昔、ロスアンジェルスに三人の刑事がいた。
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ジャック・ビンセンズ(ケビン・スペイシー) |
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「強くなければ生きていけない。優しくなければ生きてる価値が無い。」と昔のハードボイルドは強がりを言っていましたが、アメリカ社会の反映なのか幼年期体験のせいなのか、ジェームズ・エルロイの小説の主人公は「オレはこんなにダメな男なんだ〜」と叫びながらすべてを破壊しまくるようなところがあって、いやあ、時代は変わったんだなあと思います。 ジェームズ・エルロイの小説「L.A.コンフィデンシャル」は「ブラックダリア」「ビッグノーウェア」「L.A.コンフィデンシャル」「ホワイトジャズ」からなる「L.A.四部作」の一つで、L.A.の警察官やギャングたちの人間模様が複雑に絡み合いながら40年代、50年代のアメリカの社会や組織の暗黒部を浮かび上がらせるという構成です。(映画でエドに殺された人も小説では生きててまた出たりしてます。) それにしても、見事な脚色です。 映像美なんて口で説明できるものではなくて、見ていただくしかないんですが、この映画の構図や人物の動きはすべて横広の映画館サイズで緻密に計算されていて、ビデオだと違うものになっちゃうんじゃないかと心配です。例えば人物が二人壁に寄りかかってえんえん話すシーンがあるんですが、これTVサイズだとどこに焦点合わせるんだろう。 闇と夜がとても魅力的な映画です。 「タイタニック」が無かったらアカデミー賞を取れたろうと言われたそうですが(キム・ベイシンガーの助演女優賞と脚色賞のみ)、う〜ん、どうかなあ。私の好きな作品はあんまりアカデミー賞が取れないので(「スターウォーズ」とか「バットマン」とか「ダイハード」とか)これも無理だったんじゃないかなあ。 このカーティス・ハンソンという監督の撮った高村薫映画を見てみたいななんてちょっと思いました。 「コンフィデンシャル」とは「機密書類」という意味です。世の中の真実はいつも明かされないまま闇から闇へ葬られていくのです。 (ジェームズ・エルロイ) 文芸春秋社刊 文庫も出ています。
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