中村康博さん : 赤目自然農塾

ある日、車の中で川口さんから「中村君、今日から自分の代わりにしゃべってくれるか」と言われました。赤目自然農塾の中村です。

川口さんは「貪らない」「足るを知る」「生かされている」ということを話されています。

沖津

深く深く会得して頂きたい。そうしないと混乱はおさまらない。役に立つ自然農にはならない。

 

技術については前からの夢。具体的な技術は独学でした。分からないと川口さんに電話してね。

自然を察知できないので、ここで相談したい。長い間の課題です。

中山間地、山間の痩せ地で補いながらやってきて、ホウレン草は小さなホウレン草で。すごく甘いんですが。種子を結んで小さいなりに健康。ホウレン草はちょっと肥えているとそれなりの大きさになるでしょうね。

それとジャガイモ。メークインや男爵は作りにくい。農林一号が作りやすい。

 

このホウレン草とジャガイモを安定的に育てるにはどうしたら良いか?皆さんに質問です。

第24回「妙なる畑の会」自然農研鑽会 1/17(日)& 18(月)

前日のテーマは1「自然農を知る」でした。

二日目の午前中は2「自然農と商売」について。

午後からは、3「技術対応」18日は、4「未来に向けて」です。

高橋さん

ホウレン草は出荷していません。生育を確認しているだけ。自給の時は作付けしてしていましたが出荷し始めて(作付けを)止めました。
ジャガイモは面積を減らしていて。自分の畑の対応ではあまりとれません。応え切れていません。ジャガイモの品種はニシユタカ、出島。

中村さん

ホウレン草、春作は赤目で大きく育ちました。何年も経っているので、川や石垣の修復をして、土が減っていく。溝の土も砂利。

土手草を積んである一番下の腐葉土を冬の間に乗せるだけ。米ぬか、油かすと同じように。

川口さんの驚き方を見て、そういうこともあるのだと思いました。

鏡山さん

高橋さんの所と同じです。
ホウレン草は食べなくて良いと思っています。
小松菜で代用していてそっちが好きなんで合っているかなと。20年でそろそろ出来るかな?営農となったら大変だろうな。

白菜も肥料過多で無いと結球出来ない。その土地に合ったものを作付ける。

 

ジャガイモは場所によって違います。品種はニシユタカ、アンデス、男爵、メークインを少しずつ。

冬の間に、ヌカと油かすを混ぜたものを少し降っておく。スコップですき込む。

 

キクイモが良く出来るので作っています。

三井さん

ホウレン草は、最近、良く出来るようになりました。薪の風呂の灰を畑に戻す。40センチ間隔で一列に。春、夏までおいて、刈った草を切り分けて。水分が大切。雨が多いと良く出来る。土手草を痩せているところに積む。

ジャガイモはキタアカリ、出島、アンデス、男爵等。3月終わり頃〜4月。ジャガイモも雨が多いと良い。火山灰土なので。
草を動かすのは最低限にする。そうすると乾燥も防げる。

北村さん

5年なのでまだ積み重ねが出来ていません。ホウレン草はとれたらとる。ジャガイモは長ネギと輪作の連作にしている。110センチの畝。

鏡山さん

出来たものを頂く。基本的にはほどよいものが自給なので。猪、アナグマ、猿に6、7割は食べられました。

沖津

作付けて肥切れ、地力が足りないときに畦の草を間に置いてみた。カボチャ等力不足。

皆さん、応じているのかどうなのか?畑に向かい合って答えを出せば良いのでしょうが。

石黒さん

出来ないものが一杯ある。

有機農業を6年やっていて、いけいけどんどん、鶏糞、たい肥入れて良く出来ました。

それを止めて、場所も移って28年前、出来ない。ずーっと出来ないことに取り組んだ。

言葉に捕まった結果、出来ない。

「肥料を必要としない」と「肥料をやってはいけない」この違いをしっかり認識する。

生命は食べるものによって大きさが違う、それに気付くまで3〜4年かかった。

山菜のゼンマイが大好きで、山に採りに行く。

ゼンマイは株になっていて、株から年々1.2本順々に採ると、毎年太いのが採れる。

それを例えば5本のうち5本全部採ると翌年は細くなる。

 

