ヴァレンチーノ・シリーズ

 

ヴァレンチーノ・シリーズ1
スキャンダルムーンは夜の夢
ISBN4-8124-0712-5
(590円+税)

スキャンダルムーンは夜の夢
レヴァンテの黒太子
花のサンタマリア

あとがき有り

ヴァレンチーノ・シリーズ2
嘆きのトリスタン
ISBN4-8124-0713-3
(590円+税)

恋のページェント
嘆きのトリスタン
カスティリアの貴婦人
月空遥かに…

 

 

 




 

昔、「ヴァレンチーナ・シリーズ」という連作を描きました。
女ながらにヴェネチアの元首(ドージェ)のヴァレンチーナを主役に、画家マーカントニオや錬金術師アエリア・ラエリア・クリスピスやお母さんなど脇役がしゃしゃり出てくる、15世紀のイタリアを舞台にしたコテコテの歴史コメディ(?)です。
20年くらい前の「LaLa」(白泉社)に切れ切れに連載しました。

このたび竹書房さんが「ヴァレンチーナ・シリーズ」の文庫本を出したいと言って下さいまして、「ええっ、あのようなものを〜」と恐縮していてたんですが、昔の作品を忘れずに、出しませんかと言って下さる方がいるのはありがたいことなので、お受けすることにいたしました。
昔、白泉社から3冊くらいのコミックスで出ていたんですが、ずっと絶版になっていて、うう、うれし、はずかし、懐かしい。。。

 

 

 

歴史コメディといっても時々シリアスにもなりました。
「月空遥かに」とか、「花のサンタマリア」もシリアスものでした。
このカラーは「花のサンタマリア」の後編の表紙です。
主役は錬金術師のアエリア・ラエリア・クリスピスで、前後編の読み切りでした。

「花のサンタマリア」とはフィレンツェの花の聖母寺、サンタマリア・デル・フィオーレ寺院のことです。
当然舞台はフィレンツェです。
神学生だったアエリアがなぜ錬金術師になったか…という暗い過去を描いたストーリー。

政治と宗教が深くからむので(イタリア・ルネサンスにこの両者は避けて通れませんが)当時の私はこの物語を描くにはホントにまったく呆れるほどの力不足で、描ききれなかったなあとのちのちすごく後悔して、そのぶん記憶に残っているし愛着もある作品です。
そのあとも手を変え品を変えて同じテーマを繰り返し描いているような気がします…。

なにせ描いたのが20年くらい前で、白泉社から出ていたコミックスはとっくに絶版になり、
10年ほど前に角川書店から出た森川久美全集に収録されましたが、それも今は絶版で、
店頭に並ぶのはすっごく久しぶりです。

この本を買って下さる方はむかし読んでいた方なのかな。
それとも初めて読む方もいらっしゃるのかな、私にはよく分からないんですが。

いろいろ気に入らないところや「Siii〜t!」と叫んで埋まるための穴を掘り始めるところもありますが、いろんな時期、いろんなモチーフで描いた作品がぜんぶで七つ。
そのうちどれかひとつでも、いろいろ出てくる登場人物のだれか一人でも、もし気に入っていただけたら作家は嬉しいです。

 


 

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