前世紀前半、祖国日本に見放された一人の芸術家がフランスにいた。
この日記はその芸術家、藤田嗣治に魅せられた貧乏サラリーマンが
無謀にもコレクターに成らんとする苦難の記録である。
尚、本人は結構幸せらしいが、寄付は随時受付中である。


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2004.01.10
ついに決行の時が来た。
景気付けにいつも冷やかしに覗くプランタン銀座の入り易い画廊に寄ってから、
ガチガチの画廊っぽいところへ行った。

『こんにちは。』『えー、あの、拝見させて下さい。』
初めての画廊、しかも名にしおう銀座の画廊で緊張。実はどんな態度でいたらいいのか、
なんて言ったら良いかも解らなかった。外国だとお店へ入る時は挨拶して入って見せて〜って言うのが
常識みたいなところが多いようだ。日本ではなぜかあまり言わないのでいつもお店に入るとき小声
になってしまう。後でHPを見たら緊張しているのは画廊さんも同じで、こちらが何者か解らず、
お高いものを売ってらっしゃるだけに画廊さんの方でもドキドキされて
いるようで、気軽に話し
掛けて下さいと書いてあるところが有った。

そこは大抵の画廊がそうなようにとても狭いところだったが、なぜか藤田が何枚もあった。
後でEMHに言うと藤田を中心に展示しているとHPに書いてあったそうだ。

挿画本を額装したものが数点、立派な素描が2点、その間にあの子がいた!

『どのようなものをお探しですか?』と言われ、在庫のリストをめくりながら目星を付けていた
お安い数枚を言うと倉庫から持ってきますので少々お待ちくださいと言われ、お茶を頂きながら
待った。

届いたものを壁にかけてくれたが、掛けるまでもなく結構ですと言うところだった。
すでに立派な素描を見てしまった後では、いくら安くても買う気にはなれなかった。
正直にその旨伝え、思い切って素描の値段を聞いてみた。両方とも予算の10倍以上との事だった。
そこまで高いと全く手が出ないので聞くのも平気である。
『この真ん中の子はお幾らですか?』
『あっ、ちょっとお待ちください。』走って確認に行った。
『XX円です。』
『えっ!安いんですね。』思わず二人声を揃えた。
両脇の二人が素描と水彩だったのに対し、真ん中の子は木版だったのだ。でもお高い二人に対し、
真ん中のあの子は全く引けを取らなかった。ずっと同じレベルだと思っていたのだ。
ちょっと心が騒いだ。

とりあえず第一目的が他の画廊だったし、その木版はチェックを全く入れていないものだったので
そのままそこを後にし、第一目的の銀座じゃない画廊に行った。

そこはちょっともの凄いところだった。なんと画廊の奥で隣のお店のお姉さんが煙草を吸っている。
通気口のある下だったので他で吸って煙が他に流れてしまうより良いのかもしれないが、目の前に
絵が有るのに、、、。 思ったより安くないし、見たかったのは置いてないしで、がっかりした。
電車で車の置いてある銀座に帰る途中、初めに訪ねた画廊に
電話をした。
『先程の木版をもう一度見せていただきたいのですが。他に挿画本の『魅せられし河』の中の
『オペラ座の夢』と『香りの夢』も見せていただけないでしょうか?』
本来、一番気になっていたものを思い切って言ってみた。
実はすでにあの子に決めていたのだが、今後の参考に良い機会なんで見せてもらおうと思ったの
だった。

画廊に行くとお願いした版画が二枚、テーブルに置いてあった。額装していないシートの
ままだった。

う〜ん、美しい。でも木版のあの子の方が良いじゃん。

お嬢さんは微妙に大人な表情でうつむいている。
『私を連れて行きたいの?』

あの子はオリジナルの木版で、日本の浮世絵等を手がける版元で刷られたもので白黒だが20色もの
諧調の黒で刷られているという事だった。成る程、それであの深みが。手書きの素描や水彩に引け
を取らないわけだ。

それにも増して鑑定団の中島先生ではないが全体の姿が良い。額装がお嬢さんにぴったりあって
とても良い。その版画自体がどうというだけでなく、『 全体としてとても良いなあと思って。』
と言うと、『 ありがとうございます。お目が高いです。こちらは銀座のヤタヤさんの額装で縁の
飾りは一つ一つ手で捻って作った物でございます。』という事だった。

行く前は何部刷ったものか、サインは有るのか、状態は、何年のものか、手法は、オリジナルか、
自身の手によるものか、そして何より本物か?等、色々考えていたのだが、それらを思い出した
のは下さいと行った後だった。 ふと見れば直筆サインがない!!!