農夫の手の貸し方が間違っていると出来ない。田畑から取り過ぎると痩せていく。

自分の田んぼに草を入れてみると出来る。つまりカバーすれば出来る。

実験をやることにより、役に立っている。

「補い」など言葉の位置づけをしっかりして後ろめたくなくなるように。

沖津

草管理、ちょっと工夫することで楽になる。種子まきのときにちょっと工夫する。クワの使い方も、石黒さんに教えて貰った「ホー」で田の草管理をすると、稲の作付けは草管理が基準ではなくなって、田植え出来る範囲が作付け面積になります。

高橋さん

イタリアンライグラス?玉ネギの苗床など、(草を)発芽させてからやる。秋まきのニンジン6、7月播きだと時期をずらせる。

沖津

小さい種子、春のレタス、ビタミン菜、9月初めのニンジン、イタリアンライグラスは抑えている。

前作の種子が発芽した後に(土を)削ってから、播く(=作付ける)。基本を踏まえて出来るだけやる。
前作、後作のことを考えるだけで楽になる。ずーっと考えてきた。基本は手に合うだけだけど。

けものの対応

鏡山さん

杭にトタン板、電気柵を施設。アナグマは土を裸にしないとまあまあ防げます。

猪は資格のある人でないとワナが仕掛けられないので、頼んで6頭仕留めました。処理にも立ち会い、涙をボロボロ流しながら肉にして。食べたら美味しかったけれど、ここまでしないといけないのかと思った。

糸島市からオリの設置に95%の補助が出ます。鉄格子で1メートル×1.8メートルの大きなもの。畳一枚分くらい。

昔は棲み分けていたのだから、思いを寄せていくことは大切だと思います。

 

一番困っているのは、猿。年に数回、移動してやって来る。ロケット花火は慣れてしまって平気。今年100匹ほど群れで来て、役場に連絡し猟師さんに来てもらうのだが、猟師さんが到着するまでの30分ほどの間、畑の間で自分一人で頑張って猿に対峙した。危険なことだと後で叱られた。一晩で遠距離を移動する猿。猟師さんが来た後は一ヶ月くらいは来ない。オオカミがいなくなったからか?

カラスは川口さんに教えて貰った「糸を張る」。しかし弁当は盗まれる。

高橋さん

猪は、囲って守る。ウサギは葉物の畝に糞で分かるので、ネットや電気柵をする。鹿はトタンの上にネット。

気持ちを「取る」方へ。心の持ち方「どうしても取りたい(収獲したい)」としておくことが大事。沼津しは補助は個人には出なくて、集落全体を囲うという対策なので利用は難しい。

中村さん

猿は「名張B群」と名付けられた群れが一晩に30㎞移動してやって来ます。赤目は平日人が居ないのでサル天国。

以前はモンキードックという犬を貸してくれた方がいたが、犬が病気になりその方も引っ越して今はいません。

赤目のスタッフに猿、鹿、猪の駆除の公の機関でスペシャリストがいます。

 

猪は川口さんと竹槍を持って追いかけたこともある。来る期間は遠のいた。囲うのはワイヤーネット、トタン、木材などを使う。

ウサギは入る場所を押さえる。ネズミにはハブや猫。

 

