20065月の トンテンカン劇場

2006/5/25(木) 『楽しい2006年ドイツW杯になりますように!

7月から歯の治療をすることを決めました(入院はしないですむ^^;)。
いったん治療すると決めたら迷いが無くなったので、「インフォームド・コンセント」はこちらの責任感を高めてくれるのでいいと思います。治療が始まったらそんなのんきなことは言ってられないかもしれないが…(^^;)。

ドイツへは行かないの?とよく聞かれるんですが、「行っかないよ〜」。

もうこりごりだ〜。というのが正直なところです。
98年フランスでダフ屋相手に戦って手に入れたチケットで予選リーグをいくつか見て、W杯は決勝トーナメントを見ないとダメだなあ…と思って、それも02年コリア・ジャパンで企業ダフ屋から買ったチケットで準々決勝を一試合見る機会に恵まれて(TONTENKAN劇場2002年「W杯観戦記」を参照のこと)、こういうものか…となんとなく雰囲気が分かったので、気がすんじゃったし…。
若い頃ならムリするのも楽しかろうが、あちこちガタピシして、リュックを背負ったフリー旅行ももうちょっと自信が無いなあ…という今日この頃、6月は大人しく仕事をします(笑)。

とにかくW杯観戦というのはもっのすご〜く疲れるのです。
W杯はTVで見るのが一番面白いのです。

あ、違う。ヤジ馬はTVで見るのが一番、です。
応援に行くなら、やっぱりスタジアムに行くのが一番です。
そこで思いっきり応援して、みなさん、壊れて帰ってきてください(笑)。
あなた方の怒りが、明日の日本サッカーを作るエネルギーになるでしょう。

私はアントラーズのファンだったことがないので、今のジーコ・ジャパンはどういうサッカーをやりたいのかよく分からなくて、それほど思い入れがないし、昨年の今頃にチャンピオンズ・リーグの決勝戦「ミラン対リバプール」をTVで見て、これがスゴイ試合で、前半ミランがものすごい攻撃で3点取ってもう勝負は決まったなと思って、消そうと思いながらTVをつけていたら、後半、なんとリバプールがものすごい反撃で3点取り返して、同点のまま延長戦になって、結局PK戦でリバプールが勝っちゃった?!
獅子奮迅の働きをしたリバプールのキャプテンのジェラードという選手のファンになりました。
ユアン・マクレガーとケネス・ブラナーを足して上下に引き延ばしたようなルックスで(異議は多いと思いますが^^;)、驚異的な精神力でチームを引っぱって、点を取っても喜ばない、笑わない。少年のような目をして、いつも上目使いで人を見る。シャイなのかな。カワイイ〜。ファンなんてものはいつもビョ〜キです。ほっといてください(笑)。

そのあとイングランドのプレミア・リーグで最強を誇るチェルシーの試合を見たときは、モウリーニョ監督のファンになりました。ポルトガル出身で、典型的ラテンの色男。向こうっ気が強くて、傲岸不遜で、性格悪そう(笑)。こういうカリスマ監督が欧州サッカー界には時々出る。ベッケンバウアーもクライフも監督としてのインタビューを聞いたときは「はえぇ〜」てなもんでしたし、ベンゲルもカッコイイし、かつてのミランの監督アリーゴ・サッキも、中年でも、ハゲてても、イタリアン背広をりゅうと着こなして、枯れても色気を発散するこういうオッサン、イタリアにいるなあ…。サッキはいつも違うサングラスをかけてて、メガネメーカーと契約してたのかな。モウリーニョ監督も背広はきっと契約ブランドだと思う。イタリアンかセヴィルロウかは知らない。

リーガ・エスパニョルもプレミア・リーグもむかしNHK衛星で見てたんですが、これほど刺激的ではなかったと記憶する。欧州共同体になってチームの運営形態が変わって、活性化したのだろうか?

