APRIL19 のDIARY 『サウンド・オブ・ミュージック』

 

  どういうわけか久しぶりに『サウンド・オブ・ミュージック』が見たくなり、借りてくる。昨年ビヨークの『ダンサー・イン・ザ・ダーク』を見た後遺症なのかもしれない。別にストーリー自体の関連性は何もないのだが、『ダンサー・イン・ザ・ダーク』の主人公のエルマが素人劇団で『サウンド・オブ・ミュージック』のミュージカルに出ることを夢見る少女というだけのことなのに、『ダンサー・イン・ザ・ダーク』と『サウンド・オブ・ミュージック』はいろんな所でダブるようになってしまった。
 『サウンド・オブ・ミュージック』の中で「マイ・フェヴァリット・シングス」が歌われるシーンを改めて見て、この曲は本来は落ち込んだ気分を高めるために「自分の好きなもの」を次々に思い浮かべるという単純な歌だったんだということを思い出した。でも、どういうわけかこの曲を聞くとそれほど明るい気分にはなれない。ジョン・コルトレーンがジャズのスタンダードにしたということもあるのだろうか、この曲には独特の深さがある(だから、単なる明るい曲にはならないのだろう)。 これ以上シンプルには作りようがない。シンプルの最上級形をあげたいほどにシンプルな曲だ。でも、この曲は、ジュリー・アンドリュースのあのきれいな声で聴こうが、トラップ家の子供たちのかわいらしい声で聴こうが、あるいはビヨークのあの感動的なアカペラで聴こうが、はたまたコルトレーンのソプラノ・サックスで聴こうが、いつでも感動できる曲だ(JR東海のCFの大森くんのアレンジだってけっこう捨てたもんじゃないけどね)。きっと、名曲っていうのはこういう曲のことを言うのだろう。
 そうやって改めてこのミュージカルの中の曲を聴いてみると、ホントにいい曲だらけなのだと思ってしまう。「ドレミの歌」も、これ以上簡単で、しかも音楽的に優れた形でドレミの仕組みを教える歌は誰も作れないのではないかと思ってしまう。私も数年前に、NHKの子供番組の音楽を担当していた時に、これと同じコンセプトでドレミの曲を作ろうと試みたことがあった。 結果として「ドレミ戦隊音レンジャー」というアニメの中の曲みたいなタイトルの曲ができあがったけど、この『サウンド・オブ・ミュージック』の中の「ドレミの歌」に比べると、自分としてはそれなりにいい曲ができたという自負はあっても、まだまだという感じがして改めてこの曲の偉大さを感じたことを思い出す。自分としては、この『サウンド・オブ・ミュージック』と『マイ・フェア・レディ』にミュージカルのすべてが凝縮されている気がして、折にふれて見直しているのだが、自分が果たしてこれだけの曲を書けるだろうか、あるいは作れるだろうか?そういった想いがいつも募る。おいおい、そんな大それたことをお前はマジで考えているのかと言われそうだが、私はマジです。いつも。

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