DECEMBER 11のDIARYP『プロレスとアメリカ』

 

 パソコンに向かう時間が多くなるのに反比例してTVを見る時間はますます少なくなっていく。もともとそれほどTVを積極的に見る方ではないのだが、TVの前にいる自分はあまり多くない。でも、ケーブルと契約してからは、チャンネル数の多いこともあって、食事をする時や寝る前に、意味もなくチャンネルを回して何か面白い番組がないか探すこともある。私がつい目を止めてしまうのが、WWFのプロレスだ。
 ワールド・レスリング・フェデレーションというアメリカのプロレス団体の番組なのだが、アメリカではかなりの人気と見えて、その中のスター選手が「ピープル」や「プレイボーイ」などの人気ゴシップ雑誌の表紙を飾ったり、この団体自体が株式相場で一部上場したりしている。単なるプロレス団体が株式で上場するというのも驚きだが、その実際のプロレスのファイトを見ると、さらに驚かされる。本当にショー化されているからだ。最近では、日本のプロレスや女子プロもかなりエンタテインメント化されているが、このWWFは徹底している。一体何人レスラーがいるの?というぐらい数は多いのだが、その一人一人がキャラを持っていて、そのキャラを完全に演じ切っている所は、俳優顔負けである。リング上でマイクを持ち、お互いを罵ったり、激励しあったり、聴衆に同意を求めたり、聴衆を完全に一体化してショーを作り上げている(楽屋での選手同士の争いも、おいおいホントかよ?と思うぐらいドラマ顔負けだ)。
 私は、格闘技のファンでも何でもないのだが、このWWFだけは例外で、つい見入ってしまう。プロレスなんかまったく興味がない人間でも、このショーを見れば、その面白さ、バカバカしさについ目を止めてしまうはずだ。もちろん、ファイトはあるのだが、そのファイトもアッと言う間に終わってしまい、必ずしも正義役が勝つとは限らない。ファイトの前後も駆け引きの方がはるかに長く、あれだけ強烈な闘いをしている(?)にも関わらず、血がほとんど流れない。何で?なんていう疑問は見ている間にいつの間にか消し飛んでしまう。それぐらいショーが面白いからだ。これほどまでショー化したプロレスを興行的に成功させている経営者とそれを支えるアメリカ国民は本当に単純な見せ物が好きな国民なのだなと感心してしまう。今回の大統領選挙も、言ってみれば単純なショーでもある。いつまでたっても、票をどうするかだけでスッタモンダをやっている司法や政治家、そしてそれをあきもせず報道するメディアと見る国民。この国のエンタイテインメントの奥は深い(!?)と見た。

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