1998 World Cup France
June 16

ちょっと青空が見える。今日から天気が良くなると天気予報で言っていた。
当たってくれることを心から願う。

今日、S社のM嬢が日本からやって来る。
「W杯行きませんか?」と誘ったら、「サッカーは興味ありませんが、W杯は面白そうですね。
フランスは大好きなので行きます。」と答えた仏文科出身の編集者だ。
「W杯行きませんか?」のあとに「チケットは無いんですが」と付け加えると、たいがい断られた。
「ダフ屋ですか。面白そ〜!」と答えたところから、かなり変わった人であることが分かる。

気楽な一人暮らしも今日でお終いと、部屋を掃除してゴミを出し、観光でもしないと腐っちゃうよとオルセー美術館へ行った。

メトロを乗り継いで、セーヌ川湖畔のオルセーへ。
さすが印象派美術館。日本人がめちゃ多いぞ!。
ゴッホ、セザンヌ、ルノワール、モジリアーニ、ロートレック、マネ、モネ、ドガ、ゴーギャン、ミレー、ルソー。
どれも、一枚でも日本の美術館にあったら客を呼べそうな絵ばかりだ。
そんなのが何百枚もズラッと並んでいる美術館だ。

オルセーは19世紀の古い駅を改造して美術館にしたので、駅舎の丸屋根の下が中央の吹き抜け通路になっている。天井が高くて気持ちがいい。
しかし、フランスの美術は中世から19世紀末へポンと飛ぶなあ。
イタリアと比べると、浅いなと思ってしまう。
しかもモジリアーニはイタリア人、ピカソはスペイン人。
フランス美術はほとんど外から入ってきた外国人が作ったものじゃないか。
受け入れるその度量が、フランスの才能なのかもしれない。

Bellevilleへ戻り、M嬢歓迎のため、ハムやパテやアーティチョクの酢漬けやワインを買い込んで、彼女が来るのを待つ。
予定の10時を過ぎても到着しない。
11時になっても到着しない。
チケット騒動でフランス行きを止めたんだろうか。
捨てられたのねとメソメソ泣いていると、電話が鳴った。
「今空港なんですが、ロンドンからの乗り継ぎ便を間違えて、Lost Baggageになっちゃって。今からそちらへ向かいます〜」
最初からぶっ飛ばしてくれる。

12時過ぎに到着した。
ヒースローで買ったというクッキーと紅茶とジャム。それに赤ワインとパテとハムのゼリー寄せで宴会を開始した。ヒースローで乗り換え便を間違えて、違う飛行機に乗ってシャルル・ド・ゴール空港に着いたそうだ。
同じH.I.Sのチケットだったからいいんですけど、荷物がLost Baggageになっちゃうなんてひどいわ。
ふつう違う飛行機に乗ったら、着かないものだよ。お嬢さん。
トランクが行方不明で肩かけバック一つでやって来た彼女に、着替えや歯ブラシを貸す。

「も〜出てこないかな〜。イッセイのドレスと雑誌の切り抜き入ってたのに〜」

イッセイの服や雑誌の切り抜き目当てにトランクを盗むヤツもいないだろうから、そのうち出て来るんじゃないかと言ったが、トランクが出てくるまでパリを動けなくなった。

動けないから困ったなじゃなくて、しばらくパリから動けないという目安が出来て、ちょっと動きようが出来たなと思ったのだ。

今日ナントでブラジルがモロッコに勝ち、一番乗りで決勝リーグ出場を決めた。

 

 


ヤback

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