『描かれなかった、そして永遠に描かれないだろう物語』

眠れる森の魔女

紙上大ロードショー

↑ユルゲンくん

むかしむかし
魔女の呪いを受けて、イバラにおおわれた城で、
王子サマが来る日まで眠り続けるお姫サマがいました。


とあるドイツの村(これはドイツでなければならない、やっぱ)
時代は…不明。

グーリとマルコという二人連れの遍歴の騎士が村へやって来ます。

さめざめと泣いてる村人たち。
ワケをたずねると、
「昔々 誕生日に招かれぬことに腹を立てた妖精がお姫さまに呪いをかけて、
16歳の誕生日に糸巻き車に指を刺して眠りについたのです。」

「あ、聞いたことある。」と、マルコ。
「まだ眠ってるの?しつこいね。」

「へい。ところが、眠っても、眠っても、王子様が迎えに来ないんで、お姫さま怒っちゃいましてね。
とうとう自力で生き返り、この世のすべてを呪って、この世に不幸をもたらし、
人々を苦しめてやると決心したのです。」

「毎年若くて美しい男をお城に差し出すのじゃ。
イヤだと言ったら、夏には太陽をカンカン照らして畑を干上がらせて川を枯らしちゃうぞ。 秋には台風を呼んできちゃうぞ。 冬には大雪降らしてみんなを凍え死にさせちゃうぞ。 春は洪水を呼んでくるぞ。 そんでもってペストなんか流行らせちゃうぞ。戦争も起こしちゃうぞ。
言うこと聞かないとホントにやっちゃうぞ〜。ホーッホッホッホ〜!

「なんてひどいお姫さまだ…」
「おかげでこの辺りの村では毎年回り持ちで若者を一人選び、
生け贄としてイバラ城へ送り込むのです。
今年はわしらの村の番。この粉屋の息子ユルゲンが…」

騎士グーリ、ユルゲンを見て、ドッキリ。
けぶる金髪。すんなり手足。優しい微笑み。
美形である。

「どうなるんだ、彼は?」
「なんせ帰ってきた者はおりませんので…
ウワサでは姫のオモチャにされたあと、頭からガリガリ食われてしまうとか…」

「お逃げ、ユルゲン。私たちがどうなろうと、おまえが死ぬよりは…」
涙にくれる両親。
「泣かないで、父さん、母さん。
僕が行かなかったら誰か他の人が犠牲になるだけだ。
大丈夫。
僕はおとなしく食われたりなんかしないよ。
姫や悪い妖精と戦ってきっと倒し、この村を呪いから開放してやるんだ!!」
なんてケナゲ。

「よしっ!!私も一緒に行こう!」と、騎士グーリ。

おどろく村人たち。

「我々は人類の愛と平和のため諸国を遍歴している騎士です。
お話を聞いた以上、このまま通り過ぎるわけにはいきません。
悪いお姫さまを退治し、息子さんを連れ戻し、この村に幸せと平和をもたらすこと。
これぞ我らが使命です!!!」

「…愛と平和ね」

こうして一人は愛と平和と邪念に燃えて、一人はそのよこしまな意図を察知しつつ、
三人はイバラ城に向かって出発しました。


深い森を抜けようとするとき、化け物が襲ってきます。
白地にオレンジと茶色のラインが入ったカラーの化け物ですね。
一人白黒タテジマのちょび髭はやしたコーラーバチという名の化け物がいます。
マルコ、これが苦手で逃げ回ります。
「助けてくれ〜」「マルコ!戦うんだ!君なら勝てる!」

空を駆ける「魔法のソックス」、敵から一瞬姿を見えなくする「魔法のクライフ・ブーツ」の力を借りて、なんとか執拗な化け物の追跡から逃れ、
野越え山越え、三人はやっとイバラ城にたどり着きました。

「なあ。お姫さまを誰がやってるかイヤな予感がしないか…」


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