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遊びだからこそ、無理してでも気に入ったもの・信頼して使えるものを導入して、長く楽しむことが大切だと思っています。
で、機材をそろえて体制を整える過程も結構楽しいのですが、いろいろ想定外の出来事も起こったりするのです。

観測機材の紆余曲折
主砲はタカハシ・ミューロン250、、、、、、のはずが、いろいろありまして。
@ミューロン250 (と覗くナナセ)
最初は観測室建設の8ヶ月ほど前に購入し、CRS化・整備、保管しておいたミューロン250を主砲に。
ミューロンはシャープで、コンパクト。反射として、すばらしい像を見せてくれ、充分満足していたのだけど、、、、。
Aに続く
ATEC140ED
ある日、近くの望遠鏡ショップ:UCトレードにTEC140EDのきれいな個体が入荷。屈折のコントラスト、安定した像を味わいたくて無理して購入したら、これがまたすばらしい!となると、最高の屈折をどうしても手に入れたくなって、、、、。(ウエイトの数と位置がこの鏡筒の軽さを示しています。)
 
2016年5月、ホントはそのつもりがなかったけど、試しに(冗談で)販売店経由でTOA150Bの納期を確認してもらったら、なんと「タカハシに現在1台だけ即納在庫がある」と言われてしまいました。
全く予想外の回答に驚き、舞い上がり、後先考えずに衝動的に即注文。(だって、普通は注文後、半年はかかるって言う話だったので)
結果、TOA購入資金捻出のために、ミューロン・TECの2台を売却へ。他にも手持ちの小さい機材をぜーんぶ売却しました。(だって、TOAってとんでもなく高いんだもん)
おまけ:これまでに所有&使った機材イロイロ(物置小屋へ
 
主砲・TOA150Bの導入とアレコレ
TOA購入を検討されている人の参考にもなると思うので、レポートしておきます。
2016年6月4日: 注文からわずか1週間ほどで入荷したとの連絡があり、引き取りに。
おそるおそる段ボールを開け、記念撮影。ハンドルが最初から装着されているのは、箱から出す時に便利で親切。
早速観測室のEM400に搭載。しかし、TOAは予想以上に重い。ウエイトバンドを入れるとなんと20kg!プレート、バンドを含めると25kg以上と、TEC140 より1cm大きいだけなのに重さが倍!!
シリアルはB15030。Bタイプの2015年の30番目の個体。ブログには36番所有のユーザの方の書き込みもあったので、それ以上は製作されているということ。100万以上もするものが年に40本ほどは製作されていることだけでビックリ。 フードは伸縮タイプだが、スライドがきつくて出し入れはしにくい。キャップは金属製のしっかりしたもの。これも高級感があっていいけど、重いので、外すと前後バランスが崩れてしまう。ミューロンのような軽くて取り外ししやすいキャップが欲しい。
MEFが標準装備。ドローチューブクランプは接眼部下側のレバー。 同梱されていた注意書き。まあ、確かに腰はヤバイと思う。
対物レンズとバッフル。 セルとコーティング
総じて、良くも悪くも全てがタカハシ品質できっちり、しっかりと作られている。長く使える逸品。もちろん、光学性能は、もうすばらしいとしか言いようがない。できれば、鏡筒バランスを調整する仕組みとモーターフォーカサーがオプションで欲しいところ。
    
 架台:タカハシ EM400 Temma2M
(架台が勝つ方が好みなので)最初ミューロン250(質量15kg)用として、ビクセンのAXDかEM400の購入を考えていました。AXDはPCなしで自動導入できるメリットがある反面、異様に高価であり、「クランプが弱い」と聞いていたので迷っていたところ、なんとタイミングよくEM400の極上中古なるものが売りに出てきて即決。
その後、TOA150に変更したため、結局搭載重量はサブスコープとバンド等で一気に30kgに。結果としてEM400が正解でした。
クランプは強力、導入も速くなーんの不満もありません。強いてあげれば、コントローラの各ボタンが小さくて冬は面倒な事くらいでしょうか。これも次のモデルTemma2Zでは見事に改良されました。自分には、タカハシらしい「機械の美しさ」がうれしい。
     
観測室(SR2524)とのマッチング
観測室の基礎を高めにとったので、高さは十分なクリアランスがあるが、東西方向は結構ギリギリ。これ以上鏡筒が長いと鏡筒を東西に振ったときに苦しくなります。もし設置面積に余裕があるなら東西にもう少し長いSRS2430、望遠鏡を複数設置したいときはさらに大きなSRS2438が最低限必要だと思います。
 
撮影中 2019.11

収納時 高さには余裕がある 
  
TOAにくっつくコバンザメたち

鏡筒バランスウエイト
接眼部の重いアクセサリーの入れ替えでは、前後のバランスが崩れ、時には危険な状態になるので、前後のバランスウエイトは必須。

これくらい高価な機材だからメーカー純正の物が準備されていても良いんじゃないかな。 

鏡筒バランスシステム 2021.10〜
前後のバランス+左右のバランスを取るために、アルカスイスのロングプレート・クランプを利用したシステムを作って装着。
    
 
鏡筒ハンドル
ウエイトバンドのハンドルを前後逆につけて、さらにハンドルを2個(白矢印)にして、鏡筒を振るときに便利にしました。
   
 
ご存じKendrick ヒーター
邪魔にならないよう、赤道儀のプレート、2本の鏡筒の間にコントローラを置いてあります。

筒先バッフル  2019年12月
近所に増殖するLED街灯の光は観測室内にも侵入してきます。迷光対策の一つとして、知り合いの金属加工業者に筒先バッフルの制作を依頼。ステンレス製。     

電動フォーカサーEAF 2021年5月
改良され、5V・USB駆動となったZWOのEAF。
これ無しにピント合わせは考えられない。
  

タカハシ TOA-67 Flattener 2019年9月
φ90mmもある広大なイメージサークルの中央だけ使おうという贅沢な計画を企んで購入。しかし、デカイ・重い。パイナップルの缶詰ほどある。
  
オートガイドカメラ 2019年2月
QHY 5のCMOSカメラとKOWA LM100JCの組み合わせ。超小型なのに12〜13等は楽に見えるので、ファインダーとしても活用中。

Baader MARKX双眼装置  2017年
双眼装置の頂点。行くところまで行くしかないと覚悟を決めて購入。ダイヤゴナルとアイピース2本も含めると30万円を超えるという、普通の人には到底理解できない代物。さすがにすばらしい性能!
   
   
おまけ: TOA150Bのセルの模様問題
 納品後、セル奥側のリングに斑点状の模様があるのに気がついた。よく見ると、模様の中心に針で突いたような傷(?)みたいな物が見えます。
   
販売店経由でタカハシに問い合わせると、しばらくして
 
「検品時に存在は確認しているが問題ないと判断し納品した。新ロットが完成したら
鏡筒を新品交換する」
という回答がありました。
 
「えっ!」・・・・ちょっとビックリ!
 その後、タカハシ内でいろいろあったらしいが、しばらくしてタカハシの営業担当者の方が、親切にもTOAのセルを持参して来沢、経過とセルの製造について説明してくれました。

【以下要約】
  ・セルの模様は鋳造時にできる避けられない模様で、全てのTOA150製品に存在する。
  ・よって、もし新品交換しても、同様の模様はある。
  ・セルはコストをかけ精密に加工されており、模様は性能には一切関係がない。
  ・納品した個体も通常の状態の物であり、工場側の勘違いで誤った説明をおこなってしまった。
 
・・・・ということで、持参されたセルを見ても写真のように模様があって、この模様を隠すように(隠してはいないんでしょうが)、タカハシのロゴが入った飾りリングが装着されている事がわかります。
で、これが普通の状態だと言うことで、一件落着。
 
その後、自分でもweb上にある他のユーザ所有の複数のTOA150のセル部分の画像を確認したところ、同様の模様があること、さらにブログへの他のユーザーの報告からも同様の模様の存在がわかりました。
それにしても、100万円を楽々超える(バンドも含めると税込み150ほど!)高価な鏡筒ですから、何とかならないのかと思いましたね。フェラーリのボンネットを開けて、エンジンがまだら模様だったら、性能に問題がなくても嫌ですもんね。

それでも、対応にはタカハシの誠意とプライドを感じました。他のメーカーがセルを持って説明に来るなんてあり得ないですから。
長年の信用はこうやってできるという見本です。ゴタゴタしましたが、かえってタカハシへの信頼は厚くなりました。 

  
  
というわけで、
ナナセも時々TOAをのぞきに来て喜んでいます。
めでたしめでたし。

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メモ:TOA150の歴史

タカハシTOA150は2005年7月に発売。2009年に改良型=Bタイプに仕様変更。接眼部のクランプ等の構造が変更されました。初代の発売後、いつの間にか13年も経っている息の長い鏡筒なんですね。
以下はタカハシのニュースリリースから。
2005年7月 TOA-150 発売

 TOA光学系はタカハシの長年の研究から生まれた3枚玉の屈折望遠鏡です。
 TOA光学系は、2枚の特殊低分散ガラス(EDガラス)を含む3枚構成の対物レンズ(すべてECOガラス)からなり、それぞれのレンズを今までにないほどの間隔でレイアウトした設計で、波長ごとの球面収差と可視光域での軸上色収差をほぼ完璧に補正するすることに成功しました。屈折望遠鏡が長年抱えた課題である色収差を克服した天体望遠鏡なのです。屈折望遠鏡から色収差が無くなれば、反射望遠鏡と違い開口部に遮蔽がないため口径による回折限界まで見える理想的な望遠鏡になります。 収差補正してある波長域は可視光域はもとより、近紫外域から赤外域までカバーしていますので、銀塩写真だけでなく冷却CCDカメラやデジタル一眼レフカメラでも十分満足していただける光学系です。
 さらに、フラットナーとの組み合わせでは視野全体でのフラットフィールドも実現し、可視光全域、全視野での収差ゼロ化を達成しました。

2009年 7月28日 TOA-150 仕様変更のお知らせ

FSQ-106EDでご好評をいただいている、スライドガイドを使用し精度と強度を安定して維持できる接眼体をTOA-150とTOA-130NFに採用しました。
スライドガイドと可動部はオイルの使用を極力減らしているので、低温時のピント合わせがスムーズにおこなえます。クランプもラックギアを挟み込む形式になり、ロック時に対象が視野の中で動くことがほとんどなくドロチューブを固定することができます。
なお、この仕様変更に伴い両機種ともMEFが標準装備になりました