前世紀前半、祖国日本に見放された一人の芸術家がフランスにいた。
この日記はその芸術家、藤田嗣治に魅せられた貧乏サラリーマンが
無謀にもコレクターに成らんとする苦難の記録である。
尚、本人は結構幸せらしいが、寄付は随時受付中である。


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2006.03.10
本が増えれば増える程気になる事。それは紙の劣化だ。
折角集めても、管理が悪くて粉々にしてしまっては申し訳ない。古い紙は手透きの和紙等を除いてはほぼ全て
酸性のようで、放っておいたら、ぼろぼろになってしまうという。劣化を防ぐには脱酸化をするのが一番良い
ようだが、簡単に出来る事ではない。素人の私が出来る最良の方法は出来る限り本の周りから酸性の物を撤去
して中性紙で覆う事だ。
ということで、まずは中性紙か酸性紙かチェックするペンを買ってみた。

東急ハンズのホームページにて購入

絶対酸性紙に違いないと思っていた新聞(朝日新聞)は、中性紙。よく郵便小包に使っている茶色い紙も思い
がけず中性紙だった。もちろん茶色い紙といっても色々あるとは思うが。悲しいのは、よく本を包んでくる
薄い紙は酸性紙だった。こういう紙に包まれてきたら、即刻捨てて中性紙でぐるぐる巻きにするのをお薦め
する。もちろんその薄い紙にも色々とあるのかもしれないが、解らない物は捨てて、はっきり中性紙と解っ
ている紙で包むようにしたい。中性紙という事で購入し、本の挿絵の間に挟んだり本を包んだりしている紙
はちゃんと中性紙だった。もちろん挿画本を入れているアーカイバル容器も中性。残念ながら、水テープは
酸性だった。ショックである。こうなると、猫の絵の書いてある本の箱に入れてある調湿剤と防虫香が気に
なる。箱を開けるのはイヤだが早急に調べた方がよいかも。

今のところ調べた物
  多分、中性
    ティッシュ(調べたメーカー全て)
    ジョイフルのトイレットペーパー
    GoLiveのマニュアル
    グルミットのノートとメモ帳
    講談社の文芸文庫
    ソニーマガジンズの文庫本
    朝日新聞
    ゼロックスの用紙

  多分、酸性
    ピップフジモトの綿棒
    ハヤカワ文庫
    水テープ
    LOTTEのガムの捨て紙
  
  微妙〜  
    エリエールのキッチンタオル



      よくあるこれはダメでした。

ちなみにチェックは面白く、
なんでもかんでも、
チェックせずにはいられない〜〜



2006.03.11
こんなのがあった。


『 皇居散策スイートプラン 』
 
藤田嗣治の作品が飾られた最高級スイート、1室2名、一泊10万円
藤田嗣治展覧会鑑賞券・夕食・お花見ちらし弁当または朝食付き


2006.03.16
タマネギちゃんを今後、何事もなければ生きるであろう日数で割ったら、どーってことない金額なのに
気がついた。

そ〜だったのか〜。



2006.03.18
この間、ガラスに塗る”紫外線カット”なるものを買った。

猫の絵が書いてあるアクリルのケースはUVカットではないのでそれに塗って、蛍光灯の笠にはUVフィルム
が貼ってはあるが隙間から漏れそうなので蛍光灯に塗った。



中に紫外線のチェックカードが入っていたのであちこちで試してみた。カードの真ん中の丸い所の色の変わり
具合で紫外線の量が解るという。

まずは部屋の中は、全く変化なし。以前から気になっていたパソコン、TVも前にカードを置いても色は変わら
ないようだった。ひとまず安心。

           家の中


     UVフィルムの貼っていない家の中


          外(日陰)


          外(日向)


外を歩くのが怖くなった。



2006.03.19
度々お世話になっているネットの画廊屋さんの包装紙は中性紙だった。その上、テープまで中性。流石だ。
家で使っているのより薄くて前から欲しいと思っていたような紙だ。今度こそこういうのを買いたい。実は
以前、本に挟む為に薄い紙を買おうと思って、画用紙みたいに厚いのとティッシュという名前の割にパリッ
と厚いのを大量に買いこんでしまったのだった。

挿画本を入れている箱も無くなりそうだし、備品の補充をしようかな。



2006.03.20
またまた藤田の番組の予定が発生した。

テレビ東京 『美の巨人たち』
    4/1(土) 前編『自画像』
    4/8(土) 後編『ライオンのいる構図』

前後編になっているが、続編も出来そうな題じゃない?



2006.03.21
昨日、ウォレスとグルミット”野菜畑で大ピンチ”を観に行ってきた。
プログラム以外、グッズが何も無かったのが寂しかった。お菓子を買ってこようと思っていたのに。
でも買ってもなかなか、食 べ れ な い〜

DVDが出たら即刻買う!

その後、横浜美術館の長谷川潔展を観に行ってきた。

横浜美術館は650点にもおよぶ版画作品を収蔵していたところ、更に2005年にパリのアトリエに残されてい
た1000点を超えるデッサンや水彩、下絵の寄贈を受けたとのことで、全体を見回せる充実した展覧会だった。
銅版とそれを刷った版画作品、またデッサンと版画作品が対になって何点も並べられていたり、長谷川潔が
実際に描いた人形!やレースの展示や挿画本、なんと油彩や、版画に描かれているジャイアントタンポポの
実物まであった。

いままで観た事の無いものがたくさんあった。長谷川潔が好きな人は絶対行かないといけない美術展だ。





2006.03.22

ついに 出た〜!!!
            

                          (これ、とっとこーっと)
いよいよフジタ
まであと1週間。

なんか、緊張するなあ〜。やっぱり1年なんてあっという間だったなあ〜。

初日は6時くらいに行って並ぶのが藤田嗣治のコレクターを名乗るからには当然だろうと思っていたが、
悲しいかな並のサラリーマン、講座の最終プログラムでフジタ展見学があるので初日には行けなくなった。
そうそう会社を休むわけにはいかない。私事ながら背水の陣だし。とても1週間に2回は休めない。第一、
近藤さんと一緒の方が楽しそうだし。

ってことで初日は残念ながら並べない。
藤田好きの東京近郊の皆様、どうぞ、がんばって並んでくださいまし。(ちょっとうらやましい〜)



2006.03.23
明後日3月25日、芸術新潮、特集『藤田嗣治の真実』が発売される。

いよいよ展覧会が近づいてきたって感じだ。
テレビ番組も続々。追加とこの間ここへ書いたのともう一度まとめて書くと、、、、

4/1 (土) テレビ東京 『美の巨人たち』 前編『自画像』
4/2 (日) NHK総合   『パリの異邦人〜画家・藤田嗣治の20世紀』 16:45 〜75分
4/8 (土) テレビ東京  『美の巨人たち』 後編『ライオンのいる構図』
4/16 (日) NHK教育  『新日曜美術館』
5/?    『迷宮美術館』 

時間、日にち等は事前に確認お願いします。



2006.03.25



全生涯を見渡せる良くまとまった特集だと思った。
こんな充実した特集は初めてじゃないだろうか?



2006.03.26

某オークションで藤田嗣治の作品で最初に購入した木版のお嬢さんが大変高値(と私は思った)で落札された。
今まで知っているものはほとんどが今回の値段の1/3くらいで落札されている。唯一、2/3くらいだったのは
家のと同じヤタヤの額のを一回見かけただけである。
今回の高値が単に藤田の人気があがっての事だったり、カタログに記載は無かったが実は裏サインがあるの
でといった理由であれば別にかまわないのだが、、、、、
今回のものもヤタヤのようではあるが私の今まで見た中では最悪の状態で版面の波打ちが大変気になった。
1/5くらいか、もしかして不落札かもと思っていた。額装はヤタヤのようであったが、家のとあちこち違って
いて、もしかしたら今回オークションに出ていたものが初めにあって家のは似せて作り直したのか? こんな
高値になってしまうならもっとよく見ておけばよかったのだが、遠目に見て興味を失ったのでよく見なかった
のだ。もしかしたら裏側にヤタヤのシールがあったかもしれず、それを見ればどちらが新しいか解ったかもし
れない。一体、落札したのがプロでプロの手にかかれば家のお嬢さんのように綺麗になるのだろうか? プロ
が果たしてこの位のものにそんな手間をかけるのだろうか? そうであれば別にどうでも良いが、もし素人が
カタログだけで買ったのであったら気になる。画廊でウン十万で売っているから、その半額まで入れてみよう
なんて安易に入札したのだったらとんでもない事だ。ちゃんとした画廊のウン十万にはちゃんとした理由があ
ってそれに見合う価値がある。もちろんそのちゃんとした画廊を見極めるのも自分自身ではあるが。版画なら
同じだから良いだろうと思ったら大間違いで、後刷りのように画家の死後刷られ、画家のチェックの無い
直筆サインの無いものはもちろん同じでないのはいうまでもなく、同じ刷り師による同じ版でも経年による
劣化の状態は色々で今となっては同じものとはいえない。また額装が違っても全然別の物になってしまう。
そしてこの額装が結構むずかしくお金も掛かる。良い額装は大変高く、高いからってうまく合うとは限ら
ない。素人がそのまま飾ろうという場合は実際に目で見て、版画の状態をよく確かめて中村先生ではないが
全体として姿が良いかどうかを見て購入した方が良いと思う。
但し、いつもお世話になっている画廊のように作品を見なくても説明を読むだけで安心して買える所もあるが。



2006.03.27
いよいよ明日から藤田嗣治展が始まる。
なんかドキドキして落ち着かない。



2006.03.28
いよいよ今日から藤田嗣治展が始まった。
入りはどうだろうか?
並んだ人はいるのだろうか? (うらやましい、、、、)



最近発行された本を買った。
藤田が最初の妻に宛てた手紙やその他新資料を使っての評伝と言う事だ。
今日届いたばかりでまだ読んでいないが、パラパラッとめくったところ、
パリからの恋文とあるが、前半だけでなく全生涯に渡る評伝のようだ。



2006.03.30   <藤田嗣治展&藤田講座 1/3>
藤田嗣治展に行って来た。
初日は並んだ人が200人!!、入館者数は
2800人だったそうな。初日だけでいうとゴッホを上回るという。
ただ、久しぶりの大きな展覧会ということで初日に集中したという事も考えられる。
レストランは毎度の事ながら大変混んでいて困った。あの辺りは他に何も無いので、他所で済ませるわけ
にもいかないし、何とかならないものか。でも、焼きサンドはめちゃくちゃ美味しかった。

帰りにフジタ展記念コースを頂いて帰ろうと
思ったら大口の予約があったらしくディナー
の予約は3時半の時点で終了していた。

次回行った時は朝予約しなくては。

展覧会は三期に分かれていて、一期(3/28〜4/16)、二期(4/18〜5/7)、三期(5/9〜5/21)で出品の有る
無しが数点あった。会場によっても違いは多少あるようだ。
小さいモニターだったが、藤田が監督した日本紹介の映画『風俗日本 子供篇』(8分27秒)が放映されていた。

例によって一番欲しいのはであるが、
一番良いよ〜〜〜と思ったのは『タピストリーの裸婦』。
一番欲しいと思ったのは『二人の祈り』。君代夫人の美しい事!



図録の表紙は『タピストリーの裸婦』。雑誌を2冊買ってきた。
『駱駝』 ”藤田嗣治ーレオナール・フジタを巡る旅”5ページくらい
東京国立近代美術ニュース『現代の眼』556号 ”藤田嗣治 パリを魅了した異邦人”10ページくらい

グッズは一筆箋、クリアーフォルダー、葉書、葉書ボックスセットともう一種ボックスのようなものと
グリーティング・カード、ポスターが2種、『タピストリーの裸婦』と『カフェ』、全部買ったら、
図録を入れ15000円くらいで納まるかな? 全部買ってこようと思っていたのだが、お財布を開けたら
私が8000円、EMHが15000円くらいしか持っていなかったので(お金ある?って朝聞いたのにい〜)、
葉書ボックスと一筆箋だけ買ってきた。後は今度行ったら買おうと思う。
他に上の雑誌と2004年にブルターニュのディナード市で開催された藤田の展覧会の図録もあった。
もしかしたらリトグラフとか有るかなと思ったら、ロイヤル・コペンハーゲンの陶板が3種類あった。

お祝いのシャンパンを開けて、ちょっと酔っちゃたんできょうはこのへんでおわりにします。つづきは
あした。



2006.03.31   <藤田嗣治展&藤田講座 2/3>
今回の展覧会、一言で言うと、近代美は狭いという事につきると思った。
学芸員さんも大変に違いない。袋小路に絵が何枚もあったり、ビデオのモニターは小さく、場所も狭いし、
東京では3部作が2作しか展示されないのは場所のせいではなかろうか? 椅子も少ないし(それどころじゃ
ないって?)、戦争画も暗くて狭い所にあるより、常設のように広いところで隣には青空に零戦のような
戦争画と何気に並んでいる方が良いと思った。
そういえば全画業ということだったが版画・素描はなかった。資料関係も藤田手製の物が少しあったが手紙
や葉書はなかった。大抵、何でも一通り有ると思う。こういう展覧会も珍しいように思う。
作品は1は無いが2、3ばかりという感じだった。ちなみに1は10の内のではなく100のうちのだ。画風が色々
で、その上、版画や素描なんかがあったら、分け解らなくてまとまりがつきそうも無い。大回顧展としては
これで良かったのかもしれない。いや、実は単に気張っちゃった?だったりして?
始まる前は後20点くらい多いと良いと思っていた。いつもの自分だと120点くらい有るとたっぷり観た満足感
があるのだが、今回は100点と少ないが、その分大物ばかりぼこぼこあって十分観た感じはあった。ただ後で
そういえばあれが無いこれが無いと思い出した。次回は新しい大きな会場でお願いしたい。その時はぜひシャ
ーマン・コレクションのテーブルなんかも、どうせいつも見せてないんだから、全部持って来てどど〜〜〜ん
と見せて欲しい。

へなちょこながらコレクターとしては、
見たかった花が前期も後期も1枚も無かったのと、後期の風景が無かったのは残念だった。広島美術館の後期の
風景画 ”アッシージ ”なんかスゴく購買意欲をかき立てる良い作品なのに。そういう欲しくなるような絵や
比較的購入しやすい小品や版画など現実的なものが全くなかった。そういう意味では会場の外で売っていたの
が展示していないリトグラフではなく、展示のあった作品の陶板なのは正解かも。
今回の展覧会は現実離れしたようなものばかりで、これで絵が売れるようにはなりそうも無い。私としては
ライバルは少ない方が好い訳だが画廊店主はがっくりに違いない。


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