JANURARY 30のDIARY 『惜しみなく与える愛』

 
   劇場で上映されている時、結局見過ごしてしまった映画『彼女を見ればわかること』をビデオで見た。グレン・クローズ、ホリー・ハンターなどのつわもの女優の中にキャメロン・ディアスが盲目の役で出ていたりする映画だが、主役は女性たち。別に、特定の誰が主役というわけでもなく、オムニバス的に作られていながら特にオムニバスというわけでもない。女性たちのさまざまな生き方がフィーチュアされている映画。
 他人を信用せず自立した医師として自己を誇示しながらも男性を常に求める女性。銀行の支店長をしながら妻子ある男性と不倫を続け妊娠、中絶を機にその男性と別れる女性。離婚後、子供と二人で平凡に暮らしていた主婦が向いに引っ越してきた小人の男性と恋に落ちる話し。切なさと悲しさとそしてほのぼのとした淡いパステル・カラーのような映画の雰囲気が印象的な映画ではあったが、逆に、男性のだらしなさ、いい加減さ、ずるさも目についてしまい、ある意味見るのが辛い映画でもあった。特に、ホリー・ハンターが、中絶の後の女性の悲しみを体一杯に表現している姿がいたたまれなく、思わず目を覆いたくなったほど。
 わりきった不倫を続けているキャリア女性のようでいながら、実は、心の中に常に満たされないものを持ち続けていた女性の深い悲しみを彼女ほど切実に表現できる女優もいないのではないだろうか。その彼女に偶然出会った路上生活者の女性が彼女に言うことばが生々しく響く。「愛は求めるものじゃない。与えるものだよ」。
 どこまでもどこまでも与え続ける愛。そんな愛があれば素晴らしいと心から思う。見返りを求めない愛。惜しみなく与える愛。
 恋におちるのはたやすい。そして、恋はいつかは冷めるものだろう。しかし、恋が冷めても、愛を残し、そしてそれを無条件に与え続けることができたら、とつくづく思う。人は人生の中で、何度も、幾人もの人に恋を経験することだろう。しかし、惜しみなく与え続ける愛を一度でも経験できたなら。きっと、その人はそれだけで幸せになれるに違いない。

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