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大気光象: 一般的なハロ
ここでは氷晶による現象のうち、比較的出現頻度の高い(つまり目撃のチャンスが大きい)現象をまとめてあります。大気光象に興味のある人は、まずこのページにある現象を見つけてみましょう。
形成理論など学術的にもおもしろいのですが、ここでは難しい理屈抜きに、その特徴と見え方を説明します。
 
 1.22度ハロ(内暈) あるいは日暈・月暈  
大気光象の中で最も出現頻度が高い現象。注意していれば、部分的なものや薄いものを含めると年に100回以上見ることができる。その名の通り太陽を中心に視半径22°の円を描くように現れる。

22°ハロは巻層雲に伴ってできることが多いが、雲の濃さとハロの明るさは比例しない。(対角線魚眼レンズで撮影)

魚眼レンズで見た22°ハロ。


内側が赤色を帯び、外側は白色になることが多い(太陽を隠して撮影)

月による22°ハロ。月が明るくなる満月の前後5日間に見られることが多い。
 
22°ハロはよく見られる現象ですが、時間帯、空の色、地上の風景などとのコラボで、それぞれに違った空を作り出してくれます。
    
 2.上端接弧(タンジェントアーク)    ★★
太陽から22°離れて上下にでき、それぞれ上部、下部タンジェントアークと呼ばれる。太陽高度によって形状が大きく変化し、太陽高度約45°で太陽の両側で上下が繋がり楕円形の外接ハロとなる。 

上部タンジェントアーク  2013年11月
太陽高度が低いときは「V」字型になる

太陽高度が比較的高いときの上部タンジェントアーク 2020年3月
22度ハロの上に覆い被さるような形状
 
下部タンジェントアーク(太陽の下の「へ」形の光点) 2011年6月
太陽高度が22°以下では地平線下になり見ることができない。太陽高度が低いときは「へ」字、高いときは「ー」になり、さらに両端が上方へ伸び始めて、両端で上部タンジェントアークと繋がる。
 
 3.外接ハロ    ★★★
太陽高度が高くなって、上下のタンジェントアークが繋がるようになった状態。22°ハロに外接する楕円形の光の輪のように見えるのでこの名があるが、タンジェントアークの一形態。

月の外接ハロ  2011年10月
左右の薄い外側の楕円。外接ハロは一般に淡く気づきにくい。

左の外接ハロ 2014年4月
内側の円は22°ハロ。 
 
22°ハロが存在しないときの外接ハロ 
楕円形だけが見える。上下のタンジェントアークが太陽の両脇で繋がった状態。 2011年4月
 
 4.幻日・幻月    ★★(幻月は★★★★)
 太陽から左右に22°離れてできる光点。
時には非常に明るく輝くので幻の太陽=幻日の名がつけられ、太陽にまとわりつくイヌ=Sun dogなどの別名で呼ばれる。
月によってできるものを「幻月」といい、満月に近い月齢のときしかチャンスがないので、太陽によるものよりかなりレアな現象。     
 

夕方、太陽が低くなって空が暗くなり始める時間帯に見つけやすい。 2016年3月

 幻日は太陽側(内側)がオレンジ色に鮮やかに色づく
 2009年12月
   
 

飛行機雲が広がってできた幻日  2017年4月 

月によってできた右の幻月 2018年

幻月 2023年8月
 5.環天頂アーク  ★★
太陽から46°上方にできる。非常に明るく鮮やかな色で輝くことがあり、とても美しいが、頭上にできるため、気づかれない事が多い。朝夕、太陽高度が低い時間帯に薄い雲が空を覆っていたら、上を見上げてみよう。

上:形と色から「逆さ虹」とも呼ばれるが、虹とは原因も、できる位置も全く異なる別現象。 2011年5月
← 頭上高くに現れるため、気がつきにくい。また太陽高度によって、円弧の長さ・曲率が変化する。(太陽高度が低い時に、長く・緩やかな円弧になる) 2013年10月
  

太陽高度9.4°の環天頂アーク。環天頂アークの弧は太陽高度が低いほど長くなる
  右:魚眼レンズで撮影した環天頂アーク。
その名の通り天頂を中心にした円弧状の形状となる。
2021年10月
  
 6.環水平アーク    ★★★
太陽の下方46°離れて、地平線にほぼ並行に(水平に)できる。太陽高度が58°以上の時にしか出現しないため、晩春〜初秋の昼にだけ見ることができる。特に、下の写真で分かるように、4月末〜5月の出現頻度が非常に高いため、目撃したい人はこの期間がチャンス。明るく鮮やかなので時に新聞記事になる。幻日環と同時に出現することも多い。


高積雲の隙間から見えたアーク 2012年5月

ムラのある巻層雲による環水平アーク 2017年5月→
  
        

鮮やかで長大な環水平アーク 2019年4月

非常に明るい環水平アーク 2022年4月
  
 7.太陽柱(光柱)    ★★
太陽から上下に伸びる光の柱。地表近くの氷の結晶でできる事が多いため、冬季の冷え込んだ朝夕に見えることが多い。月でできるときは月光柱、漁船の漁り火など人工の光でできる物を単に光柱という。

 10°以上の長さに伸びた早朝の太陽柱  2008年12月

夕方の太陽柱 2008年12月
  
   
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大気光象の詳しい成因は綾塚さんの「天空博物館」に詳しく説明されています。

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