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芳紀66歳
自動車学校てんやわんやのてんまつ記(5)


車をつくづく眺めるなんて、これが初めてだ。
「なんと、車とは大きいものであるな」と思ったのが第1印象で、このようなものを運転するのは、とてつもないことのように思われた。
私はこれまで、環境問題を第1のテーマとして児童文学を書いてきた。車に乗りたいと思ったこともないし、こんな車が欲しいと憧れたこともない。いわば、まったくの無関心だったのだ。あの日、i先生が車を乗り換えたのに気が付いたのも、白色が、目も鮮やかな若草色に変わっていたからだ。車の白が黒になっていたとしても、私は気が付かなかったに違いない。
しかし、車が大きいからといって、怖気づいてはいられない。いつも天気でいるわけはないし、雨が降れば、いちいち誰かの手を借りてしまうことになる。
私は電話帳を繰った。
「どの自動車教習所が良いのだろうか?」
いろいろある。よりどりみどりという感じだ。
私は、N自動車学校に決定した。何を基準にしたかというと、場内のコースが広いということだ。車は走らせて身に付くものだろうと思う。なんとなく、練習場が広いほうが有利ではないかと思ったからだ。
いよいよ学校に通うことになって、さて私が困ったのは、コンタクトのことだった。私は、すごい近眼なのだ。
私は高校を卒業して、お金を溜めて初めて買ったものがコンタクトであった。それを、奇跡的に今でも失くさずに、使っている。
ところが、右目のコンタクトと眼球の間にガラス状のゴミが入ったのが原因で、左目だけしか、はめないようになってしまっていたのだった。若いころからだから、かれこれ40年近くそうしてきた。私は恐る恐る、コンタクトの入れ物から、片付けていた右目の分を取り出した。

 

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