Shang-hai 1945

 

 

ユダヤ人、白系ロシア人。
祖国を失うというのはどういうことなのか、私には分かりません。
かつてあった国がなぜ無くなったのか。なぜ滅びるのか。なぜ世界は壊れるのか。
今日暮らしているこの現実すら、日々刻々変化してやがてはかなく消えていく。

確かなものなどどこにもない変化し移ろうこの世界で、それでも必死に何かを探し続け、
どう生きたらいいのか迷い続ける、しょうこりのない本郷さんです。

映画「カサブランカ」と日活ロマン・アクション映画の大ファンであることを告白します。

故寺山修司さんの

「マッチする つかの間 海に霧深し 身捨つるほどの 祖国はありや」

という短歌が好きで、それをつぶやきながらこの作品を描いていました。

波止場でトレンチコートをはおった男が煙草に火を付けます(バックミュージック「夜霧よ、今夜もありがとう」)。
彼は一瞬の光の中に自分の来し方を振り返り、なぜこんなところへ来てしまったのかと自嘲し(きっと香港か台湾の取引相手を待っているんでしょう)、フッと顔を上げて霧の中に歩き出すのです。

 

 

 

 

 

 あれから幸せになれましたか、本郷さん?

 

 

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