とにかく次元が違う。サッカーといっても、まったく違うことをやっている。
こんな中にポンと日本がほうり込まれたら、う〜ん、結果は見えている。

体の動きが違うのだろうか。
以前ロンドンで歩いていて若い英国人にぶつかりそうになったとき、ジョン・クリーズの「シリー・ウォーク」のような体の動きでよけられたことがあって、骨の付き方が違うのか?と驚いた。
むかしから肉食だった人間は、コラーゲンを多量摂取していて、遺伝子的に軟骨が強いのか?
なにせこちらは百数十年前までナンバ歩きをしていた人間だ。
昨今話題のナンバ歩きとは、右手を出すときは右足を、左手を出すときは左手を出す、スキやクワを使って田畑を耕すときの体の動きだ。我々は農耕民族なのだ。
明治維新以後、鉄砲を持って戦争をするには右手を出すときは左足、左手を出すときは右足がいいと、学校の体育の授業でオイッチニと矯正されたが、阿波踊りを見ていると、右手を出すときは右足、左手を出すときは左足だし、郡上八幡で盆踊りを踊ったときも、右手-右足。左手-左足。なかなか振りが覚えられなくて苦労したのは、そのせいもある。

それとも精神的な問題だろうか?
サッカーというのはゴールキーパーを含めて11人でプレイする。フィールド・プレイヤーの10人はそれぞれ違う動きをしながら、全体で一つの動きにならなければならない。選手が「個人」なら、フィールドはいろいろな人が集まって作る「社会」だが、農耕民族のルールは「みんなで同じことをする」。でも同じことをしてると、相手に読まれて、簡単にガードされる。ガードを破って得点するには、人とは違う、予想を裏切る動きをする選手が必要だが、思考回路の違う人間たちがひとつの「ルール」を守って「社会」を作るという西欧の考え方を、日本社会で育った人間は学ばないし、そういうことをやる人は日本社会では「村八分」になる。

心配なのは今の日本代表より下のオリンピック代表やアンダー20やアンダー17の代表の成績が以前より悪いことだ。中田や小野や中村が出てきたとき、これからもっと凄い選手が育つだろうと期待したのに、あとが続かない。時代をになう選手が出てきたあとは、活躍の場を取られて後継が育たないものだが、彼らの地位を奪い取ってやる!というくらいの覇気がないと若手は育たないし、中田や小野の世代も若手の突き上げがないと、このままでいいんだと安住してしまって、それからの伸びが無くなる。

しかし私は最近日本神道に入信したので(宮脇昭先生の「鎮守の森」を読んで以来、神社探訪を趣味としている^^;。TONTENKAN劇場2004年12月2日「鎮守の森はムカデの夢を見るのか」を参照のこと)、サッカーで負けるのもしょうがないなあと思っている。
私たち日本人は西欧に比べて人と人との境界が曖昧で、ひとりひとりが違う人間だという意識が薄い。となりの人が違う人間だとなんだか不安を感じて、違うものといっしょに一つの「社会」を作るという緊張状態に耐えられない。
これは歴史的経緯からしょうがないと思うのだが、その利点もたしかにあるのだ。
ヨーロッパ旅行から帰ってきて、喫茶店で隣りのイスにバッグを置いて、ああ、ここは日本だなあとホッとする、あの一瞬。
外国を旅していると、公園だろうと、店だろうと、どこに座ろうとバッグのベルトは手からぜったい離さない。
98年のパリの下町で不良小僧たちがストリート・サッカーをやっているのを遠巻きにして通り過ぎながら、彼らがボールを奪い合いながら発散している殺気に、彼らが手にナイフを握っていないことを感謝したこと。
彼らにとって、ボールとナイフは同価値だった。ジダ〜ンもロナウジーニョもこういう裏通りから生まれたのだ。
ニートや引きこもりは親たちが豊かだからだが、それより裏通りに不良少年が増える方がいいと、誰にいえるだろう?

