AUGUST 15のDIARY『サカナ・フェチ/ブラックバスのおいしい食べ方』

 

 私は、どちらかと言うとかなりの水族館フリーク、というよ りも魚が好きな人間だ。よく小さい頃魚屋(今は、魚屋自体が珍しくなってしまったが)の目の前に行っては、魚の顔を見てじっと座っている変な子供だった。ただじっと座っているだけならまだしも、この魚はイイ顔をしているとか、これはブスだとかわけのわからないこと言っては魚屋の主人を困らせていた。なかでも、私の一番のお気にいりがアユであった。なぜアユが好きかと言えば、これは、もう文句なしに姿形が美しいこと、そして顔がいいこと、そして最後に極めつけは香りがいいことがあげられる。スタイルが良くて、ルックスがよくて、おまけに香りがいいと来れば何にも恐いものなしだが、最近のスーパーに売っているアユは養殖だったりするので、いまいち香りがよくない。人によっては青臭くて好きではないという人がいるが、川魚は、普通虫などを餌にしているのにアユだけは石についたコケを食料にしている。香りがいいのはそこら辺りにも理由があるに違いない。私は、アユの香りから スイカや芝生の甘い匂いを連想するが、香りフェチの私としてはたまらなく好きな魚の一つだ。
 それと対照的なのがバス。例のブラック・バスというやつだ。この魚は、最初に釣り上げた時、これほど泥臭いにおいの魚がいるだろうかと思われるほど、ちょっと食欲を減退させる匂いがする。アメリカ人は、この魚をゲーム・フィッシュにして食用にはしていないが、その一つの理由がこの匂いにあるのかもしれない。もちろん、釣り上げた瞬間のあの爽快なジャンプと強い引きがゲ−ム用にはうってつけなのだろうが、ナマズを食用にするアメリカ人がこのとてつもない繁殖力を持ったバスを食用にしないのは、食べる前にあの匂いにげんなりしてしまったせいなのかもしれない。それでも、私はアメリカにいた時にこの魚を良く食べた。他に魚があまり売っていなかった地域にいたせいもあったかもしれないが、中国人に教えてもらったバスの調理の仕方はさすが中国人と思わずうなってしまうほどの理にかなった調理方法だった。
 臓物と鱗を取ったバスを沸騰した鍋に20分ほどつけておく(火を止めた後から入れる)。長ネギとしょうがをみじん切りにする(けっこうたくさん用意する)。そのネギとしょうがをたっぷりと油を入れたフライパンで炒める(油もけっこうな量入れる)。つけておいたバスを皿にもって、その上から炒めた.ばかりの油とネギ、しょうがをジャーとかける(中国料理っぽい豪快な音がする)。その上に醤油を適当にかけるだけ、簡単この上ない調理法だが、こうするとバスのいやな匂いも消え、白身の本当においしい魚として食べることができる。日本では、他にもくさるほどおいしい魚があるので、別に好き好んでバスを食べなくてもいいので、誰も食べようとしないが、一度試してみる価値はある。ブラックバスも案外イケるんだなという事を発見するだけでも楽しいかもしれない。

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