JULY 25のDIARY『コンコルドの事故』

 

 パリのドゴール空港のそばでコンコルドが墜落したニュースをやっていた。昔ロンドン郊外の友だちの家にいた時、その家の真上がコンコルドの飛行路になっていた。ちょうどコンコルドが通過する時、その家の窓ガラス、近所の家の窓ガラスのすべてがものすごい音をたてながら揺れていた。爆音のすさまじさも想像を絶していた。スピードが早い乗り物は必然的に空気を押す圧力もスピードに比例して高まっている。空気を振動させる圧力が高まれば高まるほど音は大きくなるわけで、コンコルドのスピードがどれだけ早いかはあの音を聞いただけでも容易に想像がついた。スピードが早くて世界一安全と言われたコンコルドが初めて墜落事故を起してしまった。エンジン・トラブルのようだが、離陸した直後にホテルにぶつかっている。
飛行機の事故の90%は、離着陸の時に起こるという話しを聞いたことがある。私も、飛行機に乗るたびに離陸するためにスピードをあげて滑走路を走っている時は異様に緊張する。やっぱりあの瞬間が一番コワイと思う。前の座席や横の座席でいかにも旅慣れてる風のビジネスマンが新聞を読んだり雑誌を見ながら、そんな緊張など私には関係ないという顔でいるのが、本当にそうなのか、それともそんな内心を隠しているのかいつも疑問に思えてならない。
 いったん水平飛行に入ってしまえば、爆破でもされない限り飛行機はそう簡単に落ちるものではない。だから、水平飛行時間の長い海外への飛行は緊張度はそれほど高くはないのだが、国内の飛行機旅行は乗ったと思ったらすぐ着陸体制に入る分よけいに緊張してしまう。10年ちょっと前、日航機が御巣鷹山に墜落した直後に仕事で長崎に行った時は、長崎空港に無事着陸した瞬間乗客全員がきせずして拍手をしたのを今でもよく覚えている。みんな私と同じように緊張していたんだなとあの時は素直に思えた。飛行機事故の確率は自動車事故よりもはるかに少ないと言う。確かにそうだろう。ふだん車を運転している時の方が、もうダメかと思う瞬間がしょっちゅうあるような気がする。それでも、飛行機に乗る時の極度の緊張感は一体どこから来るのだろうか?
 いったん事故にあったら絶対に助からない。ほとんどフィフティフィフティの確率で死を覚悟させられる。それが、あの大きな金属の固まりで空を飛ぶ時に強いられる緊張感の正体なのかもしれない。

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