自然農参考文献

◆決定版・農薬を使わない野菜づくり Part1.2◆洋泉社◆

徳野雅仁(とくの がじん)著

 野菜の栽培、とにかく初めてやるんだけどどうしたら・・、そんな方もこの2冊(Part1&2)があれば大丈夫。

 種や発芽の様子など実物大イラストがあるので、どれが雑草で、どれが野菜の芽か見分けられない〜という悩みも即解消。

 川口氏、福岡氏の本を読んで「ではどうやって?」と思ったら、この2冊は良い参考書になるはず。実践ばりばりのハウツー満載、納得の基礎知識解説で、自然農が無理なく始められそう。例えば完熟堆肥の作り方など掲載されていて、自然農に切り替えてすぐの痩せた畑で奮闘している場合などには、それも役に立つのではと思う。広い畑が誰にでも手に入る訳ではない。自然農は基本的には無肥料だけれど草生で地力がつくのを待つ条件が整わないのなら、それまでは補う必要も出てくるだろう。ここのところはどのように進めていくか各々の方針なのだと思う。

 畝幅、苗床の作り方等、結構細かく記載されているが、それらに捕らわれるとつまらない。「こうでなければならない」訳ではないのが自然農。この本で得たノウハウを自分なりにアレンジして、自分の畑に合った方法を見つけていくことを忘れないでいることが何より大切なのはご承知の通り。

 沖津さんが、まず初心者にすすめる本であることを付け加えておきます。

*****注:新刊は2冊が合冊されて出版されているそうです*****


[オピピーカムーク]

第5号

 第5号の出色は、[新規就農レポート]正式に農業者になるとは・・申請書の作成は・・などについての詳しい説明とアドバイスがえられる。体験記なので、(ややこしそうな)申請手続きや農業委員会、行政との対応など、具体的で分かりやすく、参考になる。将来、少なくともある程度の自給を目指しているのなら避けては通れないだろう、農地取得の問題。そのための準備、始めるなら早いに越した事はないはずで、将来の見通しを立てるのにも役立つと思われる。土地捜しも大事だがそれと同時に、クリアしたい新規就農申請。とても実用的だ。

 自然農の記事で他には、作付けがサヤエンドウとじゃがいも、作業は苗代の準備など・・、いつもながら読みごたえ十分。

 表紙イラストは素敵な階段付きキウイ展望台?で、こちらも好調。

(連絡先などは上記[オピーピカムーク]をクリックして下記へと移動して下さい)


自然農法・わら一本の革命◆春秋社◆ 

福岡正信(ふくおか まさのぶ)著

みんなここから旅立っていったのかもしれない。何故、「定着」せずに旅立っていったのか。

数えきれないほどの、それも農業の指導的立場にある方達も含めて、見学者を引きつけながら、数十年という年月を費やし、「やってみせてくれた」にもかかわらず・・。本書が世界で何カ国語にも翻訳されているにもかかわらず・・。あとがきに「誰でも 今すぐ やれることだから」とあるにもかかわらず・・。

察するに、わら一本の革命はやさしいように見えて、実は結構ハイレベルな農法なのだろう。

言葉で伝える術は多分無いのであろう農を、ひたすら伝授しなけらばならない立場に自ら立ってしまった福岡さん。悲痛にも感じられる彼の警鐘を埋もれさせてはならないと思う一冊。

<初版1975年、柏樹社より発行>

◆<自然>を生きる◆春秋社◆ 

福岡正信(ふくおか まさのぶ)/金光寿郎(かなみつ としろう)著

1982年〜1994年にわたってNHKで放送された番組からお二人の対談をまとめたもの。福岡さんの熱い思いが切ない。お尻に火がついているのに眠りこけている地球号乗組員の私たちに、目を覚まし、今すぐ種をまけと叱咤する彼。会得した者には、今、為すべきことは容易であり、一方知りえない者には、金光さんにさえ「至難の道かもしれない」といわせるほど。

このギャップ!経験しないかぎり理解できないんだろうなあ。種まく人で正解、と思う一冊。

<粘土団子の作り方がイラスト入りで解説されている>


妙なる畑に立ちて◆野草社◆
川口由一(かわぐち よしかず)著

1990年に第一刷が発行された。自然農の「道」を示した道標的著作。ページ毎に奥様の川口洋子さんの花々の挿画があって、文字通り趣のある花を添えている。

豊富に掲載されている写真は御本人が撮影されたもの。簡潔な説明文付き。ふむふむこうやればいいのか、と喜ばしく納得できる。写真をながめていると、畑からさわやかな香りが匂い立つようで清々としてくる。

読み進むうち、あれこれ自分なりの作付けの夢が膨らむと同時に、取り組む姿勢の大切さを改めて認識させられ、それが気持ちの中に素直にしみ込んでゆく・・。

何度も読み返しいつも傍らに置いておきたい一冊。

◆ニュースクール 叢書「自然農から 農を超えて」◆カタツムリ社◆

川口由一(かわぐち よしかず)著

1992年、滋賀県で行なわれた川口さんの2回の講演をもとに、受講生が中心となってまとめた冊子。彼のやわらかな語り口がそのまま伝わってくる。

生立ちから自然農にいたった経緯、暗中模索で失敗が続く最初の何年か。そして「命のめぐり」のなかで営む、農、医、教育の実際とその根底にある理-ことわりが語られている。

100ページほどのブックレットだが、これ一冊で十分満たされる。


オピーピーカムーク◆ 
農とくらしと本のあるひろば

1998年創刊。福岡県の一貴山で自然農を営んでいる方達が年三回発行している、手作りの季刊誌。オピーピーカムークとは「『木と木が話をするところ』というネイティブアメリカンのオブジエ語からつけました。」と、とびらのあいさつにある。

農作業の合間を縫いつつ、真摯な編集姿勢をキープしているのには頭が下がる思い。ていねいで温かい農作業解説は、特に初心者にとっては感涙もの。描かれているイラストも親切でわかりやすい。多分バックナンバーは貴重品になるんじゃないかと思われる。福岡自然農塾のスタッフでもある鏡山悦子さんの編集に加えて、川口由一氏の丁寧な監修なので作業解説内容には信頼がおけること間違いなしの太鼓判が押せる。ただ、それに捕らわれないで行うのが自然農、なのは言うまでもないが。

記事は自然農の実践記と共に、道具、料理、本の紹介、イベントお知らせまでと幅広い。

商品販売の『みみず屋』カタログというのまであって、鍬、鎌、鉈(ナタ)、ふるい、竹かごいろいろ、じん笠、ひき臼、柿渋、蜜蝋ワックス他ここは民族博物館かと思わせるような品々が写真入りで披露されている。

*1部700円(年間購読料3冊分2000円)*

連絡 〒819-1622 福岡県糸島郡二丈町一貴山560-13 鏡山悦子

TEL 092-325-0745