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芳紀66歳
自動車学校てんやわんやのてんまつ記(17)


私が困っているのは、うちの家族には、免許を取っている者がいないことだった。運転できるひとがいれば、ちょいと聞くこともできるのにと思うからだ。運転するひとなら、たちまち分かるような簡単なことさえ、いちいち教本を読み、先生に質問をしなければならない。
あるとき、友だちに、「うちは4人家族だけど、誰も運転免許を取っていないのよ」と話すと、「今どき日本にそんな家族がいるなんて、骨董品ものだねー!」と言われてしまった。また、自動車学校の先生の中には、「これはご主人に聞くといいですよ」と言ってくれたりする。もちろん親切心からだ。よもや、自動車を運転できない夫をさしおいて、妻が免許を取りにきているなどとは、夢にも思っていないのだ。
私は、この日本は「車社会なんだ」と、つくづく思った。
ところで、年内に「仮模擬」まで漕ぎ着けたいという私の願いは叶った。明日から正月休みになるという前日の12月29日に、「仮模擬」に通ったのである。滑り込みセーフというところだ。
「仮模擬に通ったよ」と誰にでも彼にも言いたい気分で、12月末の寒さも何のその、夜の満員電車で揺られていても疲れも感じない。「人間はメンタルな部分が相当あるんだな」我ながら現金なものだと思う。
もれ聞くところによると、年々試験は難しくなっているらしい。これだけ車が多く走るのだから、試験は難しくなるのも無理はないかも分からない。簡単に通って走って貰っては困るというのも、分かる気がする。なにせ、車は走る凶器にもなりうるのだから……。
夫は、12月30日から1月4日まで外泊できることになった。近所のM氏が、外泊の迎えも、そして病院への送りもして下さった。このように、自動車を持っていない私たち家族は、みんなの好意でどんなに助かったか分からない。本当にありがたいことである。私はその好意に応えるためにも、早く免許を取りたいと思った。暮れも御節を作るとき以外は教本を開き、正月も一日から、ほとんど徹夜に近い勉強をした。しかし、いろいろと仕事が重なって、学校へ行きたくても行けない日が続いた。私は、1月も9日になって、ようやく自動車学校へ行くことができた。
次はいよいよ、実技の修了検定と仮免学科試験が待っているのである。

 

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