OCTOBER16のDIARY 『アメリカにノーと言えるのは?

 

 連日、拉致問題がTVで報道されている。これは、拉致というような軟弱なことばではなく、本当はテロと言ってもいい問題のはずなのに、誰もそう言わないのはナゼなのかなと思ってしまう。ブッシュは、北朝鮮を悪の枢軸と言って非難したが、この問題に関してはあのおバカな大統領の言っていることも一理あるなと思えるから不思議だ。ただ、北朝鮮は全体主義国家だから、国民の全員が金成日を支持するのはわかるとしても、アメリカ国民の大半がブッシュのイラク攻撃を支持するというのはどう考えても理解できない。いや、ある意味、理解できるかもしれない。世界最大の肉食国家アメリカの歴史は、それこそ殺りくの歴史でもあるからだ。
 アメリカは、現在世界で生産されるすべての牛肉の25%を消費している。アメリカ人一人が一年間に30キロの肉を食べる計算だ。日本人は、その十分の一。それでも、日本は、世界で第3位の牛肉消費国。明治維新の前には、牛肉など食べたことのなかった日本人が今や世界第3位の牛肉消費国というのも、ある意味驚異的なことだと思う。自国の食物文化をここまで大事にしない国も珍しい。日本もだんだんアメリカ並みの肉食文化になってしまうとしたらこんな恐ろしいことはない。
 以前にも書いたことがあるが、現在の地球を取り巻く環境汚染の元凶は牧畜だと言われている。なぜ、牧畜が環境汚染の原因かを説明していたら一冊の本が書けてしまう。簡単に牧畜の害を説明すると、牛一頭を育てるのに、一年間で二十ヘクタールの牧草地を必要とする。そして、飼料として1200キロの穀物が牛一頭に必要になってくる。もっと、わかりやすく言うと、牛一頭を育てるために、地球上のどこかの二十ヘクタールの森林が牧草地に変えられ、そして、牛が食べ尽して使い物にならなくなった牧草地が今度は不毛の砂漠になってしまうということだ。そして、牛は、800キロの植物性たんぱく質を消費して、たった50キロの動物性たんぱく質しか生産しない。要するに、地球上の資源の無駄使いをした上に、飼料用の食物を飼料に変えるために工場で大量の化石エネルギーを使う。そして、さらに悪いことに、そうして育てた牛のふん尿は、環境汚染の元凶とも言われる二酸化炭素を大量に放出する源になってしまう。
 まあ、牧畜の害を思いつくままにあげつらったけれども、牛を育てることの害は、こんなもんじゃない。アメリカとヨーロッパ、そして日本が消費する牛肉のために、ブラジルのアマゾンやアフリカのほとんどの熱帯雨林が牧草地にされ、それが砂漠になり、そこに住んでいた人たちを失業者にして町へと追い立ててスラムを作り、犯罪を増やすという構図を作りだすのだ。そこに日本もかなり荷担していることを忘れちゃいけない。
 こうして考えると、牛肉を食べることがこれほど犯罪的な行為かということにすぐに気づくのだが、アメリカやヨーロッパの人間は、自分たちの食生活をそう簡単に変えられるわけではない(日本は、本来の食文化を大事にすればいいだけだが)。白人の長い歴史の中で、肉食は、権威の象徴でもあり、強さの象徴でもあったわけだから。今度のイラク攻撃をまっ先に言い出したのはアメリカ。そして、それをまっ先に支持した国はイギリス。この二国が他ならない肉食文化に固執するアングロサクソンの代表の国だということを考えれば、なぜこの二国がイラク攻撃に積極的かが容易に理解できるのではないだろうか。
 アメリカ先住民のインディアンとそれまではあふれるほどいたバッファローを皆殺しにしたのはアメリカ人開拓者。その理由は、牛を飼う邪魔になるからだけ。
 十九世紀までのアメリカは捕鯨先進国だった。しかも、彼らは、その肉は食べずに油を取るためだけに鯨を殺りくしていた。鯨の肉から歯から皮から骨から、その身体すべてを自分たちの文化として取り入れていた日本の捕鯨とはえらい違いだ。アメリカは現在農業先進国と言われるが、その作物の半分以上は飼料。つまり、牛の餌を育てているだけの農業だ。自分たちが環境汚染の元凶を作っておきながら、地球の環境汚染対策のための京都議定書にサインをしない国はアメリカだけ。
 こんな身勝手な国の発言で世界が左右され、そしてその国の言いなりになっている日本という国の政治はあまりに情けない。日本がアメリカにノーと言えるようになる日はいつなのだろうとつい思ってしまう。

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