MARCH 4のDIARY  『レッド・ヴァイオリン』

 

 最近のTVは、CSもBSもできたおかげで映画をたくさん見れるようになったのは嬉しいが、ビデオとは違い最初から全部見るということはあまりない。時間表を最初からチェックして、3時から5時までやっているから3時から見ようなどという事はほとんどない。というか絶対ない。いつも、途中から見て面白そうな映画なら最後まで見てしまう。途中で電話で邪魔をされたり、仕事にまた戻ったりと一本の映画をビデオのように最初から最後まで見るといった鑑賞法にはなかなかなれない。その代わり、CSでは同じ映画を何回でもやっているので、その次ぎにまた見のがした場面をチェックし直したりできる。つい先日『レッド・ヴァイオリン』をやっていたのを途中から見た。この映画、以前に前半の方だけ見て、途中で外出しなければならなくなり、結末を見過ごしていたものが、やっと最後まで貫徹できた。
 いわくつきのクレモナの名器が、それを手にした人間をさまざまな事件や数々の出来事に巻き込んでいく、いわば妖刀正宗みたいなもので、最後に現代の人間がその価値をめぐって争い駆け引きを行っていくという筋立てだ。サミュエル・L・ジャクソンが現代のヴァイオリンの鑑定士でありブローカーという設定が若干問題があるが、ジョシュア・ベルのヴァイオリンの演奏はさすがだし、これがアカデミー音楽賞を取ったのも何となくわかるような気がする。中国の文化大革命の間にこの名器が中国にあったというストーリーが一番面白かった。
 文化大革命の間に中国の洋楽器はほとんど焼かれてしまったという話しを聞く。中国は弦楽器のレベルのとても高い国だ。別に民族楽器の胡弓だけではない。ヴァイオリンの名手もたくさんいる。彼らが、自分たちの命の楽器を無理矢理奪われてしまった時の状況を考えると胸が痛む。イタリアのクレモナの楽器作りの名人たちも、中国の演奏家も命と引き換えにこの楽器を守ってきたというストーリーは、まあ出来過ぎた話しではあるけれども一つの楽器がこれほどまでのドラマを生む可能性はストラディバリウスの名器ならあり得るだろうなと思ってしまう。あの妖艶なフォルムと色と輝きを見ていると、ヴァイオリンには、何となくそんな魔性が秘められていてもおかしくないような気がしてくる。

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