| ヴィオラ・ダ・ガンバという、不思議な音色を奏でる楽器
を、サヴァールは弾くのですが、これはかたちも、足の間に挟んで弓を当てて弾くところもチェロにそっくりですが、六弦なので、四弦のチェロやヴァイオリンとはまったく別の楽器だそうです。
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これがヴィオラ・ダ・ガンバ。
チェロとそっくり →
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←でもね。よく見ると弦を持つ手のひらの向きが違うの。 |
ヴィオラ・ダ・ガンバは17,8世紀に、とくにフランスで上流階級の室内楽として栄え、チェロやヴァイオリンが盛んになるにつれ、衰退して消えてしまった楽器です。
弦は金属ではなく、羊の腸をよじったガット弦です。
その音色は、弦楽器のバリトンともいえるチェロに似ていて、たとえばヨーヨー・マの弾くチェロの音のツヤと、どこまでも広がる「気んもちいぃ〜!」という伸びこそ無いものの、その暖かい響きはじんわりと人の心に染み入って、やっぱりチェロのご親戚ではないかと思います。
ところで、わが敬愛するトスカニーニ大先生は、音楽院でチェロを学び、指揮者になる前はオーケストラでチェロを弾いていました。
今や古楽を超えてベルディまで(!)指揮する大家となったアーノンクール先生も、なんと古楽のヴィオラ・ダ・ガンバ奏者です。
チェロは「人間の声に一番近い楽器」といわれますが、これを弾く人間はきっと大指揮者に向くのです!(単に私がチェロを弾く指揮者が好きなだけかもしれないが…)
それにしても、アーノンクール先生はウィーンの貴族出身と聞いていましたが、あのマリア・テレジアと結婚したフランツ・ロートリンゲンの家臣としてウィーンにやって来た貴族の末裔とは…。(ロートリンゲンのことを知りたい方は、「ミッテル・オイローパの地平線」と「ハプスブルクの宝剣」(藤本ひとみ)をお読み下さい)、あの穏やかな町ウィーンもいろいろ歴史的地層が重なって複雑なんだなあと、ますます親近感を持ってしまいました。
サヴァールのヴィオラ・ダ・ガンバの演奏を聴きたい方には、オルティス「レセルカーダ集」をお薦めします。
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ディエゴ・オルティス Diego
Ortiz
レセルカーダ集
Recercadas del trattado de Glosas,1553
viola:ジョルディ・サヴァール
Jordi Savall
Clavecin:トン・コープマンTon Koopman
他
録音1990年
ASTREE ES9967
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チェロのようななめらかで遠くまで響くいい音は出せませんが、ひっかかってかすれるその音色がえもいわれぬ情緒をかもしだすヴィオラの魅力が、これを聴くときっと分かってもらえると思うし、伴奏のトン・コープマンのチェンバロは、サヴァールのヴィオラにシャンシャンシャンとまとわりついて、ひなたぼっこをしてる縁側の猫のようにじゃれたり、ちょっかい出したり、楽しそうに遊んでいます。
サヴァールのヴィオラ・ダ・ガンバの、今最高の到達点じゃないかと思います。
(サヴァールは「最高傑作」が多い人ですが(^^;)
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