オーディオ貧乏 その2
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♪ 私はLINNのまわし者 ♪
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渋谷のHMVは宝島!
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金沢へ帰りつく前に、ソフトであるCDの話をちょっとしなければなりません。 私はこのところルネサンス以前のヨーロッパ古典音楽を聴いています、というより夢中になっています。 以前から好きだったアーノンクールは、最近はレコード店に平積みになってたりして、おお、メジャーになったねと嬉し涙を流すんですが、彼もバッハやヘンデルなどのバロック音楽までしか演奏しないので、それ以前の名もない作曲家やルネサンス音楽や中世吟遊詩人の歌が聴きたい時はどうしたらいいんだろう、と本やインターネットでいろいろ探したんですが、そういうCDはほとんどヨーロッパの古学専門の小さいレーベルから出ていて、
輸入盤か、日本版が出てもすぐ廃盤になります。 金沢にはけっこう大きなレコード店がありますが、そこの「音楽史」の棚にも私が欲しいCDはほとんどありませんでした。 そこで山ほどCDを買い込んで、宅急便で送り、嬉々として金沢に帰ってきました。
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音の秘境「オーディオ・マン ディグ
AudioMan Dig」
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金沢から帰っても私は毎日、
にじゅうごまんのCDプレイヤーなんて、だ〜れが買うか〜。 と、つぶやいておりました。 東京から送った宅急便を開けて、このCDが床の上に山を作ったとき、私は決断の時が来たことを知りました。
ルネサンス以前の古楽というのは、ひとりで歌ったり、数人で合唱したりして、それを古楽器であるハープやリュートやヴィオール、フィドルなどの弦楽器で伴奏します。 音楽というなら、近代音楽の方があでやかな旋律とバラエティに富んだ演出で人を楽しませるし、古楽器は近代楽器に比べるとパワーと技術と性能が圧倒的に劣るので、聴いてると音の伸びは悪いし、ボリュームも出ないし、つっかえてしょっちゅう弾き間違えるし(作りが素朴なせいか、奏法が難しいんじゃないかと思うんですが)、ヘタな古楽CDを聴くと、田舎のお祭りで時代遅れのシロウト楽団がナベカマたたいて大騒ぎしててうるさいなあ、とか、600年前の楽譜を復元してご苦労さまでした、勉強させていただいて感謝します、さよーならーとか(笑)、じっさいこういう古楽CDも何枚か買ってしまって、かなり悔しいんです(笑)。 一方よくできた古楽CDは、今の近代楽器には出せない曖昧で微妙な音を出す古楽器を使って、そのアーチストの想像力と精神性が数百年前の音楽と共振したとき、音楽にはこういう力もあったのか…と、私たちに新鮮な刺激と驚きと感動を与えてくれます。 でもそういう音楽を受け取るためには、和音をタバにしてハンマーにかえて振りおろす機械より(かなり根にもってます)、微妙で曖昧な音の響きを忠実に正確に再現する機械が必要なのです。 にじゅうごまんのCDプレイヤーなんて、だ〜れが買うか〜。 しかし買ってきたCDをかけるためには、LINNのCDプレイヤーが必要なのです。
さあて、どこで買うか〜と、インターネットでLINNのH.P.に行きました。
LINNはスコットランドに本拠を置く1972年に創業された高級オーディオメーカーです。 そのホームページにはLINN製品を扱うお店のリストがのっていて、北陸では金沢だけに「オーディオ・マン ディグ」という店があることを知りました。 そこにはLINNのCDプレイヤーGENKIと、CD・チューナー・アンプのCLASSIK-Kがありました。 秋葉原の「ダイナミック・オーディオ」でもそうだったんですが、LINNの話を始めると止まらなくなる人が多いようです。人間に優しいオーディオですよ、設計が根本的に違うんです、これが音楽ですよ。 日本人にとって音楽は、ずっと海外の音楽を再生装置を使って聴くことだったような気がします。 そこにあったLINNの一番安いCDプレイヤーGENKIを、これ持って帰っていいですか?といって、月賦のチェックを切り(あいたた…)、ダンボールの箱に入ったCDプレイヤーGENKIを胸の前にしっかりとかき抱いた私を、オジサンは車で家まで送ってくれました。 その日から私はLINNのCDプレイヤー持ちになりました。
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欲望は空の果てまで
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本当にいい音です。 しかしここにひとつ問題が生まれました。 オーディオ・マン ディグ AudioMan Dig で聴いたシステムは、アンプがLINNのCLASSIK−K、スピーカーがB&W(これは英国のメーカーで、けっこういい音を出すと思う)。 じつはSANSUIのアンプを使ってると言ったとき、日本のメーカーのアンプではLINNの機能を引き出せないから、同じ値段でアンプ、CDが一緒になってるCLASSIK−Kを買った方がいいといわれました。 しかしGENKIが元気な音を鳴らしたのはLINNのアンプ機能を使っていればこそだったらしくて、オーディオ・マン ディグ AudioMan Dig で聴いた時に比べると、ウチの「協奏交響曲」は音が不安定で、あのすみからすみまで力強く鳴らすパワーは、ウチのシステムでは響かないのです。
音の本質は振動だそうです。 次はアンプですかあぁ(嘆息)。 それにしてもLINNのネーミングってヘンですね。GENKIだのIKEMI(アイケミですが、アケミってよく読み間違える)だの。ここはいつもCをKに置き換えるそうで、ケルト語にそういう語法があるのでしょうか(スピーカーにKELTIKというのがある、160万円)、でも社長さんに日本人のガールフレンドがいるのかもしれない(笑)。 SANSUIのアンプは部品生産終了につき修理不能のお墨付きをもらっている、今度壊れたら埋め立て場行き不燃ゴミ決定品なので、そのうちLINNのMAJIK購入のための積立預金を始めなければなりません。24万円は大金です。 SANSUIのアンプが壊れるのが早いか、MAJIKゲット積立預金がたまるのが早いか、デッドヒートになりそうです。 おまけに年代物のTANNOYのスピーカーも、そう長くは持たないような気がするんです。
後頭部をハンマーで殴られる心配がなくなってホッとしてますが、どうもこれから私は死ぬまでビンボーを運命づけられたような気がして、その辺ではちょっと、かなり落ちこんでいます。 でもLINNは一生ものだっていうし(修理部品何年あるかな?)、LINNのCDプレイヤーが来てから、私の生活は確かに楽しくなったようです。 LINNのCDプレイヤーで好きな音楽を聴いていると、いけ〜、そこだ〜!うわーお、やった〜っ!と叫んで騒いで(サッカーの応援じゃあるまいし、握りこぶしを振り上げてタテノリでクラシックを聴く私も私だと思う)、いつの間にか心が息をついて、体が楽になるのが分かります。
音楽って不思議ですね。 リンゴ畑のスピーカーは、TANNOYかしら、それともBOSE? ちょっと知りたい…(笑)。
とにかく、みなさん、音楽を聴きましょう。そして楽しく歌って踊りましょう! 音楽がないと人は踊れません。 私たち人間が生きていくためには、音楽が必要です。
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