NOVEMBER 25のDIARY『ネコマタ』

 

 最近寒くなってきたせいか、ネコがよく膝の上にのってくる。私のネコはもうすぐ21才になろうという年寄りネコなので、ジャンプ力が多少衰えてきたような気がするが、それでも椅子に座っている私の膝の上まで上ってくるのだから、まだまだ相当なジャンプ力だと思う。
 ネコは、元来上下運動が好きな動物なので、高いところによく上ろうとする。どうやって上ったのかはよくわからないが、人間の背丈より高いタンスの上や机の上に上り、その後どうやって降りようかと思案している光景を、若い時よく見かけたような気がする。家を長い間あけていたりすると、その間にイヤガラセで上のモノを下にわざと落としたりする。さすがに、最近では高い所自体に登れなくなってきたせいか、そんな事もなくなってきたが、ネコのイヤガラセぐせは未だ健在だ。こちらが忙しくてエサをあげられない時など、わざとこちらの気をひくために吐いたりする。よくネコは毛球を吐くがこの場合はそれとは違う。単なるイヤガラセだ。こちらの気をひくための健気な抵抗なのだが、最初これを見た時はさすがにもびっくりした。どこか体でも悪いのじゃないだろうかとこちらが心配すると、その後ケロってしていたりする。なかなかの知能犯だ。悪知恵にかけてはネコは犬の数倍上だろう。だから、昔からネコは気味悪いとか化けて出るだとかいって、あまりいいイメージをもたれていない。化け猫はいても、化け犬は聞いたことがない。
 ネコも私のネコぐらい年寄りになると、ネコ又と言って、しっぽが二つに分かれて化け猫の類いになると昔からされている。うちのネコはまだそこまでの出世はしていない。いつしっぽが二つに割れるかどうかいつも観察しているが一向に分かれる気配はない。それよりも、このネコが人間のことばをしゃべったりする事のないように願う。そこまでの妖力を私のネコごときが持つとは思えないが、もしこのネコがことばをしゃべったらと思うと気が気ではない。私のネコは、私の生活のすべてを知っているわけだから、彼女が(私のネコはメスだ)しゃべろうものなら、こりゃ大変だ。私の悪事をすべてしゃべられてしまう。ネコに口止め料を払わなければならない。昔、漫画家の赤塚不二夫氏が、飼い猫の菊千代に預金口座を作り菊千代用の通帳を持たせていたが、私も自分のネコ用の通帳を作りお金を振り込まなければならなくなるかもしれない。
 今は、せっせとエサをやり水を絶やさず、トイレ掃除をきちんとこなすイイ飼い主であろうとしているが、時々ウルサイとばかりケリを入れる。昔は、私がケリを入れると吠えたり噛み付いてきたりしたが、最近は大人しいものだ。これも年のせいなのだろうが、無抵抗なネコはネコじゃないようでちょっと寂しい感じがする。ネコは、やはりいつまでも、ライオンの親戚であって欲しいと思う。

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