アブナい歌のホームラン王
岡林信康オモシロ変遷史
アブナイ歌を語るならば、関西を中心に盛り上がった関西・アングラフォークにムーヴメントを避けて通ることはできない。そのアングラフォークの中で、過激さ、オモシロさ、そして存在感といった意味で岡林信康ほど際立った存在はない。
60年代後半の関西アングラ・フォーク・ムーヴメントにおいて衝撃のデビューを飾って以来、彼は“フォークの神様”“日本のボブ・ディラン”などの称号を欲しいままにし、近年の“エンヤトット運動”に到るまで途中若干のブランクはあったものの現在までコンスタントな音楽活動を続けている。
30余年に渡る彼の音楽活動はその年月が語る通り決して平坦なものではない。時代の移り変わりとともにその音楽スタイルも様々に変化して行った。しかし、どの時代を通しても彼の歌の根底には“アブナさ”“オモシロさ”が息づいている。彼こそは時代を超えたアブナい歌のホームラン王なのである。
その中でも彼が過激かつ急激な音楽性の変化を示し、音楽家としてのダイナミズムを見せたのはレコードデビューした68年から70年代半ばまでの約10年間である。本章ではこの10年間を彼の<オモシロ変遷期>と位置づけてみた。その間に彼の音楽性がどう変化して行ったかを4つに分け、時代とその時代の彼を代表するオモシロ・アブナ歌を通じて検証してみようと思う。
●都会への決別と抽象詩への傾倒 -第三期・エコロ/ラリラリ/難解期-