MARCH25のDIARY 『アカデミー賞と男と女

 

  最近のハリウッド映画に幻滅しているせいか、今年のアカデミー賞の受賞作品にはとんと関心がなかったが、それでも、ある意味で面白いアカデミー賞のTV中継だった。
 中でも秀逸だったのは、長篇ドキュメンタリー部門を受賞したマイケル・ムーア監督のスピーチ(『Shame on you, Bush(恥じを知れ、ブッシュ)』)。彼のことばを聞いて、「おいおいそこまで言って大丈夫なの?」と思わず耳を疑った。候補にあがっている人はそれなりのスピーチを前もって用意しているのだろうが、TV中継は生中継なので言ったもの勝ちのところがある。実際、主演男優賞のエイドリアン・ブロディのスピーチも、それを終わらせようとする音楽を押し退けての発言だったので余計に面白かった(音楽に向かって強い口調で『Cut it off(やめろ)』と言っていたのが印象的だった。あれでは、指揮者も音楽もやめざるを得ないだろう)。それに、マイケル・ムーア監督のことばは、先日受け取った私の大学院当時の友人からのメールのことばそのままだったのも印象的だ(ウソの選挙で選ばれたウソの大統領が起こしたウソの戦争という認識は、多くのアメリカ人インテリに共通の認識らしい)。
 ただ、それでも戦争は起こるし、戦争が永久になくなることはないだろうと思う。人類に男性が存在する限り。
 戦争を起こすのは男性。戦争を起こしたがるのも男性。もちろん、女性が争いを起こさないわけではない。しかし、女性には戦争という手段は似合わない。なぜなら、あらゆる生物のメス(女性)には種を守っていく、つまり子供を育てる、子孫を残すという本能があるわけで、戦争をすることと子供を守るということは明らかに矛盾する。それに、例え自分たちの種だけ温存して他の種を滅ぼそうとする考え(侵略という考え)が起こったとしても、実際女性たちがそれだけの理由で戦争を起こすかどうかは疑わしい。
 それに、単純に男と女を比較しても、優秀な遺伝子を持っているのは女性。生き残る確率が高いのも女性。もともと、女性には戦争を起こす理由があまりない。なのに、男性はなぜに戦争をしようとするのか?
 ひょっとして、多くの生物がそうであるように、強い遺伝子を持った男の「性」を残すために必要なのが「戦争」だと思っているのだろうか?実際、人類は、国家が他の国家を侵略しては自分たちの「種」を新しい領土に植え付けていくという歴史をくり返しているわけで、それが人間の「業」や「サガ」だと思えないこともない。
 だとすると、今世界で最も横暴で最も腕力の強いアメリカという「男性」に必死にふられまいとして追いすがる日本という「女性」の姿は、あまり自然の「理」にかなっていることとも思えない。日本は、北朝鮮がナイフをちらちら見せながら脅してくるので、強いアメリカという男性に守ってもらおうと思っているらしいが、本当に北朝鮮が脅しているのは日本という女性じゃないんだということにこの女性は気づいていない。それにこの女性は自分が弱いと思い込んでいて、必死にこの横暴な男性に貢ぎながらも尽くしていこうとしているが、自分が弱いという思い込みそのものが間違っている。本当に立場が弱いのは女性ではなく男性の方。絶対にこの男性がこの女性をふるわけがない。アメリカが、日本の基地や場所や金は手放すわけがない。それを、貢がなければふられると思っている日本はかなり「バカ」だし「あわれ」でもある。一度、日本からふってみればよくわかるはず。アメリカが日本という「都合のいい恋人」を手放すわけがない。
 別に、男性、女性に例えなくても、日本の立場が本当は強いことは確か。女性と男性。単純に比較しても優性なのは女性。子供を産み育てる能力を持った女性に男性はどう逆立ちしたって勝ち目はない。男にできること。それは単に「種」をつけるだけのこと。男性は、ネコのオスのように、いろんな所に「種」をつけまくるために戦争をするのかもしれない。でも、それをただやらせていても「種」の保存はできないし、地球は間違いなく滅びていく。京都議定書にもサインせずに環境を破壊しながらひたすら地球を自分たちだけで支配していこうとするこの男性の横暴を止められる立場にいながら止めようとしないこの女性。日本がもうちょっと頭のいい女性だったら...、と思わずにはいられない。
 子供を守り、遺伝子を守り、才能や環境を子孫に残していく仕事は女性の仕事なのに。
 

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