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芳紀66歳
自動車学校てんやわんやのてんまつ記(19)


うかつなことにJR奈良行きに乗車してしばらくしてから、きょうが土曜日だったことに気がついて私は飛び上がった。土日はJR奈良に送迎バスは来ないのだ。「ひやあ、どないしよ!」JR郡山で飛んで降りると、近鉄郡山駅めがけて走った。「なんというバカ、ドジ!」雪が降って傘を握っている手が冷たい。そして何と荷物の重たいことよ。(どうか試験に間に合いますように!)心は焦っても体は重たいし、足が思うように走ってくれない。近鉄電車に乗ってからも、電車の中で足踏みでもしたい気持ち。しかし西大寺駅で、雪にも関わらずタクシーが拾えたのは、運に見放されていない証拠かもしれない。タクシーには門の中まで入ってもらい、2階の大教室に向かって駆け上がる。「間に合ったー!」
大教室では、3つの場内のコースが説明され、そのどれか試験官から指示されたコースを走るらしい。果たして(Aに当たるか、BかCか)と思うと、胸がドキドキと高鳴ってくる。
一通りの説明が終わた後に、教官が突然こんなことを言い出した。
「今から昼の休憩時間になります。その間はコースに自動車は走りませんので、今回初めての試みではありますが、休憩時間中にコースを歩いてみるといいですよ」「ええ、えっ!」と私は耳を疑った。なんという偶然!(これは、あの掃除のおばちゃんの言ってくれたことではないか!)私はチャイムとともにコースに飛び出して、歩いた。さかんに雪が舞う中を傘をさして歩いた。(ああ、コースを歩いてみると、なんと良く分かることだろう!)自動車を運転していると低い位置から眺めることと、また部分しか分からないので、一体自分がどこをどう走っているのか見当がつかなかったのが嘘のようだ。これで、普段より雪の分スピードが出る、ということだけ気をつけてれば良いんだ。「絶対に受かるよ、おばちゃん」と私は心の中でつぶやいた。
まずスタートはスムーズにいった。坂道を上がり、それからの下りのエンジンブレーキもばっちり。S字とクランクも無事通過。信号も車線も問題なし。踏切も難なく通過。後はフィニッシュ、左側白線の横30センチに止めることだけを考える。
念じていたのが通じたのか実技は通った。この後すぐペーパーテストがあった。そして、第一の関門の『仮免』に合格したのである。

 

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