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芳紀66歳
自動車学校てんやわんやのてんまつ記(20)


仮免を取得したのは土曜日だったので、実際に『仮免許証』を手に取ったのは、1月19日の月曜日だ。仮免許証は、ちょうど葉書大くらいの白い用紙に、入校のときに撮られた私の写真が貼ってある。へんてつもない無愛想な白い用紙だけど、嬉しくて誇らしくて、みんなに見せて歩きたい気持ちだ。
さあ、これで私は、いよいよ路上を走ることになった。「ううーん、大丈夫かな?」と言いそうになるのを振り切るように、私に配車された番号の自動車めがけて歩いていった。
まずは自動車の点検をびっしり教えられてから、やっと乗車。
N自動車学校の校門は、表も裏も、外に出るにはゆるやかなスロープを登って行かなければならない。
出発は裏門からだった。スロープを上がり切って道路に出ると左に曲る。そこも、ゆるやかだが、今度は下り坂になっている。その突き止まりを左に折れると直ぐに踏切がある。狭い道だ。踏切を渡ったとたん、変則的な三叉路、いや、人が通れるような道も勘定に入れるとすると、もう1本道が加わることになる。おまけにそこは、なだらかな傾斜の頂上といった雰囲気なのだ。「ほへー!」である。矢継ぎ早に指示を出してくる先生に、こちらは目を回しそうになりながら、左と言われれば左に、右へと言われれば右に曲る。
「50キロの道路標識、見えたかな?」
「いえ、見えてません」
「ここは50キロ出すところだよ、50キロ出さなきゃ」
「はい」
「なんで、そこでスピード落とすの?」
「横から車が……」
「こっちが優先道路だから、出てこないよ」
「そんなこと言ったって、もし出てきたらどうするんですか!」
「ほら、運転者がこちらを見ているでしょ。こちらに気づいているからね」
「はあっ、そこまで見るんですかぁ!」
「そうですよ。えっと、左に左にと寄っちゃダメ」と、先生はハンドルに手を伸ばして修正した。対向車が来るたびに、私はどうしても左に寄ってしまうらしい。
「また、ダメ、そんなに左へ寄っては、路肩に接触するよ」
と、先生はまたハンドルに手を伸ばす。
「でも、大型車がきたら恐いですもん」
対向車が大型車のときは、ごーんと響くような音が伝わり、恐怖すら感じてしまう。
こうして、試練の路上教習がはじまったのであった。

 

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