オーディオ貧乏
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♪ 私はLINNのまわし者 ♪
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これまでのお話し(TONTENKAN劇場2001年6月を読むともっと詳しく分かるかもしれません) | ||||||||||||||
私は二十年近く前に買った年代物のステレオセットをまだ使っています。
20年前は最先端の顔ぶれでしたが、寄る年波にCDプレイヤーとカセットテープデッキの調子がおかしくなり、この6月に修理に出したところ、 さすが二十年近く前の製品なので、部品生産終了につきもはや修理不可能とのメーカー側からの回答をいただき、新しいのを買おうと探したところ、カセットテープは今やMDに切り替わろうとし、CDプレイヤーはほとんどDVDコンパチ製品という、時代の変遷を目の前に突きつけられました。
決定的だったのは、DVDコンパチプレイヤーでグレン・グールドの「ゴルトベルク変奏曲」をかけたときでした。 以来、私は新しい専用CDプレイヤーを買うことを固く心に誓い、「DVDプレイヤー」のことを秘かに「コンパチハンマー」と呼ぶようになりました。
ところでこのグールドの「ゴルトベルク」のCD(亡くなる前の1982年録音盤)を、新しく買ったLINNのCDプレイヤーで聴きますと、ピアノの一音一音が宝石のように響いて、身を震わせるほど美しいのです。
新しいCDプレイヤーを買おうと決心したものの、金沢市内の家電量販店にはミニ・コンポとラジ・カセしか置いていないし、インターネットで調べたメーカーはもはやオーディオ製品の製造を止めていて、私はいったいどこへ行ったらマトモなCDプレイヤーを買えるんだろう?と頭をひねったたあげく、そうだ、秋葉原だ!と、はるか東京へ買い出しの旅に出ることになりました。
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秋葉村へ行こう! | ||||||||||||||
東京へ着くやいなや、とるものもとりあえず駆けつけたのは、パソコンとオタク同人誌と家電商品の殿堂、秋葉村です。 私は聴き比べをするために「ヨーヨーマ・プレイズ・ピアソラ」のCDを胸に抱えていました。 |
「秋葉村」地図
中古ショップ(買い手の責任、無責任) | ||
まず安いとこ!と、私は駅を出て「ラジオ会館」に行きました。 そこで、私の足が止まりました。
数日後にまたそのお店に行ったとき、ZX-5は消えていました。 あの時買っておけばよかったのでしょうか。 地図の「ラジオ会館」の左下の赤い建物は名前がありませんが、「ダイナミック・オーディオ中古センター」です。 |
サウンドハウス(LINNに一目惚れ) | |
CLASSIK-K (25万円) CDプレイヤーではなく、 |
秋葉原のあちこちに数軒のお店を持つ「ダイナミック・オーディオ」は、インターネットで調べた限りでは、秋葉原で一番精力的にオーディオを扱っているお店でした。 その時、棚にLINNというメーカー名が目に入りました。 あ。これ、違う。今まで聴いたCDとはまったく違う音だ。 ヨーヨー・マのチェロの音が、まるで目の前で弾いているようにくるくると空中を旋回してこちらに届きました。 これが私が探していた音だ。これが欲しい。これでなきゃイヤだ。 それはLINNのCLASSIK-Kという機械で、25万円でした。 中古ショップを回ってきたところだった私は「この中古は出ませんか?」と聞きました。 9月の秋葉村は、もう夜のとばりに包まれていました。 にじゅうごまんのCDプレイヤーだとおぉ〜。 たっかが部屋に流して退屈を紛らわすための「音の壁紙」を作る機械じゃあ〜りませんか。 |
ダイナミックオーディオ5555本館(亡国のジグラット) | |
GENKI LINNのCDプレイヤーは |
そして辿りついたのは、ダイナミックオーディオ5555本館でした。 昌平橋通りに面していて、タテに細長く、けして広いビルではありません。 モダンなインテリアの数部屋をいくつかのコーナーに区切って、そのコーナーごとにいろいろなコンポーネント機械を組み合わせて試聴コーナーが作られています。 そのコーナーの目立つ一角に、LINNの名前がありました。 でもフロアにいた店員さんはすっごく優しかったんです。アタシなんか買う客じゃないって一目で見破ったハズなのに、「どんな音楽お好きですか?」とか、「今どんなオーディオお使いですか?」とか話しかけてくださって、電気が消えているシステムがあるとスイッチを入れてくれて、いろいろなものを聴かせて下さいました。私、店員さんに敬語使ってますね。ビンボーって悲しい。 ところで、私が行ったのは六階でしたが、恐ろしいことに、このビルには七階があるのです。 |
ヤマギワ電気(お気に召すまま)
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ダイナミック・オーディオ5555本店から中央通りに向けてダーッと走ると、ヤマギワ電気東京本店にぶつかります。 やはりコーナーを区分して、高級品から廉価品まで、海外メーカーから国内メーカーまで、いろいろなステレオ・システムを組み合わせて展示していて、試聴もできて、たくさんの機械を置いているので、いろいろな選択肢から自分に合ったステレオシステムを選びたいと思っている人には、便利なお店かもしれません。 だから印象が薄かったんですけどね(^^;)。 |
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秋葉原の空の下で | |
疲れ果てて、肩を落として、秋葉原から帰りの電車に乗ろうとしたとき、駅の横のビルに挟まれた広場で、南米から来たらしい数人の人たちが演奏していました。
南米の音楽集団が街角で演奏しているのにはこれまでにも何度か出会いましたが、今まで聞いたことのないほど艶やかで美しい音で、思わず足が止まりました。 オーディオショップにいくらン千万のステレオセットが溢れていようと、ビルの谷間に響くこの笛の音にまさる音楽を聴かせてくれる機械はこの世にはないのだけどな。 しかし専属の南米楽団や、四重奏団や、オーケストラや、ジャズ・バンドを雇っておくことができない以上、人は再生装置を必要とするのです。 そんなことを考えながら、中央線の電車に乗りました。 私の心は、もはや、どうやら、しっかりLINNのものでした。 でもSONYやTEACの最新型CDプレイヤーが特売価格18000円で売っているこの秋葉村で、ン十万円のCDプレイヤーを買う決心はつかないまま、私はそのまま金沢へ帰りました。 …金沢へ続きます。 |
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