家に帰って版元や額装を調べてみるとお嬢さんを刷った渡辺版画は浮世絵等の有名な版元で、
額装をした銀座のヤタヤは小説なんかにも出てくる、これまたとても有名な所だった。

但し、版画自体は頂いた少女について書かれた紙や購入した画廊のページを見るとオリジナルの
木版で限定100部で裏にサインがあったが、その後200部増刷されているそうだ。もしかしたら
この子はサインのない後刷りかもしれない。後刷りはオークションでエスタンプとして、購入した
金額の1/6〜1/9くらいの値段で落札されていた。同じ額装の物もあった。自分の馬鹿さ加減が
嫌になったが、それだけこれが気に入ってしまったという事でもあった。正直ちょっとがっくり
したが実は後悔は全然していない。EMHも一緒だと思う。まるでおばかである。もしかしたら
裏にサインが有るかもしれない。見たい気もするが開けてみる気はない。あまり気にしていない。
サインが有っても無くても、これが気に入ったのだ。そのうち紙の状態チェックの為開けると思うが、
それで有っても無くてもたいした事ではない。あったらラッキーっていうくらいかもしれない。

お嬢さんは色々考えたすえ、玄関ドアの真ん前に掛けた。

『 行ってくるよ!』
『 ただいま〜。』
      (ばか)  
『 少女像 』
木版
版画サイズ 57x27.4cm
裏に直筆サイン有り100部
直筆サイン無し 後刷り199部

お嬢さんを買って気がついた事が有る。それは絵は家でくつろいで楽しむ物だったということだ。
美術館に行って見る物ではない。一緒に生活するものだった。



2004.01.16
明日は静岡まで猫展を見に行く予定だが、予報によると雪が降ると言う。
いや、藤田の展覧会なんて滅多に見れるものじゃない。
行くしかない!



2004.01.17
予定通り雪だ。

家を出る時からすでに降り出した雪は近づく
ほどに激しくなる。途中、たどり着けるか
心配するがなんとか到着。

目的の猫展の方はボチボチだったが、
大きな美術館ではお目にかかれないような
購入可能な小粒が多く、とても参考になった。
( ははは ←EMH )
とても寒かったし傘がジャマだったりしたが、
それさえ気にならないくらいに雪の美術館は
とても良い感じで、雪のせいで人も少ないしで、
とてもラッキーな1日だった。
なにより知らずに行ったヴァンジ美術館
その作品、美術館と、とても気に入ってしまった。
静岡県 ビュッフェ美術館にて



2004.01.25
水天宮にあるギャラリーで版画バーゲンをしているというので行ってみた。
いつもの銀座の駐車場に車を止めて地下鉄で行った。
はっきり言って外れであった。
いや、挿画本『 エロスの愉しみ 』の一部を見れたので良かったかな?
『エロスの愉しみ 』、ちょっと気になるかも。
それに帰りに買った豆大福も大当たりだった。



2004.01.27
初めてのヤフオク挑戦。
嫌いだったけどそんな事は言ってられない。なんといっても安い。
結構登録が面倒だったのに、いざ入札と思ったら、その出品物 『 夜と猫 』には入札者制限と
いうのがあって、初めての私は入札出来なかった。入札手数料払ってるのに。294円返せ!
入札者に制限を掛けるのは別に良いけど、入札手数料は入札した時点で取るべきでは?
まあ、入札者制限を知らないで入札する人はいないのかもしれないけど、どういう制限か
どうしたら解るの?
やっぱり嫌いだ。ヤフオク。



2004.01.28
入札出来なかった挿画本『 夜と猫 』を出品者に別途に依頼した。
割と早く手に入るかもとの事だった。結構多く市場に出回っている物のようだ。

出品者はプロでHPを見ると版画の保存方法等のページもちゃんとしているし、販売している
ものの説明や状態等の記載も詳しく、安心出来るところのようだった。値段も他に比べ大変
良心的でオークションの落札価格と大差ない。それなら安心して買えるところの方が良いと
思ってお願いした。

早く見つかると良いなあ〜。


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