川淵キャプテンの薫陶か、日本サッカー協会の育成組織と施設は優秀で、福島にJビレッジという代表がキャンプをしたり、各県のサッカー協会から推薦を受けた少年たちが集められてエリート教育を受ける施設がある。先日TVでそこに集められた少年たちが「自分の意見を持って、それを他人に伝えること」という授業を受けているのを見て、ああ、これが日本だなあ…。教育しないと、学ばない。そして心が柔らかな若いときにそういう教育を受けた子供たちは、大人になってサッカー以外の道を選んだとき、きっと日本の均一社会のカベにぶつかって苦労するんだろうな…。

しかしこれから日本が国際社会で生き残っていくためには、みんなが同じことをする均質的社会であることはもう許されないのだから、「社会」というフィールドで「個人」というプレイヤーたちがどうやって動き、どうやってゴ〜ルするかがドイツでは問われるだろう。ジーコ・ジャパンにはなんとしてもがんばってもらいたい。どうせ日本が点を入れた、入れないが一番私の胃にはこたえるのだ。

しかしサッカーは勝ち負けがすべてではなく、美しさや知恵のパーフォーマンスを見ることが、W杯を見る喜びだ。
さもなければW杯で一度も優勝していないオランダが、なぜこんなにサッカーファンに崇拝されるのか、説明がつかない。

2006年のW杯でサッカーの精神性や美しさを見せてくれることを、私はイングランドのジェラードとブラジルのロナウジーニョに期待している。
ロナウジーニョはブラジルの選手で、黒い巻き毛の長髪で、笑うと出っ歯が可愛くて、リオデジャネイロの下町のコーヒーショップに行くと、こういうウェートレスが「まったく、給料安くてやんなっちゃうわね〜」などとボヤきながら給仕してるんじゃないかと思う。足が短いらしくて重心が低くて、走る姿にとても安定感がある。ホメてるとは思えないが、ホメているのだ。サンバのリズムで踊り、仲間にボールを出し、自分で得点する。 フィールドのダンサーである。

宇宙はリズムである。サッカーもリズムである。
サッカーは足で奏でる「音楽」だ。

ああ、イヤだな〜。日本人は今、世界で一番踊らない民族なのだ(除く:沖縄)。
右-右、左-左の盆踊りを忘れ、海の向こうから入ってきたダンスも特殊なものとしてしか受け入れない。「鹿鳴館」までさかのぼらなくても、映画「Shall We Dance?」の日本版とアメリカ版を比較参照すれば分かるでしょう?
私たち、かなりリズム感が悪い民族なのだ。ダンスを上手く踊れるようになるためにはどうしたらいいんだろう?

2006/5/15(月) 『当世流行最新歯科医師事情 -歯医者さんのシステムOSも変化した?-』

漫画家はみんな歯医者さんが苦手です。
たぶん漫画家でなくてもあまり得意な人はいないと思うんですが、歯というのは体が弱ったときに最初に影響が出るところらしくて、〆切前の徹夜続きで睡眠不足で焦って神経を使い果たしてフラフラになっている時に、必ず折れたり、欠けたり、つめ物が取れる。
そこで歯医者さんに行くと、歯医者さんは痛くないようにとの優しい思いやりから(?)麻酔を打って治療をしてくれる。麻酔を打たれると、切れたあとも頭がボーっとして、その日一日仕事にならない。たぶん診療台の上で体をこわばらせてじっとしていることで、その日のエネルギーをすべて使い果たすのかもしれない。

私は歯医者さんも怖いが、〆切も怖い
それで行ったり、行かなかったりということを繰り返していると、歯医者さんがだんだん不機嫌になる。この患者は治療しても無駄だ、と思っているのが分かると、ますます行くのが嫌になって、行かなくなる、悪化する、ますます行かなくなる…という悪循環に陥る。

