OCTOBER28のDIARY 『映画とデパ地下』

 

東京国際映画祭で上映されているある映画を見ようと思って澁谷に行ったが、すでに入場チケットは売り切れ。「アマカッタ!」という思いで、一緒に行くはずだった知り合いの映画監督に連絡するが連絡取れず、彼の携帯にメッセージだけを残して本屋に行く。知り合いに勧められたパトリック・ジュースキントの本を買いに行ったのだが、ついでにあれもこれも本に目移りしてしまい、結局買った本の総額が1万5千円!これだけ買うと、かなり痛快だ(ホントは痛い!と言いたいのだけれども)。
 フィクションやノンフィクションの売り場から音楽本や映画本のあたりで、改訂されたばかりの音楽家人名事典なるものを立ち読みする(これが一冊1万5千円もするので、さっき同額を使ってしまった私は、とても買うことができない)。この事典には私の名前が載っているので、「フムフム、どんな具合に書いてあるんだろう?」という興味で立ち読みをした。十年以上前からこの事典には、私の経歴が掲載されているのだが(しかも、かなりのスペースを使って)、私はこんなに有名だったのだろうか?という単純な疑問と、この事典に載せる載せないの基準は一体どこにあるのだろう?という疑問をいつも持っている。この事典では、私のことをクラッシックのフルーティストとして評価してくれているみたいなのだが、最近あまりクラッシックのフルーティストとして活動もしていないのにナ....とも思ってしまう。まあ、向こうが勝手に載せてくれているんだから、いいか!
 本屋での散財の後、今度こそ真直ぐ帰ろうと、電車に乗るために渋谷の交差点にさしかかると運悪く信号は赤。メンドくさいとばかりに、地下通路に降りる。今度は地下に降りたのが運のツキだった。デパートの食料品売り場の魔の誘惑から逃れることができなかった。惣菜や、各種の食料品に次々と目が移ってしまって、もう大変。今までは、西武デパートの地下が楽しいと思っていたけれど、最近では、この東急の地下がかなりお気に入りだ。SEIJO ISHII という、ちょっと紀ノ国屋風の珍しい食材を売っているスーパーも入っているために、あれも買いたい、これも買いたいになってしまう。なんだか、お菓子の国に迷いこんだヘンゼルとグレーテルの気分。「こんな楽しいワンダーランドがあるんだろうか?」なんて思う男性はそうザラにはいないかもしれない。食材を見ていると、楽しくて楽しくてしょうがない。さっきあんなに本を買い込むんじゃなかったと後悔し始めたのは、買い物カゴの中に少しずつ獲物を入れ始めた頃。もうこれ以上は両手で持ちきれませんというところで観念してレジに向う。買ったのは、全粒粉やライ麦粉などとドライイーストなど、など。そう、パン作りの材料だ。夜中の12時からソバを打ち始める変人の私は、今度は夜中にパン作りを始めるかもしれない(でも、パンの方が発酵の時間がかかるので、ソバほどすぐにはできないところが難点だけれども)。
 渋谷という街は、自分が育った故郷の街なのだが、あまり街としては評価していない。大体年令層が単一なのは、普通、街とは呼ばない。原宿もそうだ。街というのは、すべての年令層がくまなくいてはじめて街と言える。でも、渋谷も原宿も一つのアミューズメント・パークと考えるならば、こんな面白い所はない。そういう意味では飽きない。通りの人を見ているだけでも、ホストのようなお兄さんがそこら中で懸命に女の子をスカウトしていて面白いし、女の子や男の子の流行りのファッションはすべてチェックできる。買い物だって、最先端のグッズはすべて買いそろえることができる。でも、本当にイイものはどこにもないような気がするのも確かだ。本当にイイものとは、作る人のこころが入ったもの、使う人のこころが本当に和むモノと言えばいいのかナ?そんなモノは、自分の足で丹念に探していかなければ絶対に見つかるものではないだろう。ひと通りの飽きさせないグッズやエンタイテンメントがテンコ盛りの渋谷は、やっぱりアミュースメント・パークなのかもしれない。

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