第一段階 モノトーン描法

役割

この段階は骨組に相当する段階です.しっかりとした骨格作りが最後まで影響します.

やっておくこと

構図,構成,位置関係

使う色

仕上がりのイメージ(感性)からメインになる色を見極めその補色を使用する,彩度を落したりする場合に他のもの(補色,白,黒)を使う

技法

密度によるデツサン


この段階では主張色の補色を使って密度によるデツサンを行います.デツサンですから,物の位置関係や,大きさなどしっかりと安定させましょう.

ここで簡単に空間を把握できる方法を紹介します.カンバスを三次元として把握し空間を自ら作り上げてみましょう.


この図を見てください.赤く見えるのは,りんごです.この図により,りんごの位置は奥行き3であることが解ります.そしてバツクの位置は奥行き9にしました.別に奥行き7でもかまいません.この位置関係によりコントラストが決まります.

バツク

バツクを奥行き9(明度1)の位置にする

明度1の暗い色で塗りつぶす

りんご

奥行き3(明度7)の位置にする

りんごの位置からバツクまでの明度の絵の具を使う
すなわち明度7から明度3の範囲の絵の具を使う


公式1

位置の明度≧コントラスト≧バツクの明度

このように作家の意図により絵画は作られるものです.またこれを厳密に行なえということではありません.絵の具はカンバス上でも混ぜられますし,..ただこれを目安にしていろいろ試して下さい.
このようにして,最初は揮発性のテレピン油を用い次第に,ペインテイングオイル等を使って描いて行きます.空気も光りもない真空のような空間が形成されて行きます.ただ整然と存在感だけが形成されて行きます.カンバスは補色の濃淡で満たされ飽和状態になったら,第一段階は終了です.描き過ぎることは元に戻る結果となります.経験を重ね見極めする目を磨いて下さい.