本文へスキップ
雪の結晶の本
雪結晶の名著の多くがすでに絶版になっています。これらの本を読んでいると、当時の研究者のエネルギーが伝わってきます。ここでは、Akinoko所有の本のうち、雪結晶理解に深く関わる書籍を紹介します(よって、結晶に直接関係しない読み物やエッセイなどはここには掲載してありません)。
    
1.雪結晶関係の古典的学術書籍 コレクション
今から80〜65年も前に刊行された、文字通り雪結晶の世界ではバイブル的な本たち。今見ても、その魅力も価値も全く色あせていない。現在は、どの本も入手が難しく、特にベントレーの1931の初版本は貴重品。その歴史的な価値で、どうしても自分自身で持っていたくなる。

Snowcrystals 
ベントレー&ハンフリーズ
McGraw Hill, New York, 1931 初版本

中谷宇吉郎が雪結晶の研究を始めるきっかけにもなったといわれる本。表紙に金箔押しの結晶が入った超豪華本。当時、この本が持っていた価値がわかる。この書籍は再版されているので現在でもソフトカバー本が手に入るが、やはり初版じゃないと持っている意味がないからね。
   

雪の研究 結晶の形態とその生成
中谷宇吉郎
岩波書店, 1949

雪の研究のバイブル。
この本の原版は一度戦争中焼失したが、戦後すぐに再び作成された。中谷宇吉郎と岩波の熱意が伝わってくる。私が人工雪装置を作る前はこの本をコピーして繰り返し読んで何とかヒントを得ようとした
   

Snow Crystals  Natural and Artificial
Ukitchiro Nakaya
Harvard University
Press, 1954

中谷の研究の集大成。岩波の本は紙質がよくなく、酸化して赤茶けているが、アメリカのこの本は全くきれい。戦後の国情の違いがここにも現れている。数冊
所有しているものの内の1冊には中谷先生のサインが入っている。
    
2.一般向け専門書籍
ここにあげた本は雪結晶を学ぶ上で必須本だが、すべて絶版になっており、アマゾンやネット上の古書店などで探すしかない。これらを超える本はもう出てこないのではないだろうか?

雪の結晶・積雪
岩波写真文庫 1950年 絶版
当時の生活などもよくわかる。60年以上前の本なのに、購入時はなんと「雪の結晶」の方は新品だった。

雪の結晶
小林禎作 講談社ブルーバックス 1970年 絶版
雲物理の面から雪結晶を解説した本で、雪の勉強に最も参考になった本。名著だと思う。

六花の美 -雪の結晶成長とその形-
小林禎作 サイエンス社 1980年 絶版
当時どうしても欲しくてネットを漁ってようやく見つけた。雪結晶を結晶学から解説している本。とても勉強になった。

結晶は生きている−その成長と変化のしくみ−
黒田登志雄 サイエンス社 1984 絶版
結晶学の観点から雪の成長と形を扱っている。途中で数式が出てくるが、数学に強い人なら難しくないレベル、、、だけどAkinokoにはわからない。


3.一般向け書籍
一般の人向けの本だが、内容は雪結晶に深く入り込んでおり、雪結晶の理解に役立つ。専門用語・学術的用語が少なく、読みものとして気軽に読みすすめることができる。

Snow Flake・雪の結晶:河出書房他
ケネス・リブレクトの撮影した非常に美しい雪結晶の写真本シリーズ。一度見たら、その美しさと不思議さに虜になる。雪結晶に注目を集めた功績大。大型本から小型本までいくつものシリーズが出版されており、どれも美しい。

雪はなぜ六角か(右)
小林禎作 筑摩書房 1984
2013年に改訂され、現在「雪はなぜ六角形なのか」という名称でちくま学芸文庫として再出版されている。入門者は是非読んでおきたい1冊。

雪に魅せられた人びと(左)
小林禎作 築地書館 1975
ベントレーを中心に、土井利位・中谷宇吉郎など雪結晶研究の系譜を辿った読み物。


中谷宇吉郎 岩波文庫 1994

中谷の名著「雪」を文庫化した本。エッセイ風の語り口で、中谷の雪結晶の研究の始まりからさまざまな実験の工夫・苦労を生き生きと描いている。雲物理に関しても平易に解説してある。研究とは何かを考えるためにも一読しておくべき。

冬のエフェメラル
小林禎作 北海道大学図書刊行会 1983

大判の写真と解説で雪結晶を大きな視野から平易に解説した、いわば啓蒙書的な本。小学生から見て楽しめる。絶版だが比較的新しいため、アマゾン等で古書を手に入れやすい。
4.割と最近出版された参考書・書籍
リブレクトの本をきっかけに、長い眠りを超えて雪結晶の世界も再び動き出している。同時にここ数年、雪結晶に関係した書籍が刊行されるようになってきた。

雪氷学
亀田貴雄・高橋修平 , 古今書院 2017年
大学の教養部教科書のために書かれた本。氷の物性から宇宙雪氷まで、雪氷学全体を網羅している。350ページある大著で、参考文献が豊富なため研究を志す人には必須。お世話になった北見工業大学の2人の先生が著作者。
(少しだけお手伝いさせていただきました)

雪と氷の疑問60
高橋修平・渡辺興亜、日本雪氷学会編 2016年
成山堂書店 1600円(税別)
一般の人向けにQ&A方式で書かれた本。難しくなく、雪に興味を持った人たちが楽しく読める。入門に最適だと思う。

(図を1つ作成・提供しました

新版 雪氷辞典
日本雪氷学会編 , 古今書院 2014年
最新の知識が詰まった辞典。どちらかというと研究を志している人が参考にするような本。
(図を作成・提供しました)

雪の結晶図鑑
菊地・梶川 , 北海道新聞社 2011年
結晶の新しい分類=グローバル分類に基づく雪結晶の種類別図鑑。美しさを求めているのではなく、偏光顕微鏡写真が多いなどちょっとマニアックな気分を味わえる。

楽しい雪結晶観察図鑑
武田康男 2020年 緑書房
「空の探検家」武田康男さんの本
.
雪の基本を美しい写真と共に楽しく学べる。
    
   

お断り
本webサイトへの表紙画像の掲載について
書籍の表紙も著作権により保護されていることは理解しております。よって、表紙写真をここに掲載すべきではないのかもしれませんが、少しでも興味を持った方々に参考になるように、また書籍を購入していただくために、アマゾンへのリンクをつけて販売にも貢献、権者の不利益にならないよう配慮してあります。ご理解頂きますようお願いします。
    
   
5.楽しむ変わり種本

雪の結晶 飛び出すポップアップ絵本
グラフィック社; 2012年
アニバーサリーエディション 2016年
楽しいきれい!プレゼントに最適だと思う。ナナセにもプレゼント済み!
   
視点を知りたい人
楽しく写真を写したい人は

雲の見本帳(MdN)
2000縁+税
雲の種類や特徴をもっと知りたい時は

雲のカタログ(草思社)
1900円+税


当サイトの全ての画像・文章の著作権はMurai.Akio=Akinokoにあります。
無断使用等はご遠慮ください。