しかももうすでにかなり神経を抜かれたので、虫歯になってもどこも痛くない。痛くないと人は歯医者へ行かなくなる。歯槽膿漏と世間では騒ぐが、歯を磨くときに血が出ないから私はダイジョ〜ブ、などと思っているうちに、どんどん悪化してしまったらしい。

「どこかにいい歯医者さんはいないか」というのは、たぶんすべの人が一生かかって探し続ける永遠のテーマだと思う。

とにかく早く歯の治療をしなければ、と歯医者さんを捜しているうちに、どうやらここ数年で歯医者さんに大規模な構造変化が起こったらしい。

まずレントゲンやコンピューターで徹底的に検査して、虫歯だけでなく、歯周病、歯根の状態、噛み合わせの状態をすべて調べる。
歯医者さんのほかに歯科衛生士さんがいて、口中にどういう細菌がいるか、唾液の性質は酸性かアルカリ性か調べて、虫歯になるのはなぜか、どうやったら虫歯にならないか、を教えてくれて、もう歯医者にかからないようにしましょうね、と歯磨きやキシリトールやフッ素の使い方をていねいに教えてくれる。
なにしろ口中の細菌をほうっておくと、それが体に入り込んでいろんな病気を引き起こすそうだ。
まったくもって食ってフンを吐くだけの単細胞生物がこんなに海にも地中にも体内にもたくさん棲息していて、彼らの働きがこちらの生殺与奪権まで握っているなんて信じがたいことだが、人間が地球を回してるなんて、きっとみんなで見ている夢に過ぎないのだろう。

歯周病を治すまでは義歯の型を取ってはいけないし(歯ぐきの形が変わるので)、古い治療は歯根に細菌が入って炎症を起こして骨を溶かしていることが多いので、再治療が必要。上下の噛み合わせがズレていると肩こりや頭痛の原因になるし、そこからまた虫歯になったりするので、それも治しましょう。

そう、あの8020運動である。(80歳になっても自分の歯20本で食べましょう)

歯だけではなく、歯茎もそれを支える骨も口の中の細菌もどうやって一番いい状態を保つか…を懇切丁寧に説明して下さって、カウンセリングを何回も重ねたのちに、治療法を提示して、さて、あなたの望みはなんですか?あなたはどうしたいですか?とこちらに聞いてくる。

そう、インフォームド・コンセントである。

むかしは歯医者さんは虫歯の治療か、歯の矯正だけして、それで歯が無くなったらみんな入れ歯だった。待合室がいつも混んでいて、雑誌を読みながら何時間も待たされたのは、予約制じゃなかったからだが、今は「無断で数回予約をキャンセルした方は、治療をお断りします」と最初に掲げているところもあって、患者としては複雑な心境になる。

「お任せします」と先生にすべて頼る時代は終わり、患者も勉強して、自分の健康は自分で判断して、自分の責任で治療法を選ぶ自己責任の時代になったらしい。医者はそのサポーターとして存在するのだろう。守備的サポーターではなく、攻撃的サポーターとして。

しかしガン宣告を受けた人が、「インフォームド・コンセント」で治療法を示されてどれにしますかと聞かれて、専門家でもないんだからそんなこと分かるわけないでしょ。と、途方にくれたという話を聞いたことがありますが、正直いって、私も今そういう混乱の中にある。
インプラントか、ブリッジか。平均寿命が延びた今、8020運動を目指すためには、一ヶ月くらい入院して朝から晩まで治療して、すべての治療箇所を治してもらったほうがいいのか…?などとあれこれ深く悩んで、いまだに結論が出せない状態でいます。

分かっていることは、最近こういう歯医者さんが増えているみたいで、たとえ今貴方に虫歯が無くても、こういう歯医者さんに定期的に半年に一度くらい通って、歯医者さんの言うことをよく聞いてそれを実践していれば、きっと私のようなことにはならないだろう、ということだ。

みなさんもどうか歯の健康にはくれぐれも気をつけてください。