前世紀前半、祖国日本に見放された一人の芸術家がフランスにいた。
この日記はその芸術家、藤田嗣治に魅せられた貧乏サラリーマンが
無謀にもコレクターに成らんとする苦難の記録である。
尚、本人は結構幸せらしいが、寄付は随時受付中である。


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2004.02.03
『猫の本』の中の一匹、サッフォーを入札してみる事にした。

サッフォーは猫の中では人気がないようだが私は一番好きだ。他の猫のようにあちこちに
登場していないのも良い。知る限りでは猫の本の中にしかいない。

大抵の猫は元々直筆がいくつかあって、版画があって、『猫十体』にあって、それからこの
『猫の本』にあってというのが多く、フジタにとってはお気に入りの猫なのかもしれないが、
それだと何か本物でない感じがして嫌だ。



2004.02.04
サッフォーを無事落札した。
土曜日、渋谷まで受け取りに行く。



2004.02.07
渋谷までオークションで落札した猫の『サッフォー』を受け取りに行った。

メールに場所が分らなかったら近くで電話を下さいと書いてあったが、ここなら楽勝よと思って
番号を控えて行かなかったら、見事に迷ってしまった。メールにわざわざ書いてあった意味が
分かった。なかなかしぶとい場所にあったのだ。疲れた。

ヘロヘロになってドアを開けた。
おお〜。
東京ってどうしてこんなに当たり前みたいにゴージャスな女性がいるのだろう?

そんなことはどうでも、そのゴージャスな女性が何かご覧になりたい物がございましたら
おっしゃって下さいというので、それでは遠慮なくという事でブラジリエを一枚見せてもらった。
以前プランタンで見て大変気に入ってしまったのだが、もの凄く高くて悩みに悩んだ末あきらめ
たものだ。 なんと、1/3 以下の金額で出ている。改めて見てもやっぱり良い。状態も完璧だし、
なんといっても安い。でも額装が立派すぎるし、大きすぎて家にはとても合いそうもなかった。
それでも家に帰って寸法を測ってみたが、思ったとおりやっぱり家には合わない事がはっきりした。

『 サッフォー 』
1930年
挿画本『猫の本』の中の挿画
コロタイプ

『猫の本』総部数 500部
     本サイズ 33x25cm

猫ちゃんの状態は上々だった。額も好きではないが結構良い物を使っている。
良い買い物だったと思う。

サッフォーは『猫の本』の中では人気のない猫だけど、私はこの子が一番好きだ。
いつでも見えるテレビの横に掲げる事にした。



2004.02.13
松戸にある聖徳大学の『本学所蔵品による藤田嗣治展』へ行って来た。
残念ながら一度に全部を見れるわけではなく入れ替えだった。
道は狭いし!、遠いし、全部見れないしで、ちょっと今日は疲れた。
でも、代表作の一つともいえる ”優美神”が見れたし、逆に大きな
美術館ではお目にかかれないようなのも見れたし、、、、、、
まあいいか。なんといってもタダだし。



2004.02.14
オークションのカタログを注文した。
一冊1500円、一年分だと10000円。
どんなものが出品されているのか解らなかったので試しに一冊だけ頼んでみた。
欲しい作品は藤田で、藤田が出品されていないようだったら買っても意味はない。



2004.02.23
オークションのカタログが届いた。
残念ながら藤田は一点もなかった。かわりに思いもよらなかった澤田政綱の彫像があった。
小さい物だがそれにしても安い。こういうのも出るんだなとびっくりした。天女だったら
入札しちゃったかも。

カタログ危険だ。
予定外の物まで買ってしまいそう〜。



2004.02.28
神田へ『エロスの愉しみ』を見に行った。

2・3日前、突然EMHがこれ買おうと言い出した。
ずっとHPをチェックしていた画廊のひとつが店舗移転の為、全作品を30%OFFにすると
HPに載せていたのだった。30%OFF。そりゃあもう買わずばなるまい。

原物の挿画本を見るのは初めてだったので、どんな物なのかどんな風になっているのか、
どんなものがでてくるのか、ちょっとばかしわくわくだった。

第一印象は ”結構小さい物なんだな ”だった。
手で直に触って良いのかなと思っていたのだが、お店の方は結構お気楽だった。
片手でひょいと持って来て、他の額に入った絵の上に無造作に広げ、ガサガサめくってる。
だいじょぶかな〜。(ドキドキ)
全ページ確認させて頂いたところ、特に目立った汚れもなく大変良い状態のようだった。
もちろん実際手に取って挿画本を見るのは初めてなので、どの程度で良いのか悪いのか
解らないのだが。一つ気になったのはそれが表紙に絵がないエディションだったということだ。
出来れば表紙にも絵のある物が欲しいと思ったが、多分、以降絵のある物はもちろん、
表紙に絵のない物にだってお目にかかれないかもと思い購入することにした。

うれしい。記念すべき一冊目の挿画本だ。
白手袋が必要だ。会社から持ってこなくては。

挿画本 『Les Divertissements d'Eros』
(エロスの愉しみ)
   1927年フランス  オッフェンバック著
   リトグラフ9点  総部数 296部
エロス君
四つ折りのシートだった。
あちこちに登場する小さいエロス君を
除いて、挿画が9つ挿入されている。


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