンネルの今庄あたりで光線がガラッと変わる。弱くなる。冬に金沢から電車に乗って大阪に向かうと、北陸トンネルを抜けたところで、太陽がまぶしくてサングラスをかけるが、金沢は夏でもサングラスをかけるとまっ暗になる^^;)、イタリアという土地が人にエネルギーを与えてくれるパワーがあったからで(イタリア旅行をすると元気になるという人は多い)、あんなに必死で散歩したのに、その成果はこのたびの冬は全く無かったようです。

朝起きても重くて厚い雲が低くたれこめて、今が昼なのか夜なのか一日中分からなくて、部屋に置かれていたGパンをはこうとすると、湿った冷たさが肌にジワッとまとわりついて、骨がぎしぎしきしんで「痛い〜、気持ち悪い〜」とS字型に体をよじりながらうめくあの気持ち悪さは経験した人でないと分からないだろうし、経験した人には私が言葉を尽くさなくても分っていただけるだろう。

去年、天気が悪くなって、体調も悪くなったのは、ちょうど構想を練り終えて、さあ、そろそろ原稿用紙に向かおうか!という11月の末でした。そこからまったく仕事が進まなくなり、いったいどうしたんだろうと思いながら、だるい〜、ツライ〜、起きられない〜と床の上で転がる日々が続いて、漫画家というのは自分で自分の調子が分からないもので、仕事が進まないと才能が尽きたんだろうとか、そもそももともと才能なんて無かったんだ…と思って落ち込むものですが、去年とまったく同じ現象が二年続けて起きると(去年の今頃も新連載の第一回目だというのに体と頭が動かなくて、描きたいことの十分の一も描けない原稿を描いてしまった)、お天気がなにかカラダに影響を与えるんじゃないか?…と、因果関係について考えてしまった。

以下は、太陽光線が人体に与える影響について私が考察した結果です。

その一。
太陽光線が当たらないと、セロトニン、ドーパミン、メラトニンなどの脳内ホルモンが出なくなる。
ドーパミンは自閉症児に出ないといわれていて、セロトニンはうつ病になると出なくなるといわれていて、メラトニンは太陽に当たると出るとかで、不眠症患者に欠如しているといわれているホルモンです。

その二。
眠って起きたときも、疲労が回復していない。
寝ているときも緊張が取れないらしく、いくら眠っても疲れたままの状態で目が覚める。
これじゃダメだとさらに眠れば、腰が痛くなったり、頭がボーっとしたりして、症状が悪化して、ついには眠ることが苦痛になる。
たぶん体が冷えると代謝が悪くなって、古い細胞を新しい細胞に交換する働きが落ちるんじゃないかと思う。
なにしろ私は漢方でいう「腎虚」という血液の流れがとどこおる体質で、冬はプールどころか、お風呂に入っても血流が悪くなる 「冷え性」で、太陽の光がないと生きていけない体質なのだ。

人間の「こころ」とはなにか。
それは一週間前に食べた食物だ。
…と、どこかの科学者が言ってましたが、食物から摂取したたんぱく質がアミノ酸になり、酵素を作り、それが細胞を動かして(文科系には前後関係は分からないので、テキトーに聞き流すように)脳の各部を刺激して、それが人間のカラダに命令を送って、それによって起こる生理的活動の総体を「こころ」と呼ぶのだそうだ。

では、タンパク質が欠如すると人の「こころ」はどうなるか?
人が何かやろうとするときはA地点からB地点に移動する、というイメージをアタマに浮かべて、Bに移動したらなにかいいことがある、たとえば給料が出る、というニンジンを目の前にぶら下げてフンフン走ったり、AからBに移動せよ、という命令に逆らうと怖いという恐怖心で移動したり、…という幻想をどこからか与えられたり自分で作ったりして、A地点からB地点に移動する行為を実行するのだと思う。
ところがセロトニン等々の分泌が少なくなると、AからBへ行けといわれても、Bに移動したってなにもいいことはないんじゃない?、と自己停止したり、はてはAからBに移動するなんてことは私にはとてもできない…!という無力感に襲われて、移動しなきゃいけないのに移動できない自分はなんてダメな人間なんだろう…!という自己嫌悪がそこに加わって、うつへの下り階段が目の前に開ける。
そして、ダメだ〜、ダメだ〜、私はなんてダメな人間なんだ〜と床の上でゴロゴロしてるうちに、立ち上がる体力も無くなって、床や枕と永遠のお友だちになってしまう。
これは引きこもりの心理と同じような気がするが、漫画家という職業は引きこもりととても近いところにいる。

あれは先月の15日頃…でしたでしょうか。
お天気の良い日に神社の境内を通りかかったらちょうど「左義長」をやっていて、お正月の飾り物を燃やすたき火に当たっていたらなんだかぽかぽかアタマもココロも気持ち良くなって、やっぱりお日さまとたき火はいいなあ。石油ファンヒーターはぶうぶうやたら風を吐いて暴力的だし、エアコンディショナーは暖かい気は出てくるけれど骨までは暖めてはくれないし、「火」に直接当たると人間はこんなに満足して心底くつろげるのか。薪ストーブをウチの中に作ってそれに当たって暮らせたら幸せだろうなあ。…なんて思いながらくうくうたき火に当たっていた。

太陽光線が当たらないのは私だけじゃないから、たしかにこの辺りの人々の奥ゆかしくてお上品で引っ込み思案なところは、このうすら暗くて曖昧な気候のせいじゃないか?と思うが、人間には電気に敏感な人間とそうでない人間がいるらしくて、私のように電磁波に弱い人間は、ケータイやパソコンでビリビリ飛び上がってとても不便なんですが、太陽光線も電磁波なので、木や草に光合成を促するプラスの電磁波にも敏感に反応して、影響が大きいんじゃないだろうか?
さらには、この町に住むようになって以来、冬になると「つらい〜、苦しい〜」といつも悲鳴を上げていたが、これほどまでになったのはやっぱり年のせいで抵抗力が無くなったんだなあ。とか、いろいろ思って落ち込んでいます。

太陽が出ているとアタマもカラダもフツーに動いて、内臓のどこからともつかないところから押しよせる痛みも無く、ヘーキで仕事をこなせるので、これはたぶんみんな太陽のせいで、光線に敏感に反応する私のような人間は、もはや太平洋岸に引っ越すか、冬のあいだは仕事を休んで冬眠するかしか無いのかもしれない。
クマや昆虫が冬眠するのに必要な物質が発見されたとかいうニュースを聞いたので、それをサプリメントにすれば、人間も冬眠できるのかもしれないな。なんて夢見ています。秋にエサを蓄えて、冬のあいだは木のほこらか土の下でぐっすり冬眠。想像するだけで至上の幸福ですね。

以上、とにかく太陽さえ出ていればこんなに体調が悪化せず、もう少しまともな原稿が描けたのに…(トーンを張る前に〆切が来てしまった)、という言い訳をしてきましたが、ほんとうに怖いのは次です。
去年の1月2月はお日さまが当たらずまっ暗で、ますます体調が悪化して、4月にとうとう連載第二回の原稿を落としてしまった。
今年はいったいどうなることでしょう?

冬のせいだ、太陽のせいだ。と思いつつ、最近ガンで倒れる知人が多くて、予防のためにも、安心するためにも、初めて人間ドックを受けました。
たぶん大丈夫だろうと思うんですが、まだぜんぶの検査が終わっていないので、結果が出てから詳しく書きます。