柵の外に猪のワナ、檻。猿は難しい。餌付けしてとの方法もあるが。

ひたすら追いかける。気持ちで負けないことが大事。

虫害

北村さん

虫は田畑の状態を知らせてくれる。卵の姿、幼虫の姿を確認する。

*ウリハムシはあんどんで防げる。

*ダイコンサルハムシは寿命が長いので、5月に成虫をつぶしておくのが大切。そうしないと秋冬野菜がダメになる。アブラナ科を離すことも。

*ハタネズミ、アカネズミ、コガネムシの幼虫の害もあります。

ヌカの補いを、うっすら霜が降りるくらい、少なめに少しずつして、環境を急に変えないようにする。

油かすを上質のにすると価格が高いので少ない目にするので丁度良い。

沖津

健康な野菜に虫は付かない、休ませて作ると大丈夫。バランスが取れて虫害もそれほどでは無い。基本的に虫は浄化と感じている。

鏡山さん

シシトウ、ナスは弱いものに虫が出ます。ナス科は補わないといけないのだけど、犯される理由を忘れる。

カメムシは*風通し*日当たり*水分が大事。その土地なりの答えを総合的に考えて出す。私はカメムシをバケツの水に落としてクルクルかき混ぜ、芽を回してから川に流しています。

勇惣さん

大豆のカメムシ、播く時期をずらして赤目できれいに出来ました。あぜ豆、黒豆、5月〜6月に播くところ7月過ぎ〜お盆までに。
収獲が遅くなるが播く時期で、(虫害に)対応できる。

沖津

性(しょう)が狂っている、のと総合的なことを考える。ナスに20ヤテントウ虫が出たときに敷き草をしてやると出なくなりました。

石黒さん

人間に例えると、食べ過ぎか栄養失調。

鏡山さん

その通り。

高橋さん

虫が出たら様子を見ている。

中村さん

虫が着いたら、やはり風通しを良くする必要があるので、間引きします。

沖津

高温でアブラナ科だと、自然のリズムの中で虫が出る。生理的に出て当たり前。正確に見極める。健康ははじめから約束されている。

キャベツは外葉が虫に食われても中から成長してくる。

北村さん

キャベツは大きな苗を植える。幼虫は捕るようにしている。

会場より質問 静岡の方

春ジャガ、秋ジャガで、生育に違いはあるでしょうか?暑さに強いので出島を作っていて、葉っぱばかり出来る。水にも弱い。

人名不明

春ジャガは作付け3/1〜7に深植えで遅霜に対応します。収獲は梅雨時期の前に。秋ジャガは8/31くらいから作付け。

春と秋で差があるとしたら地温?

沖津

農林一号は徳島向き、肥食い。豊かなところで作る。

会場より 島根の方

春ジャガのみの作付けで、多く収穫できるので、年に一回にしている。春の彼岸の頃に植える。6月収穫。

一丁一反の広さがあるので休ませる時期がとれる。

種子:育種

沖津

育種、やりたいと思っています。小肥で出来るホウレン草を選抜できたら良いですね。

高橋さん

ミニトマト等、自給の人が(育種は)しっかりしている。

三井さん

長野、山梨は種子、苗の交換会をしています。

鏡山さん

お米は何種類か作っていて、川口さんが「お米が野生化している」とおっしゃっていました。

野菜では赤オクラ。自家採種を4、5年していると5〜3メートルになった。

実にフワフワと毛が生えて食べにくいし、7、8年目に野生化に耐えられなくなって種子を変えました。

沖津

とても重要。これからだなぁ。

原発の事故

会場より質問

北村さんに原発の事故後どうだったかについて聞きたい。午前中の話しでは余りもさりげなかったから。皆さんも他人事でないですよ。

あちこちで再稼働が始まっているのだから。

北村さん

爆発があったときは地図にコンパスで55㎞の半径を書いて、逃げるとしたらどっち?と。
津波は車で15分のところに避難。夫は消防団で出ていたので、不在。怖くてラジオをつけっぱなしにしていました。どういうふうにするとかは分からない状態でした。停電していたので3号機の爆発は見ていません。

 

宮城は情報が無かった。自分たちに何が出来るか、考えて動き始めました。

4月の終わりに土を採取して貰ってフランスのアクロに送って、計って貰う。お客様には休む、という手紙を送りました。

国は動いてくれない。福島は測定器があるけれど、宮城には無い。それで「市民測定場」を立ち上げようということになりました。

カンパで測定器を買いました。1,600万円の寄付が寄せられました。計りたい人は誰でも計れるので、計り、新しいルールを作りました。

これは私達の暮らしが招いたこと。

自然農では空間線量が高いけれど、耕した方が空間線量は下がるけれど、耕したくないので耕さずにやっています。

 

怒りから行動しなかったことと、仲間にも恵まれたのが良かったと思います。

作業時間

会場より質問 : (若い)福島の方

自然農をやって7年になります。田んぼ8畝、畑は1反。もっとやりたいなあと思います。田植えと草取りに時間がかかります。

作業を早くするための工夫はどんなことがあるでしょうか?ホーを使っても直ぐに草は生える。水を張ると押さえられますが。

沖津

身体の動かし方。昔の人は身につけた技がある。とてもかなわない。工夫の必要はあります。若い人はたくましく育って欲しい

(私などは)志は高いけど軟弱、口ばっかし。
生産性ばかりにとらわれると見失う。

 

第24回「妙なる畑の会」自然農研鑽会 三日日目 1/18(月)

 

前日のテーマは1「自然農を知る」。

二日目の午前中は2「自然農と商売」。午後からは、3「技術対応」でした。

最終日は4「未来に向けて」

 

以下、おおよその内容を紹介します。

 

大植さん : もみじの里自然農学びの場

淡路島で自然農の学びの場を開いています。

赤目自然農塾では研修生としてやっていました。

それぞれのやりたいことをするために離婚をして淡路島の小さな山間の田畑に移りました。

 

今回、高橋さんの自然農はスタート、という言葉が印象に残っています。

 

世界救世教の方などとも勉強会を共にする中で、原理原則を少し外しても良いかなと思っています。

高橋さん

多くのことが学べた勉強会でした。

沖津

若い人に野心を持って欲しくて今回の会を企画した。野心の根本は「志」。野心を志にまでしてほしい。お米を取る。野菜を作る。それでお金を得る野心。道を外れたら苦しむようになっている。何のために自然農で米を作っているんだろう。自分の有りようを見つめ直し、覚める。

生き方を会得することが始まる。貪る苦しさ、貪る虚しさを知っているから。道は簡単なこと。三方良しプラス環境。

曖昧にしたらダメ。恐れることは無い。納得して自分を全うする。疲れて疲れて、大変で大変でも、心剤は多くの人を豊かにする。

正確に見極めるなら野心がこころざしの実現となる。おのずと明らかになる。

 

長崎さんのような人が育ってほしい。その基礎になればと企画した。相談できる年寄りがいるので良いですね。

 

原理原則を越えたらダメですね。原理原則を我が物とする。原理原則が無くなる、心が分かる。原理原則の向こうにあるものを見ていく。

人生を照らし、会得する。対立の中で、対立しないものを味わっていく能力と同じ。

 

川口さんの言葉の、まだ口真似だったように思いますが、次第に成長していて、成長の過程を確認出来る場でした。

会場より : サカイケンジさん

フランス、ヨーロッパには日本にないものがあります。

一つ目はテールドリアン、オーガニックの団体で農地を買い占めて若い人に貸しています。そこが買った土地は永遠に有機農業の土地です。

二つ目はネフ。ネフは銀行で、良いプロジェクトにのみお金を貸し出す機関です。

日本にもそういう動きがもう出てきても良い。

 

 

 午後からは自由参加の農地の見学会でした。

 雨という天気予報でしたが、晴れ間がのぞきました。

 時折時雨れて、虹も出ました。

 寒い中ご遠方より多数ご参加下さり、ありがとうございます。

 

 コアスタッフとして全ての準備を整えて下さった沖津一陽さん、睦美さん、

 お疲れ様でした。ありがとうございます。

 

茶色く見えるのはヤーコンの亡骸

 

<運営者:さいとうのりこ>