自動車学校……エッセイ、こぼれ話(3)
コンタクトあれこれ
コンタクトの話は、書いていないのがまだまだある。
私の若いころは、今のようにクーラーでなく、扇風機が主だった。
顔を横に向けたとたん、扇風機の風で、コンタクトがふわっと飛んでいってしまったこともあった。もちろん、床に顔をひっつけるようにして探しましたとも。
扇風機だけではない。とにかくコンタクトは風に弱い。春一番など、特に用心しなければなりません。
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第四章のイラスト
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コンタクトを失くす原因の一つに、目蓋の付近に手などが当るというのがある。
この『自動車学校……』のエッセイでも、スーパーの魚売り場で誰かの手が当ったとたん、コンタクトが目から飛び出したという話を書いた。
手といえば、自分の手が当って飛び出したこともあった。
結婚前のことである。
橿原神宮に職場の同僚と遊びにいった帰り、駅のベンチに座って電車を待っているときだった。春一番というほどではないが、風の強い日、風が髪を吹き散らし、私は指で髪を解かそうと髪に手をやった。ところがドジなことに、手が目蓋に当ってしまったのだった。
コンタクトというのは、こんなとき簡単に飛び出してしまうのだ。
屋外で風が強く吹いている中でコンタクトを落としてしまった私は、
(もう最悪だ、絶対に見つからないわ!)と観念した。
ところが、家に帰ってから、
(そうだ、あのとき、櫛を取り出そうとしてハンドバックを開けていたんだわ)ということを思いだしたのだ。
(ひょっとして!)と思い、ハンドバックの中身を一つ一つ取り出してみた。するとコンタクトが、ハンドバックの中から出てきたのである。
このときは余りの幸運に、
(こんなこともあるんだなー!)と、信じられない思いでいっぱいになったものだ。
この『自動車学校……』のエッセイに書いた話、
(目から飛び出したコンタクトが、傘ん中に落ち込んでいるのでは?!)と閃いた基礎は、このことが強く頭に残っていたからだと思っている。
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第五章のイラスト
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2005年4月3日
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