ホーム

 
 
 

(工事中)かぐや絵巻

 
 
 

メイキング・オブ・草子

 
 
 

グッズ販売

 
 
 

Reikoかわら版

 
 
 

リンク

 
 

お知らせ飛脚便

 
 

Reikoの執筆最新情報

 
   
 
   
 

芳紀66歳
自動車学校てんやわんやのてんまつ記(18)


実技の車に乗りに行くあいだ、玄関に生徒たちが溢れるように立っている。私も案内のアナウンスを待って立っていた。
と、私の足元に、誰かが、けつまずいたのか、空缶が転がってきた。拾って、缶ゴミ捨てに近寄ると、「ありがとう、拾ってくれてー」と声を掛けてきたのは、掃除のおばちゃんだった。
「はあ、いいえー!」
「あんたぁ、なんでぇ、免許取りにきはったん?」
「うちの主人が、足を折ったので」
夫という言葉を使用してもいいのだが、夫という名称では聞き取ってもらえないことが多い。「えっ? オットォー!?」なに?それ?である。
おばちゃんは、
「ああ、やっぱりそうかー!」
と、ため息をつくように言った。
「若い女の子ぉでなくて免許取りにきてる人はー、なんかかんか、事情がある人ばっかりなんやなぁ!」
「えー、そうなんですかぁ!?」
「そうやでぇー! ご主人が病気とかぁー、また家族が病気とかぁー、そんなんが多いわなー」
と言い、最後には、「頑張りや」と励ましを言ってくれるのであった。そんなことがあってから、おばちゃんと私とは、廊下ですれ違うときなどに、微笑みを交わすようになっていた。ある日、おばちゃんは私の側に寄ってくると、「早よう来て、コースを歩きはったらいいですよ」と言った。自動車で走るだけでは、場内のコースが飲み込めないので、歩いたら良く分かるということなのだ。「ありがとう、おばちゃん」おばちゃんは、秘かに私を応援してくれているのだ。
『仮免』のための修了検定の日は、雪であった。朝起きるとひどく雪が舞い散っている。(雪の日はスリップするし、これは、S字やクランクは絶対に不利だわ)1月17日は土曜日で、JR奈良駅に送迎バスが来ないのに、私は雪のこと試験のことで頭がいっぱいになり、JRに乗ってしまったのだった。

 

前のページ | 18/20 | 次のページ

メイキング・オブ・草子へ