OCTOBER12のDIARY 『料理ライブ』

 
 久しぶりにダイアリーを書き込もうと思ったら、前の日付けを見て愕然とした。そうか、もう1ヶ月近くも日記をサボっていたのか?本当は書きたくても書く時間がなかったのが現実なのだが、他人には、自分がどれだけ忙しかったということを口で説明しても多分わかってもらえない。忙しくても、忙しくなくても書き続けるのが日記なのだから、その意味では日記の役目は果たしていないが、所詮、ホームページ上での日記は他人に読んでもらうのが前提の日記だ。本当の意味で他人に聞かせられない事柄までは書けない。でも、どんなにことばに修辞を使ってもその人の本音が出ているかどうかは意外にわかるものだ。私の日記も、そういう意味では、いろんな人に見抜かれているに違いないと思う。
 この2週間ばかりキャロル・セラというフランス人アーチストのレコーディングにかかりきりだった。おかげで、慢性の睡眠不足陥ってしまったが、ようやっと完成してその全曲(12曲)を聞いてみると、意外にいい仕上がりなのに自分でも驚いている。自分でやっておきながら、意外にいい仕上がりもないもんだが、正直言ってこれをレコーディングするまで、これほどまでの仕上がりになるとは思っていなかった。何せ、予算が少ない。となると、必然的にそれにかける時間も少ない。となると、それほど高い水準のものができるとは思いづらい。でも、レコーディングしながら、「おや、これはけっこうイケルんじゃないの?」と思い始めてきた。今回のアルバムは、全曲が竹内まりやのフランス語カヴァーだ。竹内まりやとフランス語。これは、けっこう合うんじゃないのかなとは前々から思っていた(竹内まりや自身が、オリジナル楽曲でヘタなフランス語で歌っている部分もあったし)。 でも、これほどハマルとは思っていなかった。竹内まりやのあのモロ歌謡曲チックなメロディが、フランス語でもともとそうだったかのようにハマって聞こえる。キャロル・セラの今にも壊れそうな頼り無気な歌声が妙に竹内まりやの切ないメロと合っているという面もあるが、この組み合わせ、妙にイケている(発売は、12月の末だから、まだ先だが)。
 今回の10月10日のライブは、そんなこんなで、忙しくしていた直後のライブだったので、もう最悪!?とか思ったが、意外とこれもイケていた。何も自分でここまで自画自賛しなくてもと思うのだけど、けっこう自分で自分をほめるたちなので、これは素直によかったと思う。いつもの渋谷の店と違って、料理をメインにしながらいろんな生の音楽を聞かせるお店なので(経営者の宇崎竜童さんらしいコンセプトと言えばコンセプトだが)、お客さんの雰囲気がまず和んでいるのがイイ。渋谷の店は、「ライブ」というくくりで始めるので、どこかいつも演奏の最初は固い。だから、客を和ませるまでに時間がかかるが、赤坂のこの店は、最初にオイシイものを食べているせいか、最初っから客がリラックスしているのがよくわかる。だから、こちらの演奏もしやすい。この違いは、演奏する側にとってはかなり大きい。客がカタイと、そのカタサをほぐそうと、こちらの演奏にも無理な力が入ってしまう。 それが必要ないだけ、こちらもリラックスして演奏できる。食べ物の力おそるべし、ダ。
 で、その食べ物の力を最大限に利用したライブを今度やることになった。まだ、ちょっと先の話しだが、私の手作りの料理と私の演奏を同時に楽しんでもらうライブというのが、来年の2月ぐらいに計画されている(店のマネージャーと私で勝手に計画したのだが)。私の料理を食べたことのある人間はけっこう多い。とは言っても、やはりごく限られた私の仲間たちだけだ。その人たちは、私の料理の腕前の生き証人になってくれると思うが、それ以外の人たちは、単に私の料理がうまいと好きだとかいう話しばかりで、実際に食べたことがないので、「本当においしいのか?」と思われても仕方がない。だから、というわけではないが、音楽と同じぐらい好きな料理と音楽が同時に披露できるライブがあったらいいなと思っていたのが、お店のマネージャーの一言で実現することになってしまった。もちろん、料理を作りながら演奏などできるわけがないので、具体的にどういった形で料理と音楽をライブ化できるのかはこれからの課題なのだが、それでも現実にそれが具体化される日も近い。そう思うと、頭の中でメニューがどんどん膨らんでいく。

ダイアリー.・トップへ戻る