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芳紀66歳
自動車学校てんやわんやのてんまつ記(13)


『事故多発者』つまり、同じ人が何回も事故を起こすということがあるという。
運転を職業としている人といえば、タクシーなどがあるわけだが、職業運転手の中でも何回も事故を起こす人が一定の割り合いであるし、事故を一度も起こさない運転者もいるということなのである。運転を職業にしている人は、素人と違って当然のことに技術的に相当のレベルを持っているといってもいいと思う。
つまり、素人・職業運転手の区別なく、事故は同じ人によって繰り返される場合が非常に多いというのである。「ええっ、そうなの?!」と私は耳をそばだてた。私にとって、これは当然、珍しい発言だったのである。『事故は下手くその者が起こすもの、上手な者は起こさない』と、これまでの私は、頭の中でしっかりと、この方程式が出来上がっていた。この方程式では、全く私には救いがないではないか。だが、これを聞いたとたん、私の頭にポッと一点、灯りが点った。
私は、まだ場内での練習だ。
「ダメ、下り坂道はエンジンブレーキを掛けなきゃ」
「えっ、エンジンブレーキ? そんなブレーキ、どこにありましたっけ?」
(たしかブレーキは、一つだったはずでは……?)私はキョロキョロと、自分の足元に目をやった。
「ドライブレンジの隣です、チェンジレバーをセカンドレンジに入れると良いのです」
「はあっ、この『2』って書いてるのが、そうなんですね」
「車種が違えば、表示も違うときがあるので、『2』などと覚えてはいけません」
「こんなこと、教本に書いてありましたっけ? 何ページかしら?」
教官はパラパラとページをめくってくれた。
「えっ、これは、このことだったんですか! 分かりました」
「あのですね、場内は狭いので、こんな短い下り坂でも使いますが、これはあくまでも練習だからです。実際は長く続く下り坂道のときに使用するのです」
「でも、何故、これを使うのでしょう?」
「下り坂では、フットブレーキだけでは、効かなくなることがありますからね」
と言って、理由も説明してくれた。
技能で先生方が言うことには、ちゃんと理論の裏づけがあるということも理解できた。私は、より丁寧に、教官が言っていることに注意を払うよう自分に言い聞かせた。
それから、これはもちろん言うまでもないことだが、技術は低いより高い方が断然よいのである。

 

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