Gibson Modernistic Guitars
 "The Guitar Book" by Tom Wheelerによると1955年にカラマズーの工場で製作された実験的手製ギターで'57年のシカゴミュージックトレードショー(NAMM)に色違い等含め12本出展され、その後デザイン等手直しされたものが、Flying VExplorerの2種として'58〜'59年にかけて販売されたという事です。Gibson社の出荷記録によるとFlying Vが98本、Moderneが22本販売されているが、Explorerの出荷記録がない。このModerneが実はExplorerであると思われます。過去にModerneと紹介されたギターが1本あるが、これは偽造品とされ、実物が確認されているのはFlying VExplorerの2種です。
1957 NAMM convention
 '57年のNAMMショーでFutura prototypeを持つGibson社Sales Managerの Clarence Havenga氏。
「こんな飛んだの作って、ウチもやるだろ〜。」とでも言っているんでしょうか?
あるいは「こんなヘンなもん作りやがって、いったいどうやって売れってんだぁ?」かも?
 マホガニーにしては随分明るい色ですが、NAMMに出展されたのはリンバという話もあります。白いピックガードとトラスロッドカバー、ジャックプレートが使われています。ピックガードはKurt Linhof氏のFutura ( The Guitar 2 )と同じ形ですが、コントロール類が全く見えません。ジャックプレートは随分と端の方に付いていますし、ボディの厚さも薄いように見えます。上記の特許図面と殆ど同じ形で、本当の試作品という感じですね。ヘッドのトラスロッドカバーの上部にKurt Linhof氏のFutura (The Guitar 2のもの)と同じ形で色の切替が見られますが、もしかしたら同一のギター??
一緒に写っている人の後方にDouble 12のヘッド部分が見えます。

The Gibson Gazette 1958
 公式には'58のGibson Gazetteに紹介されています。Explorerは市販品として一般に知られる形ですが、Flying Vは色々と違う点が多いようです。
一般市販品の仕様は以下のとおり。

 木部はボディ、ネックともにコリーナ(アフリカン・リンバウッド)生地ナチュラル仕上げでバインディング無し。22フレットすべてがボディから飛び出した形状で、ボディに接着するためのネックのテノンは2つのPUの中間部分まで伸びている。その部分を隠すためピックガードは弦の下部(Explorerの画像)まで延長されている。ヘッド角は17°ネック角は3°、指板はハカランダ、パーロイド・ドットのポジションマーカー、チューナーは1コブのクルーソンVP320、ブリッジはチューン・O・マチック、P.Uは黒エスカッションのPAF2個でそれぞれゴールドメッキ。黒か金のトップハットノブの2V&1Tコントロール(画像とは逆に実際はFlying Vは黒、Explorerは金が多いようです。)アメ色ノブ3ポジショントグルスイッチ。白い(初期は黒)弦下まで伸びたピックガードと茶色の裏面コントロールカバー。
Flying Vのみの特徴として、アンプに使われていたプラスチック・キャスティングにゴールドメッキを施したリレーフのGibsonブランドをヘッドに指板と平行(Gibson初)に2本のダボで打ち込み、ボディ裏から弦を貫通させるV字型テールピース、アウトプットジャックは普通正面高音側下部だが、サイドジャックのものも存在するらしい。


The Original Modernistic ( Proto Type )

Flying V Explorer "Furtura"
 勝手にGibson Gazette風に作ってしまいましたが、Futuraの方は当然偽物です!!!Player社のThe Guitar-2のFuturaの写真から作っています。スケールを合わせ、ほぼ同縮尺で画像を作るとFuturaはこんなに小さくなってしまうんですね(笑)。 ReissueですがFuturaとExplorerを一緒に並べた画像はこちら

さて・・・
 実物の存在が確認されているKurt Linhof氏のFutura、そしてこの写真の実物は確認されていないFlying V。(昔Uriah Heepのギタリスト、Mick Boxがこれと同じ様なヘッドの'58年製Flying Vを所有していました。)これらは実際の製品版(Production Model)とは形状が異なっている部分が多くあります。当初仕様のこれら試作品と製品版との差異は以下のとおり。
 マホガニー製ボディ。黒いピックガード。裏側のコントロールパネルは白。サイドジャックでトグルスイッチ無し。Flying Vは膝に当たる部分にコンタード加工。Explorerは別れたV字型ヘッド。ハードウェアはゴールドかニッケルか不明。Flying Vにはトグルスイッチが見えません。Gibsonでは(多分)初の2V、1T。これは当初、ボリュームをGibson社標準(片方のボリュームを0にすると、MIX時もう一方のP.Uからも音が出なくなってしまう)の電圧制御ではなく(Fender式のMIX時片方のボリュームが0でも、もう一方からは音が出る)電流制御で各Pickupのバランス調整を行う考えで、P.U切り替えスイッチは必要ないと判断したのではないでしょうか?
そして、16フレットジョイントのマホガニーネックでテノンはフロントピックアップまで、したがってピックアップ間を隠すピックガードは無し。

 ここで、当時のGibson社の考え方が見えてきます。
「ピックガードはピッキングのキズからボディを守るものではあるが、木のつなぎ目などを隠す事も重要な役目だ。」
そこでリアピックアップ前までテノンが伸びた前段のプロダクションモデルのFlying V、Explorerでは弦下までピックガードが伸び、'61年からのLes Paul SGではネックとフロントピックアップの間に黒いプレートが付き、ボディとネックの接続部分のGibson社のアメリカンな仕事具合を隠している訳です(笑)
 それを考えるとKurt Linhof氏のFuturaは納得できますが、私の購入したFuturaが製作見本にしたと思われる、2本目に発見されたという有名なMahogany Futuraには怪しさがやはり漂ってきます。正直にいうと、これは私の主観だけなんですが、最初の画像を見たときから「何か違うな。」という印象が拭えません。あの年代にあるダサいというか、ちょっとイタナい雰囲気が無いという気がします。何か整いすぎているんです。一応Originalと云われてはいますが??

Kurt Linhof氏のFutura (The Guitar 2) Mahogany Futura

 またExplorerでは生産が間に合わなかったため、当初はこのV字型ヘッドを使った(と云われている)モノが何点か見受けられます。ボディとネックの接合位置が違うので無いとは思うのですが、もう製作済みであった、この"Futura"のヘッドが付いたネックをそのまま使っていたとしたら・・・
ピックガードの下にはテノンが覗いていない、ほぼ"Original SG"状態で取り付けられたネックに遭遇するかもしれませんね。

(2005年11月:記載/2009年10月:追記)