APRIL 10のDIARY 『大学は聖域?』

 

 郵便受けを覗くと、時々教育関係の会社とか出版社、学校などからの手紙が入っていることがある。そういう封筒を見るたびに「また、模擬試験の問題かな?それとも、入試関係かな?」と思ってしまう。
 でも、今回来た封筒の中身を見てちょっと驚いた。その手紙は、ある教育関係の出版社からのものだった。高校の教科書を作ったり、副教材を作っているその会社から来た手紙には、私の本の引用が徳島大学の入試の小論文の題材として使われたのでそれを自社のHPに転載していいかどうかの了承を得るためのものだった。
 了承うんぬんよりも、「あれ?私の文章が徳島大学の入試に使われてたんだ?」という事実にまず驚かされた。というか、唖然とした。こんな大事なことを(ひょっとしたら、大学関係者にはあんまり大事なことではないのかもしれないが)大学から直接報告されたのではなく、まったく関係のない会社からの手紙で知らされようとは。
 先日は、昭和女子大学から、私の著書からの引用を入試に使ったのでと事後承諾の手紙と入試問題が届いたが、この徳島大学からは未だに何の手紙もいただいてはいない。当然、入試で使われたことなどまったく知らなかった。私の一番新しい著書の「音楽はなぜ人を幸せにするのか」は、これ以外にも模擬試験で使われたりとわりと頻繁に使われているのだが、模擬試験の場合にはちゃんと事前に通告があり著者の許諾を申請してくれるが(模擬試験は使用料もちゃんと支払われる)、以前の聖心女子大学の時もそうだったように、大学の入試はいつも事後承諾だ。入試が終わった後に、一枚の紙っぺらと入試問題だけが届き、著作権使用料もゼロ。つまり、使いっぱなし。今度の大学はもっとヒドイ。事後承諾すらない。
 本当にこれでいいの?と思う。教育関係というのは「聖域」で何をやっても許されるところなのだろうか?
 事後承諾の件は、何となく合理的なようにも見える。引用された文章の著者の関係者で受験者がいたら問題が漏れる?だから事後承諾になる。しかし、これもいっけん合理的な説明のようにも見えるけれど、「それじゃあ、問題を作った先生の関係者はどうなるの?」ということにもなる。要するに、著者などの守秘義務とか責任をまったく無視して、大学関係者が自分勝手なルールを作っているに過ぎない。ましてや、入試は非営利事業だから、著作権法上の特例で使用料を払わなくていいという説明を、一体どれだけの人が納得してくれるだろうか?
 今回の徳島大学は国立だから、事後承諾も必要ないと彼らは思っているのだろうか?もしそうだとしたら、かなり失礼な話しだ。要するに、日本という国では、役人が一番エラクて、教育は聖域。まあ、そういうことだと仮定すれば、ある意味、納得はできるのだが....(sigh)。

ダイアリー.・トップへ戻る