FEBRUARY 15のDIARY 『ライブ楽屋ヨタ話し』

 

 たまには、ライブの楽屋話し。
 ライブ当日の14日、朝早くから通勤のサラリーマンのように赤坂までご出勤、ではなくってライブ会場のノベンバー・イレブンスまで出かける。赤坂という夜の街の朝の光景というのもかなり面白い。夜だったら客引きや酔っぱらいやコワイお兄さんたちが溢れる赤坂の朝を勤め人たちが朝日に照らされながら生真面目に一つの方向に向かって歩いていく。そんな姿を横目に、店に入る。もう既にお店の本来のシェフの鹿毛(かげ)さんとアシスタントのミツくん(若い彼はいつもこう呼ばれているので本名は知らない)が仕込みを始めているところにいきなり割りこんで仕事を始める。まるで、自分もこの厨房で長年働いているかのような顔をして仕事をするところが私の特徴だ(環境への順応性が非常に高い、のだろうか)。
 ただし、ここからが大変。野菜を刻んだり、テリーヌ用の豚肉の固まりをミンチにするために包丁で叩いたり、イワシを揚げたりと、3人で手分けしてやることの多いこと多いこと。40人分のコース・ディナーを3人で作るというのは並み大抵のことではない。予定では4時ぐらいにひと通り終えて、さあこれからバンドのメンバーと演奏の方のリハーサルを始めよう!ということだったのだが、食事の用意がなかなか終わらない。料理と演奏をどっちが大事?なんてことは言っていられない。とりあえずディナーの用意は彼ら2人にまかせて(厨房に後ろ髪をひかれながら)リハを始める。
 恐れていた通り、ベースの田村くんの来るのが遅い。携帯に電話すると「駐車場の空きを待つのに手間取って」という返事。「このままじゃリハができないじゃん」。しょうがない、ベースなしでリハを始めようということになる。結局、ベースつきでリハをしたのは3曲程度。若干の不安を残しつつ、「まあ何とかなるさ」と控え室の方で待機を始める。ふだんだったら、演奏前にまかない料理が出て全員で食事ということになるのだが、案の定、ディナーの用意が遅れていて「まかないの方はギリギリまで待ってください」。わあ、これじゃ演奏前に食べられないかも?(結局、バンドのメンバーはお客さんがおいしいディナーを食べているにもかかわらず本番後まで食べられなかった)
 ところが、キーボードの久保田修だけが「俺、自分で金払うからちゃんとコース・ディナーを食べてくるね」と言い残し客としてテーブルに座る。そう、彼は事前に席が余っていたらそうすると宣言していたので(ラッキーなことに一席だけキャンセルがでた)、こりゃしょうがない。それでも、食い物のうらみは恐ろしい(?)。食事を食べれないウラミからか、あるいは単にヒマしてるせいか、自然とメンバー同士で(そこにいない)久保田修のウワサ話しに花がさく。話しの内容はかなり差し障りがあるので割愛するが(おいおい、そこが一番聞きたいところだろうが)、だんだん話しをしていくうちに私の方にもとばっちりが及んでくる。「みつとみさんも人のこと言えないでしょう?」。一番つきあいの長いベースの田村の攻撃は辛らつだ。紅一点のみつしま嬢も興味津々とばかり「え?みつとみさんもそうなんですか?」。「いや、そうじゃなくって、俺はまともだよ」と必死に否定するが(何の話しをしているかはご想像にお任せする)、「え?何がまともなんですか?」と彼女も食い下がる。私もここにいてはヤバイとばかりに、「じゃ、俺下におりて、お客さんに挨拶してくるから」と、とりあえず逃げる。でも、私がいない間何を言われていたことか....S。
 最後に少しマジな話し。
 今回のライブの曲目のトリにはヴァレンタインデーらしくジャズの名曲『マイ・ファニー・ヴァレンタイン』を入れていた。しかも、それを私はフルートではなく大胆にも歌ったわけだが、事前に曲順をくだんの久保田修に言うと、「歌で終わるのって度胸ありますね」ときた。そう、確かに歌で終わるというのはけっこう我ながら大胆だなとは思ったが、そこはリスク好きの私。この曲で強引に締めくくった。しかも、この曲だけマイクをスタンドからはずして手マイク。シェフハットかぶったシェフ姿の私がマイク片手に歌う姿は、どう見てもミュージシャンには見えない。音を聞かなければ、まるでコックさんのカラオケ大会?だったかもしれない。でも、その歌を意外な友人がほめてくれた。彼はエンジニア。しかも、ジャズにはうるさいジャズ気狂い。その彼が「けっこうマイ・ファニー・ヴァレンタイン良かったよ」と言ってくれた。そうかヨカッタか?(本当は、「みつとみさんにマイ・ファニー・ヴァレンタインは似合わないって言ってたくせに)。だったら、次ぎのライブもまたジャズを歌おうか?(おいおい調子にのるなよ、という彼の声が聞こえてきそうだ。ハハハハ)。

ダイアリー.・トップへ戻る