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芳紀66歳
自動車学校てんやわんやのてんまつ記(16)


3時を過ぎるとJR奈良駅への送迎バスはなくなるので、大回りでも近鉄電車を利用しなくてはならない。まず近鉄西大寺駅〜近鉄郡山駅へ、近鉄の駅を下りてからまたJRの郡山駅へと相当の道のりを歩く。JR郡山駅〜JR小泉駅へ、そして自転車が利かない雨の日なら、家まで30分は歩かねばならないのであった。土日、祭日もこういうコースで大いに時間が掛かる。
今夜は用もあったので、もっと大回りのコースになってしまった。奈良の三条通りを歩いていると、ジングルベルの音楽が浮き立つように鳴っている。私はジングルベルも耳もとを通り過ぎて、ただ足元を見つめて歩いていた。冷たい12月の風が吹き抜けていき、イルミネーションもショーウインドウのケーキも私には遠い存在に思えた。
この重たい荷物を両手に抱えて、夜も遅くトボトボ歩いていると、(まったく、どうしてこうも日が経つのが早いのだろう)と思えてくる。『仮免』までの第一関門である「仮模擬」にも辿りつかないうちに、もうクリスマスではないか。
(私は自分の能力以上のことをしようとしている、自動車の免許なんて、私には、とっても取れそうもない……!)そう思いだすと、へなへなと気持ちが萎(な)えてきそうになるのであった。私はそんな思いを振払うように、頭を振った。
「いま帰りぃ? 遅まで頑張ってるんやなー!」
呼び掛けられて顔を上げると、アベックで向いから歩いてきた若い女の子であった。入学式のとき隣にいた女の子である。
「予約が、こんな遅い時間しか取れへんかったから……」
「冬休みで学生がようけ来るからなー。予約なんかするより、キャンセル待ちしたらええねん」
予約が取れなくても、とにかく行ってキャンセル待ちをすると、無駄足のときもあるが、案外と実技の時間が取れるそうである。
「うちなー、路上走ってるねん」
「ええっ、そんなら、『仮免』も取ったの! すごいわー!」
と私は叫んだ。彼女はもう、学科の仮模擬、実技の修了検定、そして仮免学科試験が通ったということだ。
「うん、三日前になー。路上になったら楽しでー」
「はあぁ、そう……」
私は(路上になったらどうしよう)と悩んでいるのに、「路上は楽しい」と彼女は言う。そして、「なあ、そやなー」と、一緒にいる若い彼に言って嬉しそうに笑った。
「まあ、お互い頑張ろなー、ハハハ」と彼女は、くったくなく手を振りながら歩き出した。
「うん、頑張ろなー」
と私も手を振り返した。私は何が何でも「仮模擬」だけでも、学校が正月休みになる前に取ろうと決心をしたのであった